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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第2章─街へ行こう! 世界を知るための第一歩?
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お姉ちゃん達は個性的? 呼び方リクエスト。

(図々しかったかな? 嫌われちゃうかも……)


 初めましての挨拶を交わした後、何の許可もなく“お姉ちゃん”と呼んでしまった事で、不安になりました……。


 挨拶してくれたお姉ちゃんの声は、とても優しくて嫌な感情なんて微塵も含まれては無かったけど、初対面で馴れ馴れしく呼ぶべきじゃ無かった?


『…フォーレ様…』


 不安に押し潰されかけて、弱々しく敬称を付けて呼び掛け直した。


 失敗したかも知れなくても、あの優しげな声の女神様なら、お話だけはきっと聞いてくれるよね……。


『ユ・ナ? 敬称はいりません!

 最初みたいに「お姉ちゃん」と呼んでください!』


 恐々呼び掛けた私に、お姉ちゃんはほんの少し怒った様に叱ってくれました。

 “お姉ちゃん”って呼んで良いと。


『フォーレお姉ちゃん?』


 良いと言ってくれるなら、私はお姉ちゃんと呼びたい。

 だって、ずっと憧れてましたからね♪

 呼び掛ける声に、喜色が帯びても仕方無いです。

 “お姉ちゃん”が私を受け入れてくれたのですから。


『っ! あぁもぅっ! 可愛いです!

 可愛らしいです! 今すぐ抱き締めたいです!『暴走すんな、阿保(あフォ)ーレ』 ぃっ!?』


 勢い良く紡がれる、喜色満面のお姉ちゃんの声が遮られ、「スパンッ」と軽いのにとっても良い打撃音(おと)? が響きました。

 ハリセン? ハリセンの打撃音に似てましたが……。


 誰でしょう?

 お姉ちゃんやお母さんの声より、ちょっと低い感じの女の人の声です。


『痛いでしょ!? いきなり叩かないでよ!』


『…叩かれても、仕方無いよ…』


 ぁ、さっきの打撃音は、やっぱりお姉ちゃんが叩かれた音でしたか。

 大丈夫ですかね?

 あの勢いは、痛そうでしたよ?

 フォーレお姉ちゃんの抗議に応えたのは、先程とは別の女性の声。

 お母さんの声に似ていますが、言葉使いや抑揚の付け方がちょっと違います。


『ちょっ!? 仕方無いって!?』


『仕方無いだろうが。妹を怖がらすな阿保娘』


 ハリセンの打撃音? と一緒に聞こえた声の女性? が、フォーレお姉ちゃんの抗議を、サクッと切り捨ててます。


『え? え? 怖がらせた?

 え? 私、ユナに嫌われちゃった!?』


 ぁ、フォーレお姉ちゃんが焦ってる。

 お~い、大丈夫ですよ~。


『フォーレお姉ちゃん、嫌ってないよ?

 ちょっとびっくりしたけど、怖くなかったよ?』


『─っ、ユナ~。ご、ごめんね。

 妹が出来たって聞いてから、会えるのが楽しみだったの。

 可愛らしい声で「お姉ちゃん」て呼んで貰えたら、嬉しさが抑えきれなかったのよ……』


 急いでフォローした私に、フォーレお姉ちゃんが心境を説明してくれました。

 一生懸命私を“妹”として受け入れようとしてくれるフォーレお姉ちゃんの言葉に、胸が温かい気持ちでいっぱいになります。


『うん。私もお姉ちゃんがいるって聞いて、早く会いたいなぁって、凄く楽しみにしてるよ。

 お喋りだけなら、直ぐにでも出来るって聞いて、それなら直ぐお喋りしたいって街まで来たんだよ♪』


 嬉しさを隠さずに、フォーレお姉ちゃんに同調します。

 だって、フォーレお姉ちゃんは、憧れの“お姉ちゃん”になってくれるって事ですよね?

 家族が増えたって事ですよね?

 嬉し過ぎます!


 ! 感動してる場合じゃないです。

 お姉ちゃんは3人いるはず……。

 先程から聞こえていた他の2つの声って、あと2人いるはずのお姉ちゃん達なのでしょうか?

 ……聞いてみよう!


『…それで…あの……さっき聞こえた他の声って…もしかして…』


『ぁ、ゴメン。挨拶忘れてた。

 あたしは、クラウディアの主神、創造神フェリシア様の眷族、生命と審判を司る海の女神ラメルだ。

 呼ぶときは、姉ちゃんとか姉貴で良いぞ?

 宜しくな』


『! ユナです。宜しくお願いします。ラメル姉さん?』


 おおっ!

 やっぱり他のお姉ちゃんでした!

 フォーレお姉ちゃんを叩いた? 女性が、ラメルお姉ちゃんですね。

 ハキハキした喋り方で、フォーレお姉ちゃんが可愛らしい感じなのに対して、ラメルお姉ちゃんは格好いい感じです。

 確かに、「お姉ちゃん」より、「お姉さん」の方が似合う感じ。

 御本人の希望でもあるので、お姉さんと呼びましょう♪


『───っ。うっわ、可愛いなぁ。良いぞ、「姉さん」で』


 ……えっと、褒められちゃい……ました……よ?

 あれ? さっき、もしかしてフォーレお姉ちゃんにも褒められてました……か?


 にゃぁぁぁ、照れます!

 お姉ちゃん達に好きになって貰えたら嬉しいですが、私は可愛いからは遠いと思います!

 外見は、お母さんがベースなので“美少女”といえるし、可愛いとも思いますが、中身は可愛いからは……絶対外れてると思います。


『…「姉様」って、呼ばれたい…。

 ぼくは、主神である創造神フェリシア様の眷族…。

 安寧と運命を司る宇宙(そら)の女神リュニベール…。

 …長いから、「ベル」でいい…』


 にゃ!

 照れて悶えている場合でもないです。

 最後の1人も、やっぱりお姉ちゃんですか!

 フォーレお姉ちゃんの抗議にツッコミ? を入れてたのが、リュニベールお姉ちゃんだそうです。

 呼び方のリクエストですね?

 勿論受け入れますよ!

 ベル姉様は、「ぼくっ()」さんですね。

 ゆっくり、訥々(とつとつ)と話す感じで、他の2人より落ち着いてる気がします。


『初めまして、ユナです。えっと、ベル姉様?』


『………可愛い………』


 はいっ!?

 か、可愛くないです!

 可愛くはないと思います!!

 ひ~ん。お姉ちゃん達が私をべた褒めします~。

 なんでですか!?

 私のどこが可愛いと!?

 きっと絶対、お姉ちゃん達こそ、綺麗で可愛いんです!

 それとも、“お姉ちゃんフィルター”でも存在するのですか?

 “妹”というだけで、お姉ちゃん達には可愛いと思われたのですか?

 確かに、自分を慕ってくれる小さな存在は、庇護欲を擽る(くすぐる)かも知れませんが……。

 それにしたって、褒め過ぎですよ?

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