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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第8章─我が家の日常。一般常識と各家庭の常識って、ズレてたりするよね? 我が家が可笑しい訳じゃないと思います!
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閑話・長いエルフ生においても、物語より奇なる出来事は、稀である。

スミマセン。

またもや閑話です。


クリスくん達と出会った、エルフ側の事情?

彼等が投降した理由は…。

 ★☆★☆★☆★☆★

 ─見廻り隊(狩人組)・副隊長キエフ視点─


 この地に生まれ、早くも200と57年。

 エルフとしては若輩だが、多少なりとも世界の理を理解し始めた今日この頃。

 あと500年程はあるだろう寿命を思えば、単調な日常は退屈この上無い。

 だが、その日は、驚きの連続だった。


 人族の間には、『人生とは、物語よりも奇妙である』などという言葉があるらしい。

 私は、その日、その言葉を何度も思い出した。

 人族以上に長い我々の生にも、物語よりも奇妙な出来事は、起こりうるのだなと、現実逃避に走る私を、諫める者は1人として居なかった。



 *~*~*~*~*



 午前中は、いつもと同じ変わらない1日。

 昼飯を食べ、午後の仕事として、再び狩りへと向かう準備中に、最初の驚愕はあった。


 キィィィィィ─────ッッッッッン。

 ジジジジジジジ───。


「っ!? 警鐘だと!?」


 頭の中に酷く耳障りな音が響き渡り、村中を覆う結界に、何者かの干渉があったことが分かった。


 我らの村の結界は、数千年前に在った偉大な魔法使いによって、各々種類の違う結界を三重に張り、互いに干渉させ、強化してあるらしい。

 魔法使いの死後も、結界を維持する為に、村長(むらおさ)には魔力の扱いに長けた者が選ばれる。


 今の村長は、歴代の中でも、魔力量・魔力操作に優れる方で、結界は彼の方が村長になってから、一度として揺らいだ事すら無かったのだ。

 それなのに……。


 結界は、我々エルフの血に反応する。

 警鐘が鳴るのは、血を持たぬ余所者が結界に干渉した場合か、何か特殊な原因によって結界に不備が起きた場合だけだ。


 今回は多分、結界の何処かに、ある程度大きな綻びが出来たのだろう。

 警鐘も血に干渉し、頭に直接響く様になっている。

 村中の同族は例外無く受け取っているはずだが、余所者には何も聞こえない。

 同族だけを選別し、危険を報せてくれるのだ。


「エリル! 私は長の元へと向かう。お前は(スーラ)と共に緊急避難場所へと向かえ!」


 私は妻へと指示を飛ばし、急ぎ村長の元へと向かった。



 *~*~*~*~*



「長! この警鐘は、いったい!?」


 2度目の驚愕は、村長の家へと飛び込んだ直後。

 先に来ていたオルバ様(隊長)が答えてくださった事態に。


「……キエフ。三重に張り巡らされた結界が、全て突破された様だ」


「な!? 全てですか!?」


 外側1枚程度かと思っていたのに…。


 結界は、外側から、排除・迷走・幻惑の三段階。

 1枚目に触れれば、弾かれたと気付かれる前に、進行方向が反転されている。(気付けば結界の外に居る状態)


 1枚目を突破出来ても、2枚目に触れれば、方向感覚に干渉され、村の周りを際限無く歩き続ける事になる。(道無き道を行く大迷路の探索人状態)


 更に、3枚目は最悪で、無理矢理突破しようとすれば、脳内物質に干渉し、常時幻惑の世界に囚われる廃人と化す。(麻薬中毒者か精神異常者状態)


 まぁ、3枚目の場合は、触れただけならば、多少の恐怖を味わうだけで済むのだが…。(触れたものの心的外傷(トラウマ)を呼び起こす)


