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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第3章─びっくりがいっぱい! 私の家族は楽しいです♪
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お夕飯には早いから、暖か室内でのんびりお茶を。最後の1人は神出鬼没?

ごめんなさい。

ちょっと短い…。

 物干場から、室内に移動して、現在まったりお茶してます♪


「ねぇねのクッキーおいしいねぇ♪」


 フォルお姉ちゃん作のさくさくホロホロ食感のバタークッキーを、小動物(囓歯類?)よろしくいただいてます!

 お母さんのシフォンケーキと同じく、絶品ですよ♪


 歯触りの良いさくさくの焼き加減と、口の中でホロホロと崩れる絶妙の舌触り。

 バターの芳醇な香りはあれど、呑み込めばさらりと消える後味。

 甘さと僅かな塩味のバランスが、後を引く美味しさです♪


「良かった~。食材については自信があるけど、調理技術はリュニベールの方が確実なのよね。

 気に入ってもらえるか不安だったけど、ユナが喜んでくれるなら、作ってみた甲斐があったわね♪」


 ………。

 作ってみた?


「ねぇね? クッキー作るのはじめて?」


「勿論! 私達フェリシア様の眷族は、基本食事は必要無いもの。

 食べることや眠ることは、趣味や暇潰しみたいなものよ?

 精神体に必要なのは、膨大な神気と適度な魔素だもの」


 あぁ、そっか。

 確かに、三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)なんて、世界の理から離された存在である女神様には、娯楽程度の重要性しかないか。


「そっか~。はじめてのクッキーが、こんなにおいちぃなら、ねぇねはパ(ティ)シエールしゃんになりぇるねぇ~」


「パチシエールシャン?」


 に~ぃ。

 噛んだ…何だ? パチシエールシャンって…。

 ティの発音が難しいのは当たり前だけど…。

 “パチシエールシャン”てっ!?


「ん~と、“ち”じゃなくて…“ティ”。パ(ティ)シエール!」


 あぁ、もうっ!

 滑舌~っ!!


「んん? パティシエール?」


「うん! おりょうりを作るシェフとはべつ()に、おかしをせんもん(専門)で作るちょうりし(調理師)さん。

 男の人はパ(ティ)シエってよばれてて、女の人がパティシエールってよばれてたよ♪」


「へ~。性別で呼び方が変わるのね?」


 よしっ! 伝わった!!

 ………何だろう…無駄に疲れた気がする…。


「ん。ねぇねのクッキーは、おいちぃでしょ?

 おみしぇ()()ってたら、ぜったい()うの!」


「ふふふ。ありがとう♪

 そんなに喜んでくれるなら、絶対また作るから、次も一緒にお茶しましょうね♪」


「うん♪」


「ぁ、本当(ホント)に美味い」


「「へ?」」


 お姉ちゃんとの約束が増えたのを喜んでたら、聞き覚えはあるのに、今日初めて聞く声が、クッキーの感想をポツリと呟きました。


 お母さんともお茶をしたリビングのソファ。

 私は、玄関を背にする位置の多人数掛けのソファ、その中央よりの右側に座ってます。

 お姉ちゃんは、私の左側にほんの少し間を空けて座ってる。

 アルタイルは、お姉ちゃんのもう1つ左前、一人掛けのソファの前。

 レグルスとシリウスは、私とお姉ちゃんの正面にある多人数掛けのソファの前。

 聞こえた声は私の右側、壁一面の本棚の前に置かれた、一人掛けのソファの方からしました。


 油を挿し忘れたブリキの人形の様に、私とお姉ちゃんは声の主に視線を向けます。


「よ! 会いに来たぞ、妹よ♪」


 視線の先には、ソファに座った、お姉ちゃんと同じくらいの女の子。

 多分、最後のお姉ちゃん。

 ラメル姉さんじゃないかな?


 光の加減で金色にも見える、金混じりの朱色の癖毛。

 それを後頭部の高い位置で1つに結んだ、快活そうな女の子だ。

 髪以上に、印象に残るだろう瞳は、左右で色が全然違う。

 新鮮な蜂蜜やメイプルシロップみたいな金茶色と、透き通る様な湖水を思わせる淡い水色。

 興味のままに感情を乗せる双眸が、人を魅了するんだろうななんて、軽く現実逃避に落ちる。


 ぁ、でも、何だろう?

 なんか、違和感が……。


『まぁ、ラメル様。あなた様まで御出になるなんて…』


『ふむ。ラメル様は、転移体憑依ですな』


『おお~』


 シリウスが窘める様に呟いたけど、レグルスが逸早く違和感に気が付いた。


 ぁ、そうか。

 そういえば、姉様やお姉ちゃんみたいなキラキラが無い。

 お姉ちゃん達のキラキラは、魔法を使ってる証明だもんね。

 それが無いなら、お母さんと同じ“転移体憑依”だね。


「そりゃそうだよ。

 実体化じゃ、半日くらいしか一緒に居られないだろが。

 出来るだけ傍に居たいって、フェリシア様に相談したら、転移体くれたぞ?

 ユナがクラウディアに来る前から、何かあった時の為に、あたし達3人の分も作り始めてたんだと」


「ええっ!? ちょっ!? 待って、待って!?

 フェリシア様にお願いしてたら、半日以上ユナと一緒に居られたってこと!?」


 ラメル姉さんの説明に、フォーレお姉ちゃんが、愕然としてます。

 どうやら、お母さんは色々準備してたのに、姉様やお姉ちゃんが先行して動いちゃったのかな?

 早く私に会いたかったって理由だから、私は嬉しかったけどね。


『『『あ~』』』


『相談しなかったのだな』『相談なさらなかったのですね』『相談しなかったんだね~♪』


 レグルス達が、揃って納得して、ため息をついてます。

 うん。

 報告、連絡、相談は大切だよね♪

 私も気を付けます!

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