泣き虫って言われても…。開き直って、受け入れましょう! 泣き虫だって良いよね?
………。
姉様が行ってしまいました…寂しい。
目に涙が滲んできます。
「ユナ。大丈夫、きっと直ぐに帰って来るわ。
だから、お姉ちゃんと一緒に待ってましょう?」
『無理だな』『無理では?』『無理だと思う~♪』
フォルお姉ちゃんが、頭を撫でて慰めてくれましたが、瞬時に3匹による完全否定が成されました。
…そうだよね。
お姉ちゃんは姉様と同じく、うっすら輝いています。
つまり、お姉ちゃんも“実体化”でクラウディアに来た訳ですね。
それなら、クラウディアに居られるのは、長くても半日…夜の23刻頃にはお仕事に戻らなきゃならない筈ですから。
「…おしごとは、だいじなの…。わたし、ちゃんと知ってるよ?
オルねぇねや、ベルねぇしゃま、メルねぇしゃんも、とってもたいせつなおしごとしてるの。
だから、ちゃんとまつよ?
さびしいけど、ちゃんと“おるすばん”できるもん」
『そうだな。フェリシア様や女神様方が傍に居られない分、俺達が傍に居るのだ。
寂しければ、寂しいと言えば良い』
『そうですね。ユナが寂しければ、私達がずっと一緒にいます。
“寂しい”や“悲しい”を隠す必要はありません』
『そうだよ~。僕達は、ユナの契約獣で、家族なんでしょ~?
ユナが言ったんだよ~?
家族は“お互いを支え合う”存在だって~。
どんどん頼って良いからね~♪』
お姉ちゃんに心配させない様に、頑張って笑顔を作ってみたけど、へちゃっと力のない感じの表情になっちゃったみたい。
3匹がそれぞれ「強がらなくて良い」って励ましてくれる。
そっか。
弱音を吐いてもいいんだ。
弱音ばかりじゃ駄目だろうけど、自分の中に溜め込む必要は無いんだね。
弱音を吐いたその後で、家族や知り合いに助けてもらいながらでも、前向きに頑張れるなら、寂しいや悲しいを外に出すのも大事な事なのかも。
「…あいがと、っく。ふ、ぅえ…ふぇぇぇ」
あうぅぅ。
昨日に続いて、またもや感情の制御が効かない…。
お姉ちゃんがアワアワしてるのに、涙が止まらないよぉ~。
困らせたくないのに…。
泣きすぎて身体に力が入らない。
へたんっと座り込んで泣きじゃくる私を、お姉ちゃんがぎゅっと抱き締めてくれます。
「う~。ユナが泣くと、私も悲しくなるけど、どうせだからいっぱい泣いちゃいなさい。
私が傍に居られる間は、ずっと抱き締めててあげるから!」
自分の嗚咽に混じって、お姉ちゃんの声が聞こえます。
困らせてごめんなさい。
だけど、お姉ちゃんが温かくて、ぎゅって抱き締めてくれる腕が嬉しくて、余計に涙が止まらないよぉ~。
「ふぇ…ひぃっく、ぃっくっ、ふ、ぅえ…」
言葉を紡ぎたいのに、口から出てくるのは、言葉にならない嗚咽のみ。
涙も止まらないし、お姉ちゃんが温かいし……。
ぁ、駄目だ…意識が……途切れ………。
*~*~*~*~*
『ん? 起きたか?』
あえ?
レグルス?
『…寝惚けてるな…。泣き虫娘』
………。
…泣き…虫…。
!? はわっ!?
寝てましたか!?
私、寝ちゃってました!?
吃驚して起き上がろうとしたら、私の上からトサッと何かが滑り落ちた。
レグルスと私の間に、フォルお姉ちゃんが寝てます。
滑り落ちたのは、お姉ちゃんの腕で、どうやら抱き締められたまま、一緒に眠っていたみたいです。
『もう少し眠っていても大丈夫ですよ?』
『んむ~。ユナ…起きたの~?』
私の後ろにはシリウスがいて、お姉ちゃんのお顔の前(私の頭の上だった?)辺りに、小鳥姿のアルタイルがいます。
アルタイルもちょっと寝てたのか、何処かぼんやりしてますね。
頭も働き始めたのか、意識を失う前の事も確り思い出しました。
昨日に引き続き、大好きな人と離れる寂しさに、3歳児の感情が暴走し、お姉ちゃんが困るのも放置して、目一杯泣き晴らした上、泣き疲れて寝落ちた訳ですね。
………。
うん。…なんかもうっ!
恥ずかしい事この上無い感じですが、私は3歳児。
3歳児なのです!
恥ずかしすぎて、悶え、転がり、穴に埋まりたい気持ちを押さえ付け、現実を受け入れましょう!
…もう、泣き虫でいいや…。
ええ、ええ。私は泣き虫ですよ。
良いじゃないですか、泣き虫でも!
家族を困らせてしまうかも知れませんが、その分沢山大好きだと伝えましょう!
ところで…。
「今、なんじでしゅか?」
『15刻前だ。もう少しだけなら、眠っていても良いが、そろそろ空気が冷え始める。
風邪をひいたり、体調を崩す前に、家の中に戻れ』
姉様を見送った時より、太陽が大地に近付いてる。
確かにちょっと冷え始めてるみたいで、フォルお姉ちゃんやシリウスの体温が恋しい。
ピクニックの為に敷いていたラグマットの上に、前の世界で使っていたお布団の半分位の大きさの“特大クッション”が3つ、ベッド代わりに敷かれていて、私とお姉ちゃんはその上に寝てたみたい。
大きいままのシリウスとレグルスに挟まれて。
…なんとなくずっと前に見た“猫溜まり”を思い出した。
猫って、狭いところや陽だまりに、固まって寝てたりするよね…。
いや、うん。可愛いんだけどね?