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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第2章─街へ行こう! 世界を知るための第一歩?
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街には、濃いキャラクターが多いのかな? 私的には面白いです♪

「ようこそ! 冒険者組合(ギルド)『アヴァロン』へ!」


 お姉ちゃん達との初お喋りを終えて、“冒険者組合”通称『ギルド』へとやって来ました。


 ええ、はい。

 やっぱり、お母さんに抱っこで運ばれました。

 3歳児の歩みは、覚束無くて危なっかしいし、お母さんの制限時間内に、やりたいことを全部やるなら、運んだ方が確実だもんね……。


「本日は御依頼ですか? 御仕事ですか? 御登録も承ります」


 おっと、黄昏てる場合じゃ無いですね。

 受付に居たにこやかなお姉さんが、定型文らしい口上を述べています。


「こんにちは。登録と、聞きたいことがあるわ」


 お母さんも、お姉さんに負けないくらい柔らかな笑顔で応えます。


 ところで、登録ってどっちでしょう?

 冒険者になるための『冒険者登録』かな?

 お母さんは、既に登録済みの冒険者だから、此方なら私の登録だね。

 それとも、活動拠点を決める『拠点登録』かな?

 お母さんは王都のギルドで登録している事になってる筈だから、此方なら拠点移動の手続きをするんだろうね。

 どっちかな?

 それに……聞きたい事ってなんだろう?


「なんでしょう?」


 お姉さんは幾つかの書類を用意しながら、お母さんに問い掛けます。


「ギルドマスターは、『巨人(タイタン)』のまま?」


「ぁわわわわっ。そ、その呼称は禁句ですぅっ!」


「ちょっと! 誰が巨人よっ!? 死にたいの!? 「ぁ、やっぱり居た」 って、シア!? シアじゃないの!!」


 お母さんが“巨人”と言葉にした途端、受付のお姉さんが慌てだし、お姉さんの背後から低音の心地好い声(バリトンボイス)がお母さんを脅すように叱り付けました。

 お姉さんの背後を確認して、納得した様に頷いたお母さんの言葉に、声の主が驚きを隠さずに詰め寄って来ます。


「ヤッホー♪ 久しぶりね? モーリス」


 陰になっていて分からなかった声の主は、2モルク(m)近い長身のお兄さんだった。

 筋骨隆々の逞しい雰囲気だけど、粗野な所は全く無くて、仕草は洗練された上品な騎士様みたいだ。


 ………。

 あれ? ちょっと、待った!

 聞き間違いかな?


「どうしたのよ!? あんたは今、王都に居るんじゃなかった?」


 !? 聞き間違いじゃ無かった……。

 お兄さんの言葉遣いが……。

 外見はお兄さんだけど、もしかして本当はお姉さんなのかな?

 いや、でも…。


「ん~。4年くらい前に、別行動で実家に戻ってたんだけど、末娘に色んな物を見せてあげたくて、リシャの森に越して来たのよ」


 お母さんの知り合いみたいだけど、聞いてもいいかな?

 失礼かな?

 いや、勘違いする方が失礼だよね!


「あら、可愛い。あんたにそっくりね♪」


 決意してお兄さんを見上げたら………お兄さんに褒められた!?


 お顔が熱いです!

 恥ずかしいです!

 でも、お母さんに似てるって。

 外見が可愛いって褒められたんだよね?

 それなら、合ってます。


 お姉ちゃん達の時とは違って、中身じゃないなら、私も可愛いと思いますよ♪

 だって、私の外見は、お母さんをベースに造られてますからね!

 自己愛主義者(ナルシスト)では無いです。

 純然たる事実ですもん。


 でも、面と向かって褒められるのは、やっぱり恥ずかしい!

 うん。隠れよう!

 ……抱っこされたままなので、無理ですね。

 せめて、赤くなってるだろう顔だけでも隠しましょう。

 お母さんにくっついちゃえば、他の人にも見えないよね?


「で? この子の父親は?」


「あの人以外にいるわけ無いでしょ」


「そうよねぇ」


 照れて悶えてる間にも、お母さん達の会話は、私の頭の上で飛び交います。


 ……やっぱりお父さんも居るんですね。


「ま、ユナは父親の顔すら知らないけどね」


「はぁっ!? どういうことよ!?」


「あの人ったら、別行動のここ4年ほど、弟子2人と修行の旅に出てるのよ。

 だから、ユナが産まれた事は伝えたけど、まだ戻って来れて無いのよね」


「……相変わらずねぇ。あんた達夫婦は」


 お父さんは、熱血系なんですかね?

 お弟子さんが居るとは、職人さんなのかな?

 でも、修行の旅ってことは、商人さんなのかも?

 ん~、人物像がはっきりしません。


「ところで、この子は『ユナ』って名前なのね?」


「可愛いでしょ?」


「確かに。面差しはあんたに似てるけど、髪質はあいつ似かしらね。

 こんなに可愛いと、三つ子ちゃん達も焼きもち妬かずに、可愛がりそうね」


「ええ。上の子達にも溺愛されてるわ」


 おぉっ! お父さんは、私とおんなじサラサラ髪なんですか。

 初めての確定情報ですね!

 お母さんは、緩いウェーブがかかって、ふわふわ髪です。

 色はおんなじですけどね♪

 以前の私も、ふわふわ髪と言えなくはなかったけど、あれは“癖毛”が正解だと思う……。よく跳ねてたもん。


 お姉ちゃん達の事も話してますねぇ。

 お姉ちゃん達には、大好きって言って貰えましたよ?

 私も大好きなのです!

 早く会いたいなぁ…。


 ………。

 …まずい…。

 眠くなってきちゃった…。


「…おかぁしゃん…ねみゅい(眠い)…」


「寝てても良いわよ?」


 お母さんの肩に、ぐりぐりと額を押し付けて訴えたら、軽く揺すられて寝かし付けられそうになってます。


 …本格的に…まずい…です…。


 今、寝ちゃったら、また暫くお母さんに会えなくなっちゃいます。

 もうちょっと一緒に居たいよ。

 まだ、お母さんと一緒がいいよ。


「ん~や~。…おかぁしゃん…いっしょ…いりゅ…にょ………」

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