表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第2章─街へ行こう! 世界を知るための第一歩?
20/169

お母さんは怒ると恐いです。串焼きとギルドの噂?

 初めてのお買い物を無事クリアした私は、その場で食べる許可をおじ様とお母さんに貰いました。

 串焼きの香ばしい匂いには、腹ペコ娘じゃ勝てません!


 お母さんが“自分の”【無限収納】から出した木皿に、3本分の串焼きを串から外して盛り付けて、足元にいるレグルスとシリウスの前に置いてます。

 場所を取りすぎない様に、大きめの木皿に纏め盛りしてますね。


「仲良く食べるのよ?」


 木皿の中身を確認して、レグルスとシリウスが『いただきます』を言ってから食べ始めます。

 勿論、アルタイルも私の肩から木皿の縁へと場所を移して、参戦してる。


 一瞬、喋って良いのかな? と思ったけど、よく考えたら、レグルス達の声は、【念話】のスキルが働いて初めて聞こえるものです。

 スキルを持たない人には聞こえないし、スキルを持っていてもレベルが低ければ、会話は成立しないんだった。


 残った1本を、お母さんと2人で半分こします。


 や~、この大きさを1人で食べるのは無理です。

 だって、私は3歳児……いや、以前のままでも無理か?

 ……間食無しで、部活後だったら……なんとか……いや、うん。

 無理だって! この大きさは無理!

 3つが限界だろうなぁ。しかも、晩ご飯が入らなくなる……。


 ………。


 取り敢えず、食べよう!

 今なら、お母さんと半分ずつだから、大丈夫!!

 うん、食べよう♪


「いただきます!」


 ─はぐっ!


 お母さんに串を支えて貰いつつ、最初の1つに食い付きます。

 フフフ、豪快にいきますよ♪

 だって、串焼きは豪快に食べるのが、ベストな食べ方だよね?

 豪快に食べてこそ、本来の美味しさが分かる!…はず…。

 いや、私の持論だから、上品に串から外して食べるのも、アリだとは思うよ?

 ま、多少お行儀が悪くても、今の私(3歳児)なら許されるよね?


 ──モグモグ、ムグムグ。

 ごっくん!(うま~♪)


 屋台の前で立ったままと、ちょっと不作法な状態だけど、串焼きの美味しさは本物でした!

 美味しい物って凄いね♪

 今なら、周りの空気にお花を飛ばせそう♪


「お~。美味そうに食うなぁ。どうだ? 嬢ちゃん、気に入ったか?」


「うん。おいし~い♪」


「そりゃ、良かった! たんと食え」


「ふふっ。私も貰うわね。──あら、本当に美味し♪」


 お母さんも私が食い付いたお肉とは別のお肉を(かじ)ります。

 結構大きめに齧ったのに、口許を手で隠しながら咀嚼する姿は、上品さを纏って麗しい。


 口調は雑な感じなのに、仕草は上品……。

 お母さんは、お忍びのお嬢様ですか?


 いや、“元お嬢様な凄腕冒険者”な設定なのかな?

 まぁ、確かに、物語の魔女そのものとは思ったけど、お母さんの今の姿は、クラウディアにおける貴族の奥方や、愛人(?)にも見えなくはない。

 着ている(ドレス)も、動き易さを重視しているからか、少々挑発的な印象はあるけど、下品だとか破廉恥だとかいった嫌な印象は皆無で、気品ある美しさが際立ってる。

 なのに、第一印象は魔女。

 恐ろしさ重視の陰険なイメージじゃなくて、悪戯好きで気紛れな美女のイメージの魔女。


 ………。


 うん。考えるだけ無駄っぽいね♪

 お母さんは、女神様。

 クラウディアを創った、創造神様だよね♪


 美味しい串焼きを堪能しながら、ふと浮かんだ疑問は、取り敢えず無かったことにしておいた。


「ところで、姐さんは冒険者か?」


「? どう見ても冒険者じゃない」


「あ、やっぱりそうなんか! いや、格好だけだと、ちと迷ってなぁ」


「なぁに? この格好に文句でも?」


 にっこり笑顔なのに、お母さんの周囲の温度が、徐々に下がっていきます!?


(ぅにゃっ!? さ、寒いです! 恐いです! 緊急事態です!

 誰かぁ~助けてください!)


 救いを求めて、辺りを見回します。

 !? 皆さん、お店を避けてませんか!?

 足元に視線を落とせば、シリウスもレグルスもお母さんを見上げて、ちょっと及び腰です。

 アルタイルに至っては、お肉を啣えたまま固まってます。


「違う、違う! 姐さんにゃ良く似合ってるし、文句なんざ1個もねぇよ。

 そうじゃ無くて、冒険者ならギルドに行くだろうと思ったんだよ」


 おじ様も少々青ざめつつ、速攻で否定と説明を口にしました。

 うん。お母さんてば、恐かった……。


「ええ。ギルドには行くわよ?」


「やっぱりなぁ。姐さん、大きな声じゃ言えないが、副ギルドマスター(サブマス)には気を付けな」


 おじ様は声を潜めて、お母さんに言い難そうに注意する。


 お店の周りで、微かに魔素が動いた。

 お母さんが魔法を使ったみたいだ。


 魔素が魔法に変わると、キラキラと優しくて綺麗な光に見える。

 使われた魔法の属性の色の光。

 今は、ライムグリーン。少量の金色が混じってる。

 風と光の属性だ。

 防音と認識疎外? ……ぁ、結界だ。

 おじ様と内緒のお話かな?


「アイツぁ、女に目がなくてなぁ。

 若い新人や余所から来た渡りの冒険者、目を惹く様な見目の良い奴に、無理難題をふっかけちゃあ、喰いもんにしてるって噂がある。

 姐さんはこの街じゃ見ない顔だが、随分腕がたつ様に見える。

 姐さんだけなら、どんなに別嬪だって心配なんざぁしねぇ。

 けど、嬢ちゃんが一緒なら話は別だ。

 奴が姐さんに目を付ければ、嬢ちゃんが捲き込まれるかも知れん」


 おじ様が心配そうに私を見ます。

 上から覗き込まれると、影になってちょっと怖い……。

 お母さんのドレスの袖を握って、お母さんの後ろに避難します。

 お母さん越しにおじ様を見上げる私の頭を、私が掴んだ方とは逆の手で安心させる様に撫でて、お母さんは優しく笑います。


「有難う。気を付けるわ。

 まぁ、娘に手を出す様なら、問答無用で排除するから、心配しなくても大丈夫よ。

 うふふ。ちょっとしたつて(・・)もあるし、目に余る様なら夫に告げ口するのも手かな♪」


「ん? 姐さんの旦那、強いのか?」


「ええ。私の旦那様は最強よ♪」


 悪戯を思い付いた子供みたいに、お母さんはにっこり笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