「何か偶然が重なったか……或いは、何者かが故意に侵入したか……どちらにしても、今現在、結界の一部が無効化し、穴の空いた状態らしい」


 無効化されたというなら、相応の能力者が、村に無傷で入り込んでいるかも知れん。

 それが害意ある者であるなら、この穏やかな村が壊滅する可能性があるのだ。


 答えてくださった隊長も、私達のやり取りを静かに聞いていた村長も、それを危惧しているのだろう、難しい顔をしていた。


「可及的速やかに、住民の保護と状況の把握が必要だ。私は、急ぎ結界を紡ぎ直す。

 狩人組で、見廻り隊を結成し、索敵にあたってくれ。

 戦士組には、危急時の守りの要になって貰わねばならん。

 狩人組の編成は、オルバ、そなたに任せる。頼むぞ」


「はっ!」


 隊長は返事と共に行動を開始する。

 私も村長へと略式の挨拶をして、隊長の後を追った。



 *~*~*~*~*



 4組に別れ、四方散開して結界内部に当たる場所を索敵する。

 魔力の気配を探れば、思いの外あちこちに散っている様だが、複数の強い魔力を感知した。


 大きなものの幾つかは、あちこちを移動している?


 速すぎて感知が追い付かないが、残滓の様なものは確認できた。

 取り敢えず、動きが鈍く、複数が重なる場所が、大小2ヵ所。

 そちらを優先して確認するべきだろう。


 小さな魔力でも、複数が重なっていると、単体よりも厄介な場合がある。

 大きい方は結界内部、小さい方は結界の外ギリギリの位置に確認したので、魔力の大きい方には隊長達が、小さい方には私達が向かう。


 私達が見付けた魔力は、他の大きなものと比べれば、微々たるものの集合体だったのだが、どうやら3人ほどの人族の様だった。


「───子供…か?」


 私の呟きは、風が葉を揺らす音に掻き消された。

 いや、それで正解だ。

 気配を気取られる失態など、起こす訳にはいかん。


 一瞬、気が緩みかけたが、森中に拡がるピリピリとした空気に、改めて警戒を強めた。

 前方に居るのは、まだ身体が出来上がってはいなくとも、人族としては成人している可能性のある大きさの3人組だ。


 我々エルフは、他種族とは成長のし方が違うらしく、判断は難しいが、前方に居る3人の人影が、結界の外とは言え、ギリギリの位置に居る以上、彼等が敵で無いという確証が必要だ。


 まぁ、この辺りの結界に穴は見当たらないのだが…。

 穴が空いた影響か、揺らぎが大きく、本来の役割は1割から3割程度しか果たされていない様だ。


 結界の外での狩りが我等の本職。

 確証が無い状態だ、警戒は解けない。

 威嚇で確認させてもらおう。

 敵意が無ければ、逃げ出すだろう。


 一応、戦闘に移行した場合を考え、二手に別れて前後を押さえる。

 そうして矢を射かけた次の瞬間、3度目の驚愕が待っていた。


 !? 叩き落とした!?

 我々を認識している!?

 ─っ!? 強い! 制御に長けた者だったか!

 だが、我々であれば、勝機はある。


 子供の様に見えた人族の殺気に、臨戦態勢をとろうとした途端、4度目の驚愕に襲われる事になる。


「ふ、副隊長! 巨大な魔力が!」


 部下の焦った様な忠告に、魔力感知を行えば、圧倒的な魔力の塊が、物凄い速度で我々に迫っていた。

 いや、既に三方から包囲されている。

 魔力のあまりの大きさに、私達は既に戦意を失っていた。


 なんだ…この巨大な魔力は……。

 こんなモノが敵に回れば、我々どころか、村の全てが消えて無くなる…。

 これ(・・)に逆らってはならない。


 私達は、敵意の無い事を示すために、急ぎ武器を下ろす。

 まずは、先程の威嚇を謝罪せねば始まらんだろうな…。

 ★☆★☆★☆★☆★

はい。

クリスくん達の後ろに、彼等が居ます。(笑)

中央にクリスくん達、その前後にエルフさん達。

そして…それをまるごと包囲する契約獣の皆さんです。

σ( ̄∇ ̄;)

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