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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第3章─びっくりがいっぱい! 私の家族は楽しいです♪
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2人目のお姉ちゃんと、再びのさよなら? ううん、「いってらっしゃい 」ですね♪

「おっいひ~い♪」


 今、私の隣では、焦茶色の髪を2本の緩い三つ編みにした女の子が、口いっぱいにおむすびを頬張ってます。

 鮮やかな若草色のエプロンドレス姿は、古いカントリー映画の子役を彷彿させる愛らしさですね。



 今日のお昼ご飯はお弁当。

 サンドイッチ各種に、おむすび各種。

 お稲荷さんに、ちらし寿司。

 ホットドッグや、ベーグルサンド。


 ミニハンバーグに卵焼き、唐揚げ、オムレツ、カプレーゼ。

 グラタン、コロッケ、茸のソテー。

 じゃが芋ゴロゴロポテトサラダに、さっぱりマリネ。

 筑前煮に金平牛蒡、ほうれん草の胡麻和え。

 スパゲッティにローストビーフ、キッシュにムニエル。


 魔法って凄いね♪

 時間短縮の魔法を使って、食べ切れない程のお弁当を作りました!

 残るようなら、冷蔵庫か【無限収納】に仕舞いますから、何も考えずに、思い付くまま気の向くままに、姉様と大量生産しましたよ♪


「ん~♪ 美味しいわ、ユナ」


「…フォーレ…自己紹介…」


 頬張ってたご飯を飲み込み、幸せそうな笑顔で感想をくれたお姉ちゃん? に、ベル姉様が突っ込みました。


「あ。え~と…は、初めまして!大地の女神、フォーレです!」


「はじめま()て。ユナでしゅ()

 会えてうれしいでしゅ()。フ…ォーレぉねぇちゃ(・・・)


 途端に愕然とした表情を見せたお姉ちゃん? は、一瞬だけ視線を逸らして、直ぐに向き直り自己紹介をしてくれました。


 お~♪

 フォーレお姉ちゃんでしたか!

 噛み噛みですが、会えて嬉しいです!

 ちゃんと呼べなくてゴメンナサイ…。


「? もしかして、お姉ちゃんって言い難い?」


「…3歳児だから…さ行の発音…苦手…みたい…。…あと…末尾が“ん”になる…言葉?」


「でも、“おかあさん”はちゃんと言えましゅよ?」


「…ん。多分、慣れ…と寸前の音…かな…」


「寸前の音?」


「…ん。末尾の1つ前…。…“さ”と“ちゃ”の違い…。

 …“ちゃ”の方が、発音しずらい…」


 ベル姉様がフォルお姉ちゃんに、私の滑舌の悪さを説明してくれます。

 お母さんは呼べるのに、お姉ちゃんは呼べないって…。

 自分が情けなくなってきますね。

 3歳児の滑舌め…早く成長しなさい! …してください。


「あぁ、そっかぁ~。じゃあ、慣れるまでは、ユナの呼びやすい呼び方でいいよ♪

 いっぱいお喋りすれば、その内慣れるよ♪

 慣れたら“お姉ちゃん”って呼んでね?」


「あい。ねぇね」


 ちゃんと呼べない私にも、お姉ちゃん達は優しいです。

 やっぱり、大好きだなぁ。


「「──っ、可愛い!」」


 嬉しくて幸せで、ふにゃっと笑ったら、両側からお姉ちゃん達に抱き締められました!

 にゃ!?

 お姉ちゃん達、やっぱり妹補正(フィルター)が掛かってませんか?


「ぁ、滑舌の問題だと、もしかして“フォーレ”も“フォル”も呼び難い?」


「…かも…オルじゃ駄目?…」


「あ、良いね♪ そうしよう。

 ユナ、慣れるまでは、“ねぇね”か“オル”って呼んでね♪」


 フォーレお姉ちゃんとベル姉様の間で、さくさくと呼び方の変更が進められてます…。

 良いのかな…?


「オルねぇね?」


 ちょっとの不安と、さくさく決まる状況の変化に、思考が追い付かず、首が傾げます。

 取り敢えず聞き取れた単語で、呼び方を変えるのかと、疑問形になりつつも、新しい呼び方でお姉ちゃんを呼んでみた。


「「~~~っ、可愛いっっ!」」


 お話しする為に、一旦抱き締める力が緩んでたお姉ちゃん達が、再び力一杯私を抱き締めます。


 ふにゃあぁぁぁっ。

 褒め殺しは止めてください~!

 恥ずかしすぎて、泣いちゃいますよ!?

 お顔だって、真っ赤っかですよ!?

 う~~っ。


 …分かりました…。降参です。

 お姉ちゃん達の「可愛い」は、“妹補正(フィルター)”による“褒め殺し仕様”だと、諦めましょう…。

 お姉ちゃん達の「可愛い」は、多分知らない他人から掛けられる「良い子ねぇ」みたいな感覚なんじゃないかな…。


 うん。

 きっとそうだ! そう思っておこう!

 じゃないと、恥ずかしさと嬉しさで、変な人になっちゃうよ…。

 うん。自己防衛って大事だよね。



 *~*~*~*~*



 3人プラス3匹での賑やかなピクニックを楽しんで、時間はもうすぐ13刻。

 ベル姉様がお仕事に戻る時間です。


 寂しいです…。

 お料理するのも、洗濯物を干すのも、お勉強だって、ベル姉様が一緒に楽しんでくれたから、私も楽しかったんです。

 本当の妹みたいに、ちょっとした事で心配してくれたり、一歩後ろで見守りながら世話を焼いてくれたり、ベル姉様は優しくて暖かい最上級の“お姉ちゃん”でしたから。

 仲良くなれて、嬉しいと大好きでいっぱいになった気持ちが、離れる寂しさで、ギュギュッと圧縮されて苦しい…。


「…ユナ…そんな寂しそうな顔しない…出来るだけ…早く戻るから…。

 …大丈夫…フェリシア様…ううん、母様(ははさま)…よりは…一緒に居られる…と思うよ…」


「そうね。フェリシア様…私達の御母様だと、クラウディアへの影響が問題だけど、私達眷族なら“転移体”さえあれば、御母様よりは長く一緒に居られるわ」


「ん。…急いで“転移体”を用意する…」


「「だから、笑って」」


 前からベル姉様に、後ろからはフォーレお姉ちゃんに抱き締められて、ちょっとだけ泣いちゃった。

 だけど、傍に居るための方法を考えてくれる姉様達に、嬉しいのと心配なのとで、困ったみたいな笑顔になった。

 目尻の力が抜けちゃってるから、八の字眉毛のへにょへにょ笑顔かな…。


 無理はしないでね?

 寂しいけど、ちゃんと待ってるよ。

 お母さんとおんなじ様に、女神像を通してお話しは出来るし、今日みたいに、一緒に過ごす時間もこれから何度もあるんだよね?

 大丈夫。

 お母さんも、ベル姉様も大好きだから、ちゃんとお留守番出来るよ。

 レグルスやシリウス、アルタイルがずっと一緒だし、今はフォーレお姉ちゃんも一緒に居てくれる。

 だから、笑ってお見送り出来るもん。


「ベルねぇしゃま、いってらっしゃい」


「ん。…行ってくる…待ってて…」


 小さな笑顔を残して、ベル姉様はパチンッと泡が弾ける様に姿を消した。

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