祝・初めてのお友達宅訪問! 玄関前で一騒動?
お腹もこなれたので、早々に準備を終えて、やって来ましたリムのお家です!
新しいリムのお家は、以前の巣穴とは違って、かまくら形ではなく、ちゃんとした洞窟でした。
以前、リムを助けた時は、かまくら形の巣穴で、中もそんなに複雑ではないと教えられました。
だけど、お父さんからは、竜の住処は巨大迷路みたいだと聞かされました。
竜の住処とは、そこの主が成体であればある程、増改築による増改築で複雑化して、巨大迷路化するそうです。
リムのお家は、以前人間による襲撃があった事を踏まえているだろうから、幼生体であっても、多少複雑化している可能性があると、お父さんが言ってました。
そんな理由があったので、お父さんはちょこっと警戒していたんだって。
『………リム、御主………もう少し、危機意識を持たぬかっ!』
にゃ!
び、びっくりしたぁ~。
到着したリムのお家を見て、レグルスがリムを叱りつけました。
なんでかと思ってたら、シリウスが隣に来て、レグルスが怒ってる理由を教えてくれます。
『今、調べてみましたが、このリムの新しい家とやらは、以前見た物と大差が無いのです。
中は多少拡張されている様ですし、部屋も増えてはいる様ですが、襲撃を受けた巣穴と同じ形にしておくのは、無防備としか言いようがありません』
『だね~。本来、魔物の巣穴って複雑化しやすいし~、放棄された巣穴なんかは、迷宮化したりするんだけど~、リムのお家は放棄しても、絶っっっ対! 迷宮化しないって断言出来そうなくらい~、単純構造だよ~♪』
『これでは、レグルスに叱られるのも、仕方が無いかと思います』
アルタイルも苦笑混じりに、シリウスの説明を肯定してます。
人化を解いて、仔竜姿に戻って案内をしてくれていたリムが、拗ねた様に余所を向いて反論しました。
『むぅ。良いではないか。家など、身体が大きく成ってから、思い付くままに拡げれば良いのじゃ。
若輩の今は、広い家など必要無いじゃろ。
我の寝床と客人のための部屋、それに蓄え場があれば、十分じゃからの』
『阿呆か! 御主は一度襲撃されておろうが! 多少なりとも、事故防衛すべきだ!』
『ぬ。そ、そうじゃの……』
一度目を見開いてレグルスを見た後、そっと目を逸らすリム。
リム…。
もしかして、忘れてましたか?
襲われた事…。
『その態度…御主、さては忘れておったな?』
『…そういえば、ドラゴンは基本大雑把な生き物でしたね』
『アハハ、そうだね~、大雑把なせいで忘れやすいんだっけ~?
まぁ、でも。だからって、襲われた事を忘れるのは、駄目でしょ~♪』
レグルスが溜め息を吐き、シリウスが遠い目をして呟き、アルタイルが爆笑しました。
「なぁ、何故に外観を眺めて止まってるんだ?
折角、遊びに来たのに、案内はしてもらわんのか?」
「あ~、すみません。ベリウスは【念話】スキルを持っていないのですね。
今は、リムがレグルスから、お説教を受けていたのです。
家主が叱られている間に、勝手にお邪魔する訳には参りませんから」
お爺ちゃんの疑問に、お父さんが苦笑しながら説明してます。
そういえば、お爺ちゃんはレグルス達の言葉が、分からなかったんでしたね。
お兄さんズやヒュー様達領主家兄弟も、まだ分からない筈です。
「なるほど。確かに説教中に案内も何もないわな。
ん? けど、お前さんらは、皆【念話】スキルを所持してるのか?」
「ん~にゃ。俺達は持ってないぜ?」
「俺や兄様も持ってない」
お爺ちゃんが皆を見回して確認すると、お兄さんズやヒュー様兄弟は否定します。
「今居るメンバーでは、所持者は私とユナだけですよ。
訓練すれば、スキルの獲得は可能だと思いますけどね」
レグルスのお説教を横目に、お父さん達も【念話】スキルで盛り上がってますね。
………。
私、ちょっと暇です。
辺りの散策でも、しましょうかね?
辺りを見渡すと、【解析】スキルが発動して、色んな情報が頭に浮かびます。
あ!
薬草発見です!
あ!
あの羽根、魔道具に使えます!
のあ!?
あれって、鉱石の塊ですよ!?
何故にこんな場所にありますか!?
うわぁ、この辺りって、素材の宝庫です。
採取! 採取したいです!
わくわくソワソワしていたら、髪の先の鈴がチリリンと鳴りました。
その小さな音に気付いて、シリウスが再び寄って来ます。
どうやら、わくわく感に引っ張られて、無意識に素材の方に近付いてしまってたみたいです。
『ユナ? どうしましたか?』
「ちリウしゅ! しょざい! しょ…そ…そざい! いっぱい!」
満面の笑顔で、感情のままシリウスに抱きつきます。
本来の大きさに戻っている──移動の際に乗せてくれてました──ので、まふっと毛並みに埋もれます。
『……ああ。確かに』
シリウスは視線だけで確認したらしく、動いた様子もないのに、私の言葉を肯定してくれました。
『後で採集もしますか?』
『! いいの!? 良いなら、採集したい!』
シリウスの毛皮に、ぐりぐりと額を押し付けながら、念話で返事をすれば、頬をペロリと舐められました。
『皆に了承を得てからですよ?
今日は、リムのお家に遊びに来たのですから、リムの気持ちが優先です』
『うん! 採集は、帰りにちょっとだけでも良いの。
今日はリムと遊ぼうね♪
私だって、凄く楽しみにしてたんだもん!
いっぱい遊ぼう♪』
お顔を上げて、にっこり笑えば、シリウスの優しい瞳がありました。
シリウスの優しい雰囲気は、大好きなお母さんと似ています。
でも、お母さんとはちょっと違って、お姉ちゃん達の方が似てるかな?
ん~、お姉ちゃん達ともちょっと違う?
ハッ! お婆ちゃん!?
お婆ちゃんがいたら、こんな感じなのかな?
………。
ユナちゃんが、シリウスをお婆ちゃんに認定した模様です!?
いや、作者的には、第2の母とか考えていたんですが…。
何故にお婆ちゃん…。
(; ̄Д ̄)?
すまん、シリウス。
作者を置いてきぼりにして、ユナちゃんが認定シチャッタッポイデス。
σ( ̄∇ ̄;)