やっと会えた! 侵入者はお姉ちゃん?
お待たせしました。
再開です。
ユナちゃんのクラウディア生活3日めです。
今日も、ゆったり、のんびり、時々ドタバタ。
愛すべき3歳児の1日は、小鳥の囀りから始まるのです!
──チチチッ ピュイッ。
───チチッ ヒョロロロロッ。
………。
…朝ですか?…朝ですね…。
鳥さん…うっさいです。
ヒョロロロロッって…どんな鳥?
昨日よりも近く、窓辺の辺りで、鳥の声が聞こえてます。
2日連続の夜更かしが祟ったのか、頭がぼうっとします。
爽やかな朝の目覚めって、どんなものでしょうね…。
天蓋から下がる薄布のお陰で、光は目に優しい柔らかさを保っているみたいだけど、靄掛かった頭には、あんまり意味がありません。
のそのそとベッドの上で起き出しますが、未だに頭が働かない。
ふと隣に小さな布団の山を見付けました。
? え~と…。
シリウスかレグルスでしょうか?
確か、昨夜も小さくなって、籠に寝ていたはず。
いつの間にベッドに上がったのでしょう?
中途半端に大きい気がするなぁ…。
何かあるのでしょうか?
…捲れば分かりますかね?
えいっ! っと捲った布団の下には……。
「………だれ?」
…見覚えの無い女の子です。
私より少し歳上くらいの物凄い美少女が、猫の子みたいに丸まって眠ってます。
………。
本当に誰でしょう? うっすら光ってませんか?
取り敢えず、お布団は戻しましょう。
風邪を引いたら大変ですから…。
布団を戻し、寝惚けて働かない頭で、ぼうっと考え込んでいたら、本来の姿に戻ったレグルスとシリウスが、心配そうにベッドの傍を彷徨いていました。
起きた気配はするのに、一向にベッドから出ない私に、心配になったらしい。
『どうした? ユナ』
『どうかしましたか? ユナ』
「ぉはよう~。レグルしゅ、シリウしゅ」
薄布の向こうから、控え目にかけられた声に、舌足らずな挨拶を返した。
起き抜けって、なんで噛んじゃうんだろう…。
「に。ごめん、噛んりゃった…」
名前をちゃんと発音できなかった事を謝ったはずなのにっ!
「りゃった」って…。
恥ずかしくて悶えてたら、完全に目が覚めた。
もう一度隣を見て、今度はそっと布団を捲って、女の子がいるのを確認する。
寝惚けて見た幻とかだったら、洒落にならない。
………。
やっぱり、いる。
夢じゃないね…。
私と同じくらいサラサラな髪は、青みを帯びた艶やかな黒色。
陶磁器みたいに白い肌と、あどけなさを残す面差しは、芸術品の如く人を魅了する美しさだ。
「レグルス、シリウス。
ベッドに知らないおねぇちゃがいるんだけど、2人はこのおねぇちゃを知ってる?」
あぅぅっ。
「おねぇちゃ」って…。
やっぱり発音難しいよぅ。
フォルお姉ちゃん達に会うまでに、ちゃんと発音出来るようになるのかな?
『はぁっ!? なんだと!?』
『ユナっ! 入りますよ!』
私の質問に、レグルスが驚き、シリウスは焦った様に、薄布を避けて頭を突っ込んできた。
「シリウス、大丈夫だよ。気持ちよさそうに寝てるだけ。
わたしはなんともないから、おちついて?」
『良かった。無事なのですね』
『シリウス、ユナが無事なら、さっさと侵入者を確認しろ!
俺達に気配を気取らせないなど、常人では有り得ん!』
安堵するシリウスとは逆に、 レグルスは警戒レベルを跳ね上げる。
聖獣である3匹の警戒網を掻い潜った女の子に、契約獣として警戒どころか軽い殺気まで発している。
「レグルスもおちついて。
ベッドの中にいるってことは、このおねぇちゃには、がいいがないってことでしょ?」
グルルッと唸りを上げるレグルスに、魔道具の効果を指摘する。
自宅である【大草原の小さなお家】は勿論、寝台であるベッドも“天蓋”が“結界の魔道具”になってて、薄布を下ろした遮蔽空間内は、持ち主への害意を弾く様に出来てる。
だから、横に寝ている女の子も、危険なことは無いと思うんだよね。
「ね? おうちもベッドも、おかあさんのかごできょうかされたまじっくあいてむだもん。
“こわい人”や“いやな人”は、入ってこれないはずでしょ?」
レグルスは魔道具の効果を思い出し、無理矢理納得したのか、唸るのを止め、殺気も霧散させてはくれたけど、警戒はしたままだ。
シリウスも憮然としながら、私を護るべく軽々とベッドに上がって、女の子と私の間に滑り込む。
『どうしたの~?』
緊張をはらんだ空気を、アルタイルの無邪気な声が切り開く。
アルタイル?
空気を読もうね?
何処までマイペースですか…。
いや、そんなアルタイルも大好きだけどね?
『あ~、シリウスずるい~。
ユナ~、僕もベッドに上がってい~い?』
了承するより先に、アルタイルは小さな小鳥姿のまま薄布を越えて、私の肩に止まりました。
『おはよう~、ユナ~』
ほっぺに身体全体で擦り寄り、朝の挨拶をくれます。
「おはよう、アルタイル。今日は早いね♪」
くすぐったさに笑いながら、昨日とは違い、早い時間に起き出した事を、指摘してみます。
朝に弱い訳じゃないのかな?
『ん~。まだ寝てたかったけど、懐かしい匂いがしたから~』
ぁ、朝に弱いと言うより、寝るのが好きなのかな?
でも、懐かしい匂いって?
多分この女の子の事だよね?
『起きて~、リュニベール様~。ユナ達が困ってるよ~』
私の肩から、シリウスの向こう側に下りたアルタイルの台詞に、レグルスとシリウスが固まりました。
私もびっくりして目を瞠り、シリウスの向こう側にいる女の子をもう一度見ようと、伏せているシリウスの背中によじ登ります。
シリウスの向こう側では、アルタイルが女の子のほっぺを、嘴の先で突っついていました。
リュニベールって、ベル姉様だよね?
なんで私と寝てたんだろう?
でも、あの女の子がベル姉様なら、やっと会えたんだ!
早く起きないかな…。
姉様の事、いっぱい知りたいな♪
最初に会いに来たのは、宇宙の女神リュニベール様。
女神様は、有言実行ですね。(^ー^;A
クラウディアでの2度目の朝は、寝起きドッキリからスタートです。
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──近況報告?──
さて、これまで感想を受け付けていなかった峠岬(作者)ですが、本日午後から、ユーザーのみ感想を受け付ける事にしました。
批判が怖い“超小心者”の峠岬ですが、『本当にユナちゃんは、少しでも好かれているのかな…』などと、別の不安に潰れそうなので、ユーザー様のみ感想を受け付けてみます。
すみません。
完全なる“豆腐メンタルな駄目作者”なので、出来る事なら『応援寄りの感想』をお願いします。
悪意には簡単に潰れます。
善意でもダメ出しには萎れます。
軽い対人恐怖と、モノグサな性質ゆえ、お返事は出来そうにありません。
『それでも良い!』『私は、ユナちゃん達が好きだ!』と言ってくださるユーザ様、感想をお待ちしております。
対人スキルが皆無な作者ですが、『ユナちゃん達への応援の声』があれば、僅かなりとも頑張れ(ると思い)ます!
元来“後ろ向き”な性格の峠岬に、優しさと恩情をください…。
宜しくお願い致します。
峠岬 嶺