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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第9章─お父さんの悪友? エルフのお爺ちゃんは、とっても元気!
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ひなたぼっこは、睡魔の落とし穴。うっかり気を抜くと、コロッと落ちます。

『このままでは、風邪を引くな』


『掛ける物を用意しましょう』


『なら、僕が貰ってくるよ~♪』


 意識の外で、レグルス達の声がします。

 あれ?

 私…寝てますか…?


 む~~~。

 ………ん?


 とん、とん、とん、とん。

 お腹の上を、優しく撫でる様なリズムで叩かれてます?

 なんだかホッとしますねぇ。

 あ~~~。

 睡魔が……睡…魔…が…………。



 *~*~*~*~*



 眠気に負けて、暫し記憶が抜け落ちて、次に気が付いたのは、お兄さんズの声がきっかけだった。


「せいっ!」「やっ!」


「遅い遅い! この場合は、受け流して反撃。受け止めるなら、剣技だけじゃなく、魔法も使う!」


「………流れが止まって、型が崩れとるな。ルトの剣に良く似てる分、兄さん達はまだまだ粗が目立つ」


 お兄さんズの掛け声に、剣と剣がぶつかる音。

 お父さんの指導と、お爺ちゃんの呟き。

 近くには、私のよりもゆっくりな呼吸音。


「うにゅ…」


『起きたか、ユナ』


『『おはよう(ございます)ユナ』』


「ん。おはよ~、レグルしゅ、ちリウしゅ、アりゅタイゆ」


 目を擦りつつ、状況を把握します。

 上半身を起こしてみれば、お腹の上には柔らかくて軽いブランケット。

 振り返れば、さっきまで頭のあっただろう位置に、枕代わりのクッション。


 顔を戻すと、一面の空。

 視線を下へ落とすと、直ぐ下で稽古中らしきお父さんとお兄さんズ。

 私の左には、お爺ちゃんが座って稽古を眺め、右隣では、ヒュー様がいまだにお昼寝中。

 ヒュー様の向こうに、ルクレヒト様が座ってて、やっぱり稽古を眺めてます。


 レグルス達は、枕にしてたクッションの向こう。

 小さくなったまま、皆一緒にお団子状態。

 レグルスとシリウスは、お互いの背中? 腰? を枕にしてて、アルタイルは二人に挟まる様に潜り込んでます。


 この体勢、大きい時にもやってますね。

 私もアルタイルの隣に潜り込んで寝たりします。

 もっふもふで、ふかふかで、温かい。

 良い感じなんですよ♪


 って、そうでなく!

 え~と、え~と、ぁ、そうだ!

 そうそう。


 お爺ちゃんの昔話を聞きながらおやつを食べて。

 お兄さんズが腹ごなしに稽古を始めて。

 それをお爺ちゃんやヒュー様、ルクレヒト様と縁側で日向ぼっこをしながら眺めて。


 ………。


 ここで記憶が途切れてますね。

 たぶん寝落ちたんだと思います。

 途中、意識が浮上した気もしますが、完全にお昼寝してましたね。


「ねちゃってた……えへへ」


 自分の行動を思い返して、なんとも言えず気恥ずかしい思いから、へにょっと笑っておきます。

 そんな私を見て、お爺ちゃんも優しく笑って、頭を撫でてくれました。


「子供は良く寝て、良く遊び、良く学ぶのが仕事だ。ユナもヒューも、ちゃんと出来てる。偉いな」


「ん~、じゃあ、わたち、こんどはおべんきょうしゅる!」


 誉められたのが、遊んだこととお昼寝したことじゃ、ちょっと気まずい。

 なので、お勉強もちゃんとしましょう!


「ん? 勉強?」


「ぁい。おじぃちゃん、やくしょうのごほんがあったら、かしてくだしゃい」


「ん? 薬草の本か? あるにはあるが、難しいのが多いぞ?」


「よいの~♪ むじゅかしくても、おかぁさんやおねぇたんたちにおしえてもらったのを、かくにんしゅるのよ」


「なんだ? もう、教わってるのか?」


「ぁい。オルねぇねがくわちいの!」


 フォルお姉ちゃんには、薬草から毒草、茸や苔まで、色んな植物の利用法を教えてもらってます。

 実地調査を兼ねたピクニックは、お姉ちゃんが帰ってきた時の必須行事みたいになってます。

 遊び半分、勉強半分で過ごすので、楽しく覚えられて助かってます。


 動物や魔物、魔獣や素材に詳しいのは、ラル姉さん。

 鉱石や宝石、水晶や結晶なんかは、ベル姉様が適任。

 世界で起こる色んな事象は、お母さんが物語に交えて教えてくれます。

 お父さんからは、体術をちょこっと。


 まだ小さいので、体術は本格的にはやっちゃ駄目なんだって。

 身体が出来てないから、本格的に体術を学ぶと、負担が掛かりすぎるし、成長にも影響するかららしいです。

 でも、お父さんも過保護気味なので、ホントのところはどうなんだろう?


「どれ、ちょっと待ってな。持ってきてやろう」


 お爺ちゃんが立ち上がり、奥の部屋へと消えて行きます。

 戻ってきたお爺ちゃんの腕には、5冊程の本。

 薄いのから分厚いのまで、色々あります。


「この分厚いのが、薬草図鑑だ。一番新しい奴だが、発行元が人族の偉い奴らしくて、幾つか取りこぼしがある。

 まぁ、竜の棲みかや切り立った岩壁、底の見えぬ谷底と、発芽条件の厳しい物だから、人族だと知らぬのかもな」


「エルフだとしってるの?」


「ははは。我等エルフは、人族よりも魔法に長ける者が多いからな。

 人族だと行けぬ場所でも、魔法を使って赴く事が出来るし、長く生きる我等(エルフ)故に、薬効の研究も進む。

 薬草に詳しくなるのも、道理だろう」


「そっかぁ。わたしがみても、だいじょぉぶ?」


「良い良い。ユナは、私の曾孫みたいなもんだ。どれ、爺ちゃんと図鑑を見よう。ほれ、ここにおいで」


 こいこいと手招きされたので、大人しく従います。

 では、お邪魔しましょう♪ よいしょっと。


 胡座(あぐら)をかいたお爺ちゃんの足の間に座ります。

 後ろから抱き込まれる形で、お爺ちゃんお膝で図鑑を見ます。

 手書きのそれは、紙の上半分に大きく図解されていて、薬効や分布地、採取方法や栽培方法が下半分に細かく書かれています。


 さて、お勉強しましょうか♪

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