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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第10章─ドラゴンの住処へレッツゴー。お友達のお家へ初訪問です!
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出来上がった壁と、同居人。ドワーフさん達は、匠な人達でした。

 ぅわぁお♪

 壁、完成です。


 私達は、目の前の壁に唖然としてる真っ最中です。

 だって、私達の目の前にあったのは、以前の岩肌剥き出しな壁じゃなく、所々に繊細な彫刻が施された、「なにコレ芸術品?」とでも問いたくなるような壁。

 洞窟感が一切ありません。


 そう言えば、ドワーフさん達は、造る事に特化してるのでしたね。

 お母さんから貰った知識の中に、有りました。


 え~と、どういう反応が正解ですか?

 満面の笑み? 苦笑? 薄ら笑い?

 はたまた、爆笑すべきですか?


 見惚れるくらい素晴らしい技術とデザインです。

 が、自宅の壁にここまでの芸術は要らない気がします。

 しかも、洞窟内(ここ)

 違和感バリバリです。


 いや、貴族様の御屋敷とか、王宮とか国立の建築物なら、ありだとは思うよ?

 でも、ここはリムの自宅で、どちらかと言えば在るがまま、自然のままの洞窟です。

 他の壁が岩肌そのままなせいで、違和感が半端無いです。


 ドワーフさん達は、唖然とする私達を他所に、ドヤ顔で満足げに頷いていたり、三つ編み頷髭を撫でながら難しい顔をしていたりと、それぞれ違った雰囲気を醸し出してます。


「…やり過ぎじゃな」


 リムがぽそりと呟きました。

 聞き取ったお父さんやお爺ちゃん、レグルスとシリウスが無言で頷いてます。


「すげぇなぁ」


「エディ…それは、何に対してですか?」


「や、細けぇなって」


「ああ。技術に対してですか───」


「兄上、ドワーフの仕事は、凄いな!」


「正確・迅速・繊細だとは聞いていたけど、ここまでとは…」


「この速さなら、家一軒建てるのに、数日で済みそうだな」


「そうだね。人海戦術で行えば、まる1日で人の暮らせる家が建ちそう」


 お兄さんズは、ドワーフさん達の技術品評中だし、ヒュー様とルクレヒト様は、ドワーフさん達の仕事の速さを讃えてました。


 ん~。

 素直に称賛したいのに、壁のあまりの違和感に、言葉が全部呑み込まれてます。


「しゅごいねぇ…ふぇっ!?」


 細かなレリーフ細工は、可愛らしい花と蔦、小鳥がモチーフになっていて、石壁とは思えない程、滑らかな質感です。

 思わず、壁に彫られた小鳥に触れたら、ゴゴゴゴゴと重い振動音と共に、壁がスライドして行きます。


「「『『隠し扉……』』」」


「「「ふぉぉぉぉぉっ!」」」


 お父さん、お爺ちゃん、レグルス、シリウスが呟いた言葉と、ポッカリ開いた出入口に、ヒュー様とリムと私の叫び声が続きます。


 凄い!

 隠し扉!

 からくり屋敷みたい!


 私とヒュー様、リムが扉の仕掛けを確認しに駆け出します。

 が、扉の裏側を確認しても、仕掛けらしきものが見付からない。

 3人でわちゃわちゃと扉のあちこちを確認してみても、分からない。


「凄いのじゃ! ドワーフ達よ、この仕掛けはどうなっておるのじゃ!?」


「フフフン。凄かろうッス」


「オイ達の技術と魔法の合作ッス」


「昔ながらのやり方に、最近覚えた魔法を加えたッス」


「上手く出来たッスね」


「む。まだ、甘い所もあるッスけどな」


 リムがドワーフさん達に詰め寄るようにして聞けば、すんなりと仕掛けを教えてくれます。

 成る程。

 からくり部分は、魔法が代用されてるから、目に見える仕掛けが無かったんですね。

 確かに、扉の辺りに魔素が集まっていて、キラキラしてます。


「あら、あら、あらなのん?」


「新しいお部屋なのん?」


「埃っぽいのん。お掃除するのん?」


「お片付けも必要なのん?」


「いや。新しい出入口が出来ただけじゃ。

 ふむ。ブラウニー達にも部屋は必要じゃの。

 サクッと増やすかの♪」


 ちょこちょこと近付いて来たブラウニーのおば様達が、扉の向こうを覗き込み、ソワソワと坑道を確認してます。

 そんなブラウニーさん達を見ていたリムが、増築を宣言しました。


「ん? なら、オイ達が造るッスか?」


「ん? そうじゃのぉ。ふむ。

 ある程度、我が拡げるのじゃ。二部屋あれば足りるじゃろう?

 ドワーフ達には内装を頼みたいのぉ。

 我は在るがままで事足りるが、ブラウニー達には人の住処の様相が落ち着くじゃろうし」


「分かったッス! 任せるッスよ」


「迷惑かけた礼代わりッス。全力で整えるッスよ」


「「「「「オー!」」」」」


 リムがお願いすれば、ドワーフさん達は張り切り、ブラウニーさん達は嬉しそうにピョコピョコ飛び跳ねます。


「家主様、家主様。ありがとうなのん。嬉しいのん」


「うむ。喜んで貰えるなら、我も嬉しいのじゃ。

 どれ、サクッと拡げるぞ」


 言うが早いか、リムが本来の姿へと戻ります。


「「「「「「どえぇぇぇぇぇっ!?」」」」」」


「「「「───っ!?」」」」


 ドワーフさん達とブラウニーさん達が、リムの姿に驚愕しました。


 ………。

 そう言えば、リムがドラゴンだって、誰も教えてませんでしたね。

 リムってば、ずっと人化したままでしたし。

 まぁ、ドラゴンといっても、リムは小さいですけどね。


『じゃ、拡げるのじゃ♪』


 ──────ガガガガガ。

 ────ザカザカザカ。ドシャドシャッ。

 ───ドガンッ。ガラガラガラ。


 リムが鋭い爪で、岩肌をチーズか常温バターを削るみたいに、掘り進みます。

 前の世界で見た、ブルドーザーを思い出しました。

 あれよりずっと強力で、速やかですが。


『ふむ。まずは、一部屋出来たのじゃ。こんな物かの?』


 リムが納得いく大きさに堀広げられた新しい部屋は、大人の男の人が4人くらいで普通に生活出来そうな広さです。


『さて、もう一部屋じゃの』


「家主様、家主様。ありがとうなのん」


「この部屋だけで、十分なのん」


「こんなに広く使って良いのん?」


「前は、もっと狭かったのん」


『なんじゃ? これだけで良いのか? 遠慮せずとも良いのじゃぞ?』


「ありがとうなのん。十分なのん。前に居た場所より、ずっとずぅっと広いのん」


『まぁ、御主らがそう言うのならば、ここで止めて置くかの』


 部屋を増やそうとしていたリムを、ブラウニーさん達が止めました。

 まぁ、ブラウニーさん達は、私と同じくらいの背丈の小柄な種族ですもんね。

 この広さなら、普通に生活するのに、一部屋あれば十分です。


 と、それより。

 ブラウニーさん達は【念話】が使えるんですね。

 ドラゴン姿のリムと話が通じてます。


「さて。ドワーフ達よ、内装を頼めるかの?」


「「「「「「任されよ!」」」」」」


 リムが再び人化して、ドワーフさん達にお願いしたら、ドワーフさん達が一斉に新しい洞窟を整え始めます。

 どんなお部屋に成るんでしょう♪

 とっても楽しみです。

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