ピクニックをする前に。仕事も準備も、皆で楽しみましょう♪
洗濯物を洗濯機に入れて、全自動で洗濯中。
うん。魔道具って凄い。
生活魔法って呼ばれる魔法もあるんだけど、普通の人族だと魔力消費が早くて、魔法より魔道具を使う方が楽なんだって。
私の場合は、“魔力”は無限にあるけど、繊細な制御をするだけの集中力を維持する“体力”(と言うか“気力”もですね)が不安。
なので、魔道具を使ってます!
…ごめんなさい。
誇ってちゃ駄目ですね…。
体力付けよう…。
ん? 体力より気力かな?(どっちもですね…)
精神は、お母さんの眷族として創られてるから、魔力や身体能力・技能の成長速度(取得率や練度)なんかは眷族仕様。
でも、器はクラウディアに人族として存在するために、体力・気力や身体の成長速度(発育や滑舌)等は人族仕様なのです。
で。
今は、お弁当の準備中です。
「…ユナ…サンドイッチ…出来た…♪」
姉様が色取り取りのサンドイッチを、さくさく作ってくれました。
髪を結ってくれた時も思いましたが、姉様はすっごく器用です!
おかずを作ってた時も、味も見た目も完璧でしたし、出来上がったばかりのサンドイッチも、いろんな種類があって、どれも彩り鮮やかで美味しそう♪
「ふわぁ! おいしそう♪」
姉様のサンドイッチに感激しつつも、私はせっせっと“おむすび”制作中です♪
前の世界では、『お握り』という呼び方で通っていましたが、私はもうひとつの『お結び』という呼び方がお気に入り♪
諸説ありますが、『握り固めて“縁を結ぶ”、故に“お結び”』という一説が気に入って、私は昔から“おむすび”と呼んでます!
「…ん…ユナの“おむすび”も…美味しそう…♪」
3歳児の手で握るおむすびは、以前作っていた物の半分程の大きさしかありません。
でも、手順も分量も変えてないので、小さいだけで多分美味しく出来てます! …多分ですが…。
「えへへ。ちっちゃいけど、あじはだいじょうぶなはず!
…あじみしようかな…」
『僕も味見する~♪』『俺も』『…私も頂きたいです…』
不安を解消するために、1つ食べてみましょう♪
アルタイルとレグルスが、透かさず便乗してきて、シリウスは恥ずかしそうに、1歩退いて申し出ます。
シリウスは、控えめさんですね~。
「いいよ~♪ じゃあ、みんなであじみしよう!」
3匹には1つずつ、私と姉様は2人で半分こして、味見しましょう♪
「…美味しい…。…塩加減が絶妙…」
『美味し~い♪』『…美味いな』『美味しいです♪』
「あとは、お昼のおたのしみ~♪」
もう1つ食べたくなるのを、ぐぐっと我慢。
お昼のピクニックを楽しみに、今はお弁当作りを再開しましょう!
*~*~*~*~*
パンッ!
洗濯物を干す前に、皺伸ばしと水切りを兼ねて、1度大きく振っておきます。
小気味良い音をたてて、洗濯物が風を孕む。
魔法や魔道具で乾燥させれば早いのだけど、やっぱり天日乾燥が気持ち良いです♪
お日様の匂いって、幸せな感じがしますね♪
物干場にある背の高い樹の枝に、丈夫なロープを張って、乾燥させます。
ただし、干すのは下の方で干しますよ?
ロープの両端を、シリウスとレグルスに啣えてもらって、3歳児でも届く高さで干します。
そのロープを樹に結ぶ(と言うか、引っ掛ける)のは、アルタイルにお願いしました。
「よしっ! かんせいです!」
「…ん。終わり…」
『おおぉ~、壮観だねぇ~』
『風に花の香りが混ざり始めた…。風向きが変わる』
『ふふっ。今日は天気も良く、適度な風もあるようですから、洗濯物も早めに乾きそうですね』
パタパタと風にはためく洗濯物を見上げて、皆で軽い達成感に浸る。
「さて、せんたくものはおわり~♪
ピクニックに良さそうなばしょをさがそう♪」
「…湖が見える場所…?」
『なら、裏庭の薬草園の辺りだな』
私が教えたピクニックの条件を思い出しながら、皆で場所を考えます。
レグルスがあげたのは、裏庭。
でも、薬草園て何?
「やくそうえん?」
『だね~。あの辺は陽当たりもいいよ~♪』
ん? アルタイルは知ってるのかな?
『? ユナは、薬草園に気付いて無かったのですか?
家を建てた後、柵で囲って庭が出来た途端に、裏庭の片隅に割りと大きめの薬草園が出来ましたよ?』
不思議に思って沈黙しつつも、レグルスとアルタイルを凝視して、首を傾げた……ら、シリウスが気が付いて教えてくれた。
「ふぇ? できたって…どうやって?」
「……ああ、もしかして…【無限収納】に…苗…入ってた…?
…なら…魔道具と同期させれば…勝手に育つ…よ?」
………。
ぁ、あった。
確か、【薬草の苗】と【野菜の苗】と【ハーブの苗】が入ってた!
薬草は効能別、野菜は根菜葉物などの種類別、ハーブは用途別と細かく(カスタマイズしましたから)分けられて入ってますね…。
育成するにも、土を耕す所からかな? と、後回しにしていたのですが…。
苗が入った収納を、魔道具と同期させれば、自動的に畑になるってどういうことですか!?
割りと何でも出来ちゃう魔法が有るとはいえ、クラウディアの植物育成って、どうなってるんでしょう?
………。
取り敢えず、考えてても仕方無いので、今は置いときましょう。
今必要なのは、ピクニックが出来る場所です!
例え現実逃避でも、優先順位はピクニックが先なのです!