異世界果実は面白い? エルフの郷で果物収穫です。
漸く再開出来ました!
二ヶ月も休息をいただき、すみませんでした。
本日より、少しずつ再び投稿していきたいと思います。
では、また後書きで。
「「………」」
只今、エルフの郷の収穫を、ベリウスお爺ちゃんと見学中です。
クラウディアでは、春と秋の年2回、季節感一切無視で、様々な果実が一斉に収穫されます。
野菜や穀物なんかは、季節で旬を迎えるのですが、果物だけが何故だか一斉収穫なんです。
まぁ、それは良いとして。
気になるのは、目の前を『トテテテテ』と過って行くピンクの物体。
「「………アレ……なぁに〈何〉?」」
ヒュー様と2人で、お爺ちゃんを見上げます。
「ん? ふたり共、収穫を見るのは初めてか?
アレは、もぎたての【姫様林檎】だよ」
「「え?………りんご?」」
「ああ。林檎だ。林檎……いや、果実全般はな、もぎたてのまま放置する……というか、ちょっと目を離すと、足……ん~、靴か?……まぁ、靴を生やして逃走するんだ。
逃走を阻止する為には、【果実休眠液】という薬液に浸けるのが定石でな。
休眠液に浸ければ、二週間程は逃走出来ん。
その間に、調理や売買をするんだ。ああ、ほら、アレだな」
お爺ちゃんに促されて、もとの方向に視線を戻したら、逃走していたらしいピンクの【姫様林檎】? とやらを、エルフのお兄さんが鷲掴み、腰に着けていた小型の蓋付き坪の中へと突っ込みました。
………。
ぁ、色が変わってる。
足も無い。
ぅわぁ……なんか変なの…。
お料理してた時は、普通の林檎だったから、気にならなかった…。
坪から取り出された【姫様林檎】は、鮮やかな赤色に変色していて、さっきまで走り回っていた足─というか、靴をはいた足首から先?─も消えています。
成る程。
あの状態なら、よく見る林檎だね。
「ぁっ! そこのチビッ子! すまん、掴まえてくれ! キウイが逃げた!」
背後から掛けられた声に、『チビッ子』にあたる私とヒュー様が振り返れば、ヒュー様と私の間をチョロチョロと蛇行しつつも、水色の小さい何かが『トテテテテ』と駆けて行く。
「と!? わっ!?」
「えいっ!「キュッ!?」つかまえちゃ!」
足に絡まれそうになったヒュー様は慌てて避けていたので、私が飛び付く様にして捕まえました。
タイミングぴったり!
…て、ん? 鳴いた?
と、取り敢えず、水色の【キウイ】? ゲットです♪
「お! 嬢ちゃん! よくやった! ありがとな」
「あい。こりぇ、キウイでしゅか? なきまちた…あちょ…みじゅいりょ…」
水色の部分を包み込む形で捕まえたコレ。
手の内に入りきらなかった黄緑の靴がジタジタ動いてます。
………。
そういえば、昔『ふれあい動物広場』とやらで触ったヒヨコさん。
靴は履いてなかったし、足ももっと長かったけど、教えて貰った捕まえ方がこんなんだったなぁ。
足を挟む様にして、両手で掬い上げるんだよね。
あっちは可愛かったけど…こっちは……。
見た目が……ちょっと微妙………?
「ああ。キウイだ。正確には【水玉キウイ】だけどな!
じゃ、嬢ちゃん、この坪の中に入れてくれるか?」
腰に着けた坪の蓋を開けて、エルフのお兄さんがしゃがんでくれました。
なので、そっと坪の中にキウイを入れます。
「ぅしっ! もう良いな。ほれ、コレなら見覚えあるかい?」
坪の中の液体に浸ったキウイを取り出し、エルフのお兄さんが見せてくれたのは、家にもあった鮮やかな黄緑色のキウイフルーツ。
以前の世界とは違って、茶色味が一切無い、綺麗な黄緑色。
切ると中は赤っぽくて、水分もかなり多い。
でも、味は美味しいんだよね。甘味が強目。
食べ過ぎると舌が痛くなる…なんて事も無い。
ゴールデンとか呼ばれてた、黄色っぽいキウイフルーツに近いかな。
あれよりも、味が濃い感じですけどね。
「~っ!? 村長!?」
ん?
ぁ、お兄さんがお爺ちゃんに気付いて固まった…。
「パレロト、畏まらんで良い。今の私は、曾孫と戯れとる只の爺にすぎない。
おお! そうだ!
ユナ、ヒュー、そなたら果実の収穫を手伝ってみるか?
見てるばかりじゃ、つまらんだろ?
剪定が無理そうでも、もぎたての果実の見張りなら出来よう?」
お爺ちゃんに言われて、ヒュー様と視線を交わします。
果実をもぐには、剪定用のナイフを使わなきゃいけないので、怪我の可能性が高くなります。
でも、見張りなら、逃走しそうな果実を、休眠液に浸けるだけ。
もし、逃走しちゃっても、お子様な私達なら、地面が近い分捕獲出来る確率が高いです。
さっきも捕まえられましたし♪
「「やる~♪」」
「よし。パレロト、この子らを頼む。収穫を経験させてやってくれ」
「は、はい!」
カチコチに固まってたお兄さんが、お爺ちゃんの言葉に再起動しました。
お互いに自己紹介もしましたよ♪
お兄さんは、パレロトさんといって、郷では若い部類に入る、成人間もない年齢なんだって。
まぁ、『エルフの成人』なのでお父さんよりも歳上ですが…。
元々、お兄さん改めパレロトさんは、新人教育と子供たちのお手伝いの監督がお仕事だったらしく、私達の世話もサクッと了承されました。
「さて、爺はちょいと休憩だ。ふたり共、頑張って来るんだぞ♪」
「「はぁ~い♪」」
お爺ちゃんの激励に、ヒュー様と揃って良い子のお返事。
さぁ、パレロトお兄さんに着いて、果物収穫のお手伝いです!
結果……とっても大変でした。
クラウディアの果物って、すっごく変!
なんであんなに逃げ足速いのぉ~~~っ!
お久しぶりです。
一ヶ月程と言いながら、倍も休んだダメ作者です。
暖かい応援の声をいただいたにも関わらず、文字を書く事さえ怖がってたヘタレです。
相変わらずのヘタレっぷりですので、再開は致しましたが、『二週に一度、金曜日正午の投稿』というビビリスタート予定です。
徐々に投稿間隔を狭めていきたいと思っています。
長らくお待たせしたにも関わらず、ブックマークをそのままに待っていてくださった、優しくも暖かな読者様方に感謝を。
ありがとうございます!