あったかご飯と、明日の予定。一抹の不安は、迷子です…。
“ラザニア”出来たぞぉ~♪
と、言うわけで、只今絶賛お食事中です♪
「美味いな!」
一口食べたお爺ちゃんが、素敵な笑顔で感想をくれました♪
ぅん~~~っ、これコレ♪
ラザニア、美味っし~~~いっ♪
「おいちぃ~ねぇ♪」
「美味しいですね」
私も、お父さんとお爺ちゃんの間で、食べたい物が食べられた満足感に浸っております!
レグルスやアルタイルも小さくなって、凄い勢いで食べてます。
珍しいのは、シリウス。
いつもは落ち着いて食べるシリウスが、今はレグルス達に劣らぬ勢いで食べてます。
大分気に入ってくれた模様です♪
「兄様! 俺も手伝ったんですよ!」
「フフ。上手に出来てるね。とても美味しいよ」
ヒュー様とルクレヒト様は、ヒュー様がお手伝いした事を楽しげに話し、ルクレヒト様が笑顔で聞いています。
仕草は上品なまま、食べる速度は2人とも大分速いです。
食べる速度は、お兄さんズも負けてませんね。
エディ兄さんも、クリスお兄ちゃんも、既におかわり済みです。
みんな笑顔。
美味しい物は正義! って、本当だよねぇ。
*~*~*~*~*
案の定、アルタイルが消化不良で、沈没中です。
食べ過ぎ、ダメ。絶対。
「さて、少し休んだら、帰りますよ」
お父さんの宣言に、皆がそれぞれ返事をします。
「むぅ。泊まって行ったらどうだ?」
お爺ちゃんが不満顔で、お泊まりを提案してきます。
お泊まり……それも、楽しそう♪
お泊まりするなら、お爺ちゃんと一緒に寝れるかな?
「いえ、駄目ですよ? 元々、明日ちょっとした予定があるので、ご挨拶だけで、早目にお暇するはずだったのです。
明日の予定は、ちょっと面倒なので、自宅でゆっくり休むべきですから」
あ!
そうでした。
明日も、みんな揃ってお出掛けなんです。
行き先がちょっと大変な場所なので、確り準備するって約束してたんでした。
準備が出来なかったら、お出掛け自体が延期されちゃいます。
「おじぃちゃん。わたち、かえりゅ」
腹這いで床に寝そべって本を見ていましたが、ガバッと起き上がり、お爺ちゃんに暇を告げます。
明日のお出掛けは、そもそも私の希望ですから。
「なんだ? どんな予定なんだ?」
「おともらちに、あいにゆくの~♪」
お爺ちゃんに聞かれて、即座に答えます。
えへ。
実は明日、リムの新居に遊びに行くのです!
だからこそ、今日はリムが一緒じゃなかったんですよ。
昨日、遊びに行く事が決まった途端、リムは『ユナ達が遊びに来るなら、片付け終わらせてから迎えに来るわ! 1日時間ちょうだいね』と、凄い勢いで颯爽と飛び去りました。
リム……「ごめんなさい」は、放置ですか?
エルフのお爺ちゃん達に、謝りに行ってからって話だったはずなのに…。
リムが飛び去った方角を眺めて、遠い目になったのは仕方無いと思います。
まぁ、そんなこんなで、明日はリムのお家に突撃する予定なのです!
場所自体は、ここリシャの森の中なので、然程危険はないです。
が、ちょっと離れた位置だというのと、ドラゴンの巣穴は中が複雑化しやすい──無作為に増築すららしい──事を踏まえて、何があっても対処出来るよう、万全の態勢で行かないと、“迷子から体力消耗、最期は骨”になっちゃうなんて事も、有り得るんだそう。
お父さんに「万全に準備出来なきゃ、行っちゃダメ」って言われた時に、この話をされて、ちょっと恐かったです。
ドラゴンの巣穴は、長く棲んでる場所程、迷路化してるらしくて、普通は侵入しない。
前に会った悪者さん達は、凄く無謀な人達だったんだと、お父さんが呆れながら教えてくれました。
「友達?」
「うん。ドラゴンしゃん♪」
「ん? もしや、昨日一緒だった、あのちっこいのか?」
「ぁい。リムのおうちに、あしょびにゆくのよ~」
思い出したら、ちょっと浮かれてますね、私。
まぁ、仕方無いです。
初めての“お友達のお家訪問”ですから。
ヒュー様のお家は、遊びに行ったのとは別ですよね?
あれは、不可抗力でしたし、ヒュー様達とお友達になれたのは、お家に伺った後でしたし。
「………よし。なら、私も一緒に行く! 邪魔はせんから、良いだろう?」
「はい!?」「う?」
お父さんの驚きと、私の疑問の声が重なりました。
え?
お爺ちゃんも一緒に行くんですか?
「なんだよ。良いだろう? あのドラゴン…リムとは、私も友人になったんだぞ?」
おお!
そうでした。
昨日、リムにも【種族を越えし絆】をあげてましたね。
自分よりは短くとも、長寿の友達が出来た♪ と、リムが喜んでました。
種族が違うと、寿命も違います。
知能ある者の中で、最も長寿がドラゴンで、最も短命が人間ですかね?
それもあって、他種族交流は同種族交流より難しいとされてるんです。
と、話が逸れました。
「おじぃちゃんも、いっちょ?」
「おう! 行って良いか? 良いなら、明日の朝にユナの家に行くよ」
「…おとぉさん………メ?」
お爺ちゃんの提案に頷いて良いか、お父さんを窺います。
びっくり顔だったお父さんが、私を見て苦笑しました。
「ユナが良いなら、リムも了承しそうですね…。分かりました。
ベリウス、明日の朝、火の鐘までに我が家に集合です。
遅れたら、置いて行きますからね?」
お父さんの宣言に、お爺ちゃんが豪快に笑いながら、確り頷きました。