れっつ・くっきんぐ♪ 重て、焼いて、しまいます。……あと何回?
………ラザニア、食べたい。
のんびりお茶をしていて、ふと思い立ったのは、晩ご飯のメニュー。
フッ。そうですよ。
私、食いしん坊ですよ? ソレがナニカ?
だって、思いついちゃったんだもん!
食べたいもの作って、何が悪いの~!
と、いうわけで。
本日の晩ご飯は、『ラザニア』に決定でっす!
とはいえ、“勝手知ったる─”と、許可無く調理に取り掛かるのは憚られるので、お爺ちゃんに確認します。
「おじぃちゃん、よるごはん、わたしがつくってもい~い?」
「ん? 構わんが、突然どうした? 自分で作らなくても、ご近所の女将さん連中が、用意してくれるぞ?」
お爺ちゃんは、結婚どころか、恋愛や色事に付いて回る“アレコレ”が面倒臭いらしくて、家族は別に暮らす、弟一家だけ。
お爺ちゃん自身は、気儘な独り暮らし。
ご飯事情は、お爺ちゃんを子供の頃から知ってる、近所の奥様方が持回りで差し入れをしてくれてるそう。
人族からすれば、お爺ちゃんと呼ばれて可笑しくない年齢でも、エルフ族にしてみれば、まだまだ“ひよっこ”程度。
適齢期が終わるのは、ずっと先なので、今は割りと放置されてるんだって。
ただ、弟さんが既に2児のパパさんなので、たまぁ~にお見合いとか紹介話を貰うこともあるみたい。
お爺ちゃんが諦め混じりの苦笑を浮かべて、お父さんに話しているのを漏れ聞きました。
………。
聞き耳たててた訳じゃないよ!?
聞いてたんじゃなくて、聞こえちゃっただけだよ!?
「ん~ん。たべたいのがありゅから、わたちがつくりたいの」
「ふむ。そうか。なら、お願いするかな。
良い調理場があっても、私は料理をしないから、たまには使ってもらわないと、勿体無いしな」
「ぁい!」
よっしゃぁぁぁっ!
やりました! お爺ちゃんの許可ゲットです♪
さぁ、作るぞ~♪
『ラザニア』上手に出来るかな♪
*~*~*~*~*
フフフフ~ン♪
フフフフ~ン♪
美味しいラザニア作りましょう~♪
「ユナ? 料理するのか? 手伝える事はあるか?」
鼻歌混じりに準備をしてたら、後ろから声がしました。
振り返ったら、サクッと準備を終えてるお父さんの横に、わくわくした様子のヒュー様がいました。
「う? だいじょうぶらよ?」
「そ…そうか…」
あれ?
お手伝いしたかったのかな?
ヒュー様が落ち込んじゃった…。
ん~、よし!
「ヒューしゃまも、いっしょにつゅくる?」
「っ! 良いのか!?」
あ。元気になった。
「いぃ~よ~♪ いっちょにつくりょぉ~♪」
家とは違って、高さ調節が利かないから、ちょっと大変かもだけどね。
そこは、知恵を絞って要工夫かな?
「ユナ、高さ調節用に、踏み台出しておきますね」
………。
工夫いらなかったかぁ~。
そうだね。お父さんに踏み台を出して貰えば良かったんだね。
忘れてた…。
よし!
気を取り直して。
エプロンよ~し。髪型よ~し。手洗いよ~し。
ん。私の準備は全部オッケー。
ヒュー様を見れば、お父さんに手伝われつつも、準備ができた模様。
「おとぉしゃん。ラじゃニア、つくりたいの。
パスタとミートしょースと、ベシャメりゅソース、チーズとパセリ、だちてくだしゃい!」
準備を終え、手の空いたお父さんに両手を差し出し、食材をリクエストします。
私の【無限収納】は、家族以外には秘密なので、家の外では使えません。
なので、お父さんの【無限収納】から出して貰うのです♪
お父さんと私の【無限収納】は、お家を介して繋がってるので、お互いの許可さえあれば、どっちからでも出し入れ可能なんだよね。
らっくち~ん♪
「了解。パスタは、ラザニア。ミートソースに、ベシャメルソース、チーズにパセリですね。
チーズは何を用意しますか?」
「ん~、ゴーダと、モッちゃレりゃと、パりゅメじゃン?」
「ゴーダと、モッツァレラと、パルメザンですね」
調理台やコンロの上に、お父さんの【無限収納】から、次々と食材が出されます。
ミートソースや、ベシャメルソースは、既に調理済みで、ホンワカ湯気が立ってます。
チーズも、それぞれ刻み済み♪
てか、お父さん。
私の舌足らずな言葉、よく聞き分けられますね?
自分でも、「なにそれ?」な言葉遣いなのに…。
ふと見れば、調理器具も次々に取り出し、準備万端です。
よし! お料理開始でっす♪
クツクツ、コトコト。
パスタを茹でます。
くっつかない様に、お父さんが時々かき混ぜてくれます。
その間に、私とヒュー様は、タイミングを計りつつ、耐熱皿の準備です。
大きめの耐熱皿ですが、家族が多いのと、沢山食べる人──アルタイルとか、アルタイルとか、アルタイルとか!──がいるので、おかわりの可能性を鑑みて、本日作成は10個です!
多く作る分には問題無いので、ヒュー様と手分けして、耐熱皿にオリーブオイルを塗っていきます。
よし。これが最後。
私が作業を終えたと同時に、パスタが茹で上がりました。
茹で上がったパスタの水気を、お父さんが魔法で軽く飛ばします。
くっつかない様にオリーブオイルを馴染ませて、お父さんが耐熱皿に1枚ずつ敷いていきます。
さて。パスタの上にソースを乗せていきますよ♪
担当は、ミートソースがヒュー様、ベシャメルソースが私です。
お父さんが、パスタとチーズを受け持ってくれてます。
パスタ、ミートソース、ベシャメルソース、チーズと順に幾重にも重ねます。
耐熱皿の3分の2~4分の3ほどまで重ねると丁度良いかな?
ここで使うチーズは、ゴーダとモッツァレラを混ぜたミックスチーズ。
ただし、1番最後に乗せて、焦げ目をつけるチーズは、モッツァレラとパルメザンで、サクッとろ~りが理想ですね♪
うんうん。完璧♪ 素晴らし~い♪
さて、ちょっと高めに温めておいたオーブンに、耐熱皿をイン。
焦げ目を目安に、焼き上がりを待ちましょう♪
焼き上がったら、ジュワジュワのチーズの上に、微塵切りしたパセリを散らして。
完・成~~~ぃ♪
さて。次のを焼くので、できたのは【無限収納】に無いない。
全部焼き上がるまで、我慢ガマン。
う~、早く食べたい!