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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第2章─街へ行こう! 世界を知るための第一歩?
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街に入る前に。通用門にいたのは、気のいい“おっちゃん”でした。

お待たせしました。

なんとか復活です!

お休み前より“短め”ですが、息切れ防止策なので、ご勘弁を。


前回まで──農産の街ラディオールにやって来たユナちゃん達……門前での一悶着? から解放されて、チェック待ちの列に並びました。

「次の者」


 ぁ、何で遊ぶか迷ってる間に、順番が来ちゃいました…。

 ショックです!


「な、なんだ? どうしたんだ? 嬢ちゃん?」


 余程絶望的な表情になってたのか、順番を促した衛兵さんが、慌て出しました。

 衛兵さんには申し訳ないですが、視界が涙でぼやけ始めてます。

 あぁ、もう。これは、駄目です。泣いちゃいます!


「気にしないで。待ち時間に遊んでようと考えてた所だったのに、思いの外早く順番が回ってきたから、決めきれなくて考えるだけで終わっちゃったのよ」


 嗚咽は我慢してるけど、涙が止まらない。

 お母さんが頭を撫でながら、衛兵さんに説明してくれます。


「大丈夫、またあとで遊びましょ? 今は先にしなくちゃいけないことがあるでしょ?」


「すまんなぁ、嬢ちゃん。おっちゃんが、もう少し待ってやれたら良かったんだが…」


 衛兵さんの言葉に、頭を横に振ることで、衛兵さんは悪くないことを訴えます。

 口を開けば、嗚咽が洩れちゃう。

 これ以上、衛兵さんを困らせてはいけません!


「大丈夫、大丈夫。時間はまだまだ沢山あるでしょ?」


 お母さんが私の頭を自分の肩に抱き寄せて、ゆっくり背中を撫でることで、呼吸を宥めてくれます。

 お母さんにしがみついて、泣き声が洩れないように、一生懸命泣き止もうとしますが、何故だか感情に振り回されて、涙が止まらない…。


「うぁあ…、本当にごめんなぁ」


「ふふっ。大丈夫よ? この子、凄く賢いから、誰も悪くないことは、ちゃんと理解出来てるもの。

 お昼寝が出来なかったから、感情の制御が甘くなってるみたいね」


 衛兵さんとお母さんの話を聞きながら、(あぁ、そうか…)と納得する。

 精神は身体に引き摺られ易いというけど、これもその1つだ。

 身体の眠気に引き摺られて、感情抑制機能まで低下してる訳か。


「さぁ、ユナ。身分証を出して。出来る?」


 ふぐえぐと微かな嗚咽を洩らしながら、首に下げてある身分証を引っ張り出します。


「これ~。っく」


「おおっ! 有難うな。ちゃんと見せられて偉いな!」


 衛兵さんは、私が出した身分証を確認して、そっと頭を撫でてくれた。

 お母さんに抱っこされたままだから、衛兵さんの優しそうな笑顔が、はっきり見えます。


「ひっく…おかぁさん、下ろ、して?」


「どうしたの?」


「リュック、から出したい、もの、があるの~」


 怪我をしないように、しゃがんで下ろしてくれたお母さんに、お礼を言ってから、リュックを下ろす。

 ごそごそと漁って、中から瓶を取り出した。


「これ、あげましゅ()


(ぁ、噛んじゃった…)


「ん? なんだ?」


 衛兵さんは、子供である私と目線を合わせるために、地面に片膝を付いて屈んでくれた。

 私が取り出したのは、【ドライフルーツの入った瓶】の1つで、苺・オレンジ・葡萄・林檎の4種類が1瓶に詰められた物だ。

 5つある瓶の内、この瓶だけは、多種類が混ざってた。


「おいおい!? こりゃぁ、砂糖漬けの瓶詰めじゃないか!

 泣かせちまったってのに、こんな“高級品”貰うわけにゃいかねぇよ…」


「ふふっ。だからじゃない?

 泣いて困らせちゃった、お詫びの品の積もりだと思うわ。

 ね? ユナ」


「ん。ごめんなさい…」


「嬢ちゃんは、まだ小さい。何にも悪いことなんざ無いさ」


「ん~ん。おしごとのジャマしちゃった…。

 おじしゃ()またちのおしごと、とっても大事なことなの知ってるよ?

 だから、“ごめんなさい”と“がんばってください”です!」


 呼吸が落ち着いて、涙も止まった。

 精一杯の謝罪と感謝、応援の気持ちを伝えたい。


「うっ、そんなキラキラした目で見られたら、おっちゃん断れねぇじゃねぇか…」


「ふふっ。賄賂じゃなくて、差し入れなんだし、受け取ってあげて?

 貴方だけじゃなくて、ここの皆さんにってことで。ね?」


「いいのか? なら、皆で大事にちょっとずつ味わうからな!」


 お母さんが援護してくれたので、衛兵さんも漸く受け取ってくれました。

 美味しい物は、皆で食べるのが良いですね。

 衛兵さんは、私の頭を再び撫でて、嬉しそうに笑ってくれました。


「はぁ、にしても、女の子ってのは、こうも可愛いもんかねぇ。

 うちは、男ばかし3人だから、可愛げってモノがありゃしねぇ…」


「あら、うちとは逆なのね♪ うちは、女の子ばかり4人だから、かしましいけどね」


「いや、男はつまんねぇな。ガキの頃は悪戯三昧で、でかくなりゃあ生意気ばかり言いやがる。

 1人くらい女の子がいれば、違ったかもなぁ」


「ふふっ。でも、肉体言語で会話が出来るのは、男どうしだからこそじゃない?

 女の子相手じゃ、口喧嘩が精々で、最後には言い負かされる様になるわよ?

 貴方みたいに剛毅な性格してれば、女の子相手に手なんか挙げたら、罪悪感に潰されるんじゃない?」


「うっ、違いねぇ。っと、次の奴が待ってんな。あんたら親子は、通っていいぜ。ラディオールの街を、楽しんでくれ」


 世間話のあと、門の中へと促された。

 私がリュックを漁っていた間に、お母さんも身分証を提示してたらしい。

 再び抱き上げられて、運ばれます。

 レグルス達も、小さいまま足下を歩いたり、私の頭に止まったりして付いてきてます。

 お母さんの肩越しに、衛兵のおじ様に手を振れば、満面の笑顔で振り反してくれました。

 いい人でした♪


 さぁ、いよいよラディオールの街です!

 どんな人がいて、どんな物があるのかな?

 楽しみです♪

すみません。

やっと街には入れたけど、話は進んで無いよね…。

本当にごめんなさい。


次回こそは、ラディオール散策となるのでしょうか?

作者にも、ユナちゃん達の行動は予測不可能です…。

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