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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第2章─街へ行こう! 世界を知るための第一歩?
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街中散策は終了です。またね、農産の街ラディオール♪

「おっ! 昼間の嬢ちゃんじゃねぇか!」


 門前に辿り着き、手荷物検索を終えて、門を潜ろうとした時、門番をしているおじ様が声をかけてくれました。


 ! 昼間のおじ様だ!

 お仕事の邪魔をしちゃったのに、優しくしてくれたおじ様です!

 ドライフルーツは、食べてもらえたでしょうか…。


「おじしゃま!」


 検査の為に、抱っこから解放されていた私は、覚えていてくれた事に、嬉しくなっておじ様の脚に抱きつきました。

 さっきまで頭の上にいたアルタイルは、お母さんの肩に移動してますから、勢い良く動いても大丈夫です!


「おっと!? はははっ。昼間は砂糖漬けの果物を有難うな!

 美味かった! 交代の連中も楽しみにしてるぞ?

 で? どうだったい? 街は楽しかったか?」


 突然抱きついた3歳児に、嫌な顔ひとつせず、頭を撫でつつ屈んでくれます。

 視線を合わせて、楽しそうに笑いながら、ドライフルーツの御礼と感想をくれて、街の感想を聞かれました。

 良かった、ドライフルーツの差し入れは、喜んでもらえたんだね♪


「うん。すっごく楽しかった!

 “やたい”でね、“くしやき”食べたよ♪ おい()かった!」


「おっ!? もしかして、ガザンの親父さんとこか?」


「に? おじしゃま、知り合い?」


「おうっ! 親父さんは俺の親代わりみたいなもんだ!

 ガキの頃から世話になりっぱなしさ」


 う~っ。さっきから噛み噛み…。

 やっぱり、“さ行”は天敵かぁ!?

 気が急いてるとは言え、3回か4回に1回しか、ちゃんと発音出来てない…。

 みんな気にしてないから、多少恥ずかしさは薄れてきたけど、きちんと発音出来る様に頑張るぞ!


 ………。

 あれ? ちょっと待って。

 ガザンさんが親代わりって?

 兄代わりで無く?

 衛兵のおじ様って何歳?

 おじ様って呼んでて大丈夫?

 ガザンさんは、40代くらいだと思うけど…。

 聞かなかったからなぁ。


「…おじさまは、お兄しゃん?」


「おっちゃんでいいさ。もうすぐ35だ。

 嬢ちゃんくらいのチビッ子にとっちゃあ、おっちゃんだろうからな!」


 れ? やっぱり、お兄さん代わりじゃないかな?

 歳が近すぎない?

 ガザンさんが、童顔なのかな?

 今度来た時、ガザンさんに年齢ちゃんと教えてもらおう。


 ぁ、それより、衛兵のおじ様の名前知らない…。

 昼間は泣いちゃったから、挨拶のタイミングが分からなかったんだよね。

 色々疑問はあるけど、衛兵のおじ様への挨拶が先だよね!

 名前も知らないおじ様に抱きつくとか…。

 ダメ駄目デスネ。


「…! ごあいさつが、おそくなりま()た。

 ユナです。よろしくおねがい()しゅ()


 またも噛んでるし! 泣いちゃうぞ!?

 本当に、さ行は天敵デスヨ…。


 “噛み噛み”に落ち込み、視線を落とした私の目に、心配そうなシリウスとレグルスが入り込みます。


 レグルスは、私が気付いた途端、ふいっと全然違う方を向いてしまった…。

 でも、お耳が私の方を向いてるよ?

 やっぱり、ツンデレさん?


 シリウスは、目が合った後も、じっと心配そうに私を見つめます。

 …シリウス…。

 慰めてくれますか? 有難うございます。

 あぁ、子犬のふかふか感が……癒されます…。

 そっとしゃがんで、無言で差し出した腕に、シリウスが身体を預けてくれたので、青銀色の毛並みを堪能しましょう。


 シリウスを抱っこして立ち上がると、右足にするりと何かが巻き付いた。

 見るとレグルスの尻尾だ。

 私の足元で背中を向けつつ、尻尾で慰めてくれるんですね?


「ふははっ、丁寧にどうもな。おっちゃんは、ブロドってんだ!

 こっちこそ宜しくな!」


 落ち込みから、現実逃避をしつつ、2匹を構い始めた私に、衛兵のおじ様改め、ブロドさんはガザンさんと似た雰囲気の豪快な、でもとっても優しい笑顔をくれた。


「ブロドおじしゃま」


 シリウスの毛並みに埋めていた顔を上げて、ブロドさんの名前を呼んでみます。


「言い難かったら、名前じゃなくて、おっちゃんでいいぞ?」


「おじしゃま?」


「あっはっはっ。様付けされるような柄じゃねぇさ」


(ぇ、様付け禁止ですか? 敬称は?)


「まぁ、その方が呼びやすいなら、それでもいいけどな」


 不安が顔に出てたのか、ブロドさんがサクッと折れてくれた。

 よしっ! じゃあ、やっぱりおじ様で!


「おじしゃま♪」


 嬉しくて、渾身の笑顔でブロドさんを呼んだら、驚いたのかブロドさんが固まった。

 どうしたのかな?

 笑顔を見せると、びっくりして固まる人が多くない?

 お~い、ブロドさ~ん。


「呼び方は決まった?」


 困惑しつつ、ブロドさんを眺めていたら、お母さんが笑顔で近付いて来た。

 振り返って、レグルスを御伴に、シリウスを抱っこしたまま、お母さんに駆け寄ります。


「おかあさん、ブロドおじしゃま♪」


 辿り着いて、ブロドさんをお母さんに紹介します。

 お母さんもブロドさんの名前は知らなかったよね♪


「ふふっ。仲好しさんになれたの?」


「うんっ♪」


 シリウスを両腕で抱えたまま、笑顔で頷く私の頭を、お母さんが優しく撫でてくれます。

 もうすぐお別れだけど、大丈夫。

 ちゃんと頑張れます!

 シリウスやレグルス、アルタイルも居るし、今日出会えた楽しい? おじ様達もいるもんね♪

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