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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第10章─ドラゴンの住処へレッツゴー。お友達のお家へ初訪問です!
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突然の珍入者? からの、いきなり始まる鬼ごっこ?

 ───ドガッ、ゴッ。

 ──ガズッ、ドゴッ、ガラガラガラ……。


 幾つかゲームを変えて、七並べの最中に、奥の壁──私にとって背後な位置──から凄い音がしました。


 音に驚いて、咄嗟に正面にいたクリスお兄ちゃんの鳩尾に、勢い良く頭突きしたのは許してください。

 ホントにビクッて身体が跳ねるくらい驚いたんです!


 クリスお兄ちゃんにくっついたまま、恐る恐る振り返ってみれば、壁が蜘蛛の巣状に皹割れ、蜘蛛の巣皹の真ん中が崩れ落ちてますね。


「………」


 ガラガラと崩れた壁の向こう側。

 小柄で体格の良い、三つ編みお髭のおじさんと目が合いました。


「「「「………」」」」


 我が家の男性陣がおじさんを凝視してます。


 ?

 誰でしょうね?


「………」


 ぁ、ツルハシ担いで、何事も無かったかの様に壁の向こうに引っ込んだ。

 壁に穴を開けたのって、あのツルハシですかね?


「……誰じゃ?」


『……ドワーフだな』『……ドワーフですね』『……ドワーフだよ♪』


 リムが小首を傾げ、レグルス達が見たままを告げました。


 いや、そうでなく。

 うん。

 ドワーフさんなのは確か。

 だと思います、多分…。


 や、だって、ドワーフさんを実際に見たのは、今回が初めてなんですよ。

 街中でも、見掛けませんでしたし。


「リ、リム? 家の壁、破壊されたようだが?」


「追わなくて良いのですか?」


「ハッ! 我が家の壁~っ」


 ヒュー様とルクレヒト様のツッコミに、リムが状況を把握したみたいです。

 てか、リムの今までの雰囲気は、現実逃避の賜物でしたか。

 現実を直視したリムの怒気に、妖精さん達が反応して、ピリピリチカチカしてますね。


「って、知り合いじゃないのか?」


「知らんのじゃ! 待てい! そこなドワーフ! 壊した壁を直さんかーっ!」


 リムが人化したまま、崩れた壁の向こうへと突撃して行きます。

 リムに指摘したお爺ちゃんを放置して、壁へと近付いたリムは、勢いと力加減を間違えたらしく、皹割れた壁に激突し、瓦礫の山の下敷きになった………。


 ───って、リム!?


「リム!」


『『『ユナ!』』』


 リムが瓦礫に潰されたのを見て、焦って駆け付けようとしたら、レグルス達に止められました。


『ユナ、大丈夫です。ドラゴンはあの程度の衝撃では、怪我ひとつ負わぬはずです』


『そうそう~。ユナが近付いた方が危ないから!』


『というか、ほれ。見てみろ』


 シリウスとアルタイルに宥められ、レグルスに促されて瓦礫の方を確認したら、ガラガラと瓦礫を掻き分けてリムが姿を現しました。


「リ、リム! らいじょうぶ!? ケガしてにゃい!?」


「だ、大丈夫なのじゃ。あうぅ、穴を拡げてしもうた」


 起き上がったリムは、元気に返事をしたあと、壁を見て凹んでしまった。

 壁の穴は、頭を出せるかどうかだった大きさから、ちょっと屈めば子供の出入りは可能な大きさへと拡がってます。


「まぁ、取り敢えず、犯人追うのなら、拡げるしか通る方法が無いんだし、仕方無かったって事にしとけ」


「まったく……ユナを驚かせるとか。逃がしませんよ、あのドワーフ」


 エディ兄さんが苦笑いでリムを励まし、クリスお兄ちゃんは苦笑混じりではあれど、なんか怖いです。

 私を驚かせた事なんて、怒るような事じゃ無いですよね?


「リム、壁ならば後から魔法で直せます。ドワーフを追うのですか?」


「追うのじゃ! せめて謝罪のひとつは、あって然るべきじゃろ!」


 お父さんが冷静に確認したら、リムが怒った理由が判明した。

 穴を開けられた事より、謝らなかった事に怒ってたみたいです。


 とにかく、ドワーフさんを追うことに異論が出なかったので、皆で穴を潜りました。

 お父さんとお爺ちゃんには、ちょっと狭かったみたいですがね。


「ぬぅ。ドワーフめ、何処に行きおった…」


「「あっ!」」


「! 居たのじゃ! 待たんか! そこなドワーフ!」


 穴を抜けた先には、坑道? らしき道があって、珍しさに辺りを見回していたら、ヒュー様とルクレヒト様が同じ方向を見て声を上げました。


 ヒュー様達の視線の先を確認したら、ツルハシを背負った小柄な背中が、ヒョコヒョコと曲がり角へと消える所でした。

 リムがその姿を追って走り出します。

 坑道内には、妖精さん達がいっぱいなので、魔法を使う事は可能なんですが、これだけ居るとちょっと不味いかもです。


 お母さんやお姉ちゃん達も当然ですが、お父さんも妖精さんや精霊さんに好かれやすいんです。

 お母さんの娘である私も。

 なので、妖精さんの多い場所だと、魔法の威力が…。

 どれだけ調節しても、増幅されちゃうんですよね。

 なので、妖精さんの多い場所では、攻撃系の魔法は不味いのです。


 どうしましょう?

 取り敢えず、追いましょう!


「ユナ、確り掴まっていてくださいね」


 リムを追って走り出そうとしたら、ヒョイッとお父さんに抱き上げられました。

 急な浮遊感ではありましたが、お父さんに抱っこされる時の感覚なので、すんなりとバランスを保つ為に、お父さんの肩付近の服を握り締めます。


 本当なら、首に手を廻すのが正解なのかもですが、3歳児の私には、それだと力が入り難くて、ずり落ちる可能性があるんです。

 なので、お洋服に皺がよっちゃうかもですが、今は許して貰いましょう!


 お父さんの肩越しに後ろを見れば、ヒュー様がお爺ちゃんに私と同じ様に抱えられてました。

 目があって、ヒュー様とお互いに苦笑します。


 お父さんに抱っこされたまま、ドワーフさんとの鬼ごっこ開始です!

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