鬼ごっこ。鬼も多いですが、追われる人も多かった…。
スミマセン。
相変わらず、ちょっと短目です。
「待てー! 待つのじゃ! って、ん? 何処に行ったのじゃ?」
幾つか角を曲がってるうちに、ツルハシ─いえ、ドワーフさんの背中を見失いました。
今いる坑道らしき道は、大人が3人並べるかどうかといった広さなので、大雑把に縦一列で移動してます。
リムが先頭、エディ兄さんが続いて、私を抱っこしたお父さん。
少し遅れてルクレヒト様、ルクレヒト様を気遣いながらヒュー様を抱っこしたお爺ちゃんが続き、クリスお兄ちゃんが殿にいます。
突然の状況変化に対応する為らしいです。
と。
話が逸れました。
ドワーフさんの行方でしたね。
ヒョコヒョコ動く小柄な背中を追っていたのですが、曲がり角が多く複雑な道筋になっているので、見失うと見付けるまでが大変です。
「あ! 居った! ん? 匂いが違うかの?」
最初に見付けたのは、やっぱりリム。
ドラゴンて、鼻も利くんですね。
けど、追っていたドワーフさんとは、別人らしいです。
似てるんですが…。
「お! 居たぞ! は!? ふたり!?」
次に見付けたのは、エディ兄さん。
けど、二股手前で分身したかのように、二手に別れました。
どっちが正解ですかね?
「え!? あちらにも居ますよ!?」
迷っていた所で、ルクレヒト様が別のドワーフさんを発見。
「ぬぅ。どれじゃ!? 我の家の壁を壊した輩は!」
まるで間違い探しみたいな状況に、リムが苛立ち叫びます。
にゃぁぁぁ。
あっちこっち反響して、うるさぁ~い。
お耳痛いです!
「ちょっ!? 落ち着け、リム!」
『五月蝿いわ! ユナが耳を傷める! 黙らんか、この駄ドラゴン!』
レグルスの叱責に、リムがハッとして私を振り返ります。
「す、すまんのじゃ。大丈夫かの、ユナ? ヒューやルクレヒトもすまなんだの」
「ゥオイッ! 俺等は無視かい!」
私やヒュー様、ルクレヒト様を心配したリムでしたが、お父さんやお爺ちゃん、お兄さんズへの心配が一切無かった事に、エディ兄さんがツッコミました。
「御主らは、そこまで被害を受けぬじゃろ? 鍛えている者と一般人の違いくらいは、我でもわかるのじゃぞ」
胸を張るリムに、お父さん達も苦笑します。
「ほら、今の騒動で、ドワーフ達が気が付きましたよ。丁度良いので、聞いてみてはどうですか?」
「ぬ。そうじゃな! そこなドワーフども! 我の家の壁を壊したのは、どいつじゃ!
隠し伊達などすれば、ただでは措かぬぞ!」
リムが怒りを込めて、こちらを窺っているドワーフさん達に、宣言しました。
………。
宣言…だよね?
ただじゃ措かないって、何する気なの?
最初から、ヤル気満々?
喧嘩上等な雰囲気のリムに、ドワーフさん達が顔を見合わせて、ヒョコリと頭を引っ込め、一斉に散開して行く気配がします。
「ぬ! 待てい! 逃がすか!」
取り敢えず、目についた一人を拿捕すべく、リムが直ぐ様行動にでました。
まぁ、ドラゴンの速さに勝てる生き物は少数です。
普通に捕まえられました。
「はなせッス! 離すんスよ!」
リムに首根っこを捕まえられたドワーフさんが、引き摺られながらも叫びます。
「オイは、何もしてないッス! いったいなんなんスか、あんたら」
リムに捕まったドワーフさん。
観念したのか、胡座に頬杖ついて、ムッツリと黙り混みます。
「悪いな。少し話を聞いてくれるか?」
お父さんが、ドワーフさんと視線を合わせる為に膝をつきます。
お父さんの穏やかな雰囲気──ただし、口調がいつもとちょっと違います──に、ドワーフさんも警戒を緩めたのか、話を聞いてくれるみたいです。
「ついさっき、彼女の住処が荒らされて、壁に穴を開けらた。
で、穴を開けたドワーフを追ってきたんだが、途中で見失ってな。
喧嘩腰だったが、彼女に君達ドワーフを責めるつもりは無い。
穴を開けたドワーフが、謝りもせずに姿を消したんで、謝って欲しいだけなんだ」
「な!? 人様の家の壁を壊して、謝らなかったんスか!? 誰ッス!? どんな奴だったスか!?」
お父さんの説明を聞いたドワーフさんは憤り、お父さんに詰め寄ります。
「悪いな。僕達には、君達ドワーフを上手くは見分けられない。
特徴を聞かれても、なんとも言えないんだ」
「ああ。そうっしたッスね。あんたら、人族ッスよね? あれ? そっちの人は、エルフッスか?
まぁ、それはどうでもいいッスね。
人族の人達って、オイ達と違って、観察力が低いって聞いた事あるッス。
なら、オイと一緒に来るッスよ。皆に合わせるッス」
気の良いドワーフさんで良かったです♪
リムが無理矢理捕まえた事を謝ってます。
ドワーフさんも、状況を知った事で納得出来た上、元々は自分達側に非があるからと、笑って赦してくれました。
良かった良かった。
折角会えた新しい種族の人です。
出来る事なら、仲良くしたいですからね♪
ドワーフさんの案内で、休憩所へと向かいます。
この坑道は、ドワーフさん達の仕事場で、様々な鉱石を掘り出しているんだそう。
坑道の入り口付近に駐留場所を作って、数日かけて採掘するんだって。
案内して貰いながら、色んな事を教えて貰いました♪