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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第8章─我が家の日常。一般常識と各家庭の常識って、ズレてたりするよね? 我が家が可笑しい訳じゃないと思います!
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エルフの村にお邪魔します。お兄さんズはどうしてるかなぁ…。

漸くの穴埋め投稿です。

 ………。

 リムが結界をぶち破ったせいで、エルフの村が脅威に晒されてます。


 いや、脅威っていうか、危険? かな?


「───と、まぁ、結界は魔獣や害意ある者を退ける効果のある物だったからな。

 それが破られた今は、ちょっと警戒が厳しくなってるんだ」


「まぁ、これは言い訳にしかならないし、矢を射かけた事実は変わらん。

 本当に悪か───ッ! 痛ぇぇぇっ!」


 話を蒸し返しそうになったおじ様の1人が、問答無用で拳骨を落とされました。


 ………ガヅンって鳴った…。

 凄い痛そう…。大丈夫かな?

 舌噛んだりしてない?


「蒸し返したら、鉄拳制裁(肉体言語)……だったよな?」


「……いや、言い出したのは俺だが、本当に問答無用だったな。

 ユナが怯えるから、もう少し軽くて良い。

 そっちのおじさんは、大丈夫か? 凄い音がしたが…」


 私がオロオロしてたら、拳骨を落としたリーダーさんとヒュー様が、サクサク話をまとめてました。


 おじ様達ときちんとお話ししてみれば、緊急時の最大警戒体制である村付近に、子供とは言え見知らぬ人族──人化している為、リムも人族に見えた──が居たのだ、威嚇射撃くらい当然だろう。

 矢が射掛けられた時も、殺気は無かった──説明を聞いて、リムが納得してました──らしいです。


「むらは、だいじょぉぶ?」


「ああ。大きな危険は無い。結界も、破られたとは言え、消滅した訳では無い。

 あと半刻(30分)もすれば、修復出来る。

 修復さえ終われば、警戒体制も解除され、普段通りだ」


 普段は、殺伐とした雰囲気は欠片も無く、のんびりほのぼのとした空気の村なんだそう。

 取り敢えず、私達の事情──絶賛迷子中──を聞いて、村に招待してくれる事になりました。


 村の近くで遊んでいたのならば、他の見廻り組みと接触している可能性があるらしく、運が良ければ、お兄さんズやルクレヒト様も、村に来てるかも知れないとの事でしたので。

 お言葉に甘えます。



 *~*~*~*~*



 エルフの村は、ツリーハウスの集合形態でした。


 巨大な大樹を根幹にして、その太い枝の一本毎に、一軒のログハウスがあります。

 巨木の根元には、かなり大きめの虚らしきものがあるのに、枝上に何軒も家を抱えて、揺らぐことの無い巨大樹に、私達は圧倒されました。


「「「すごい〈のぉ〉…」」」


「ようこそ。我らの村、【エル・ディオン・ロッソ】へ」



 ◆◇─◆◇◆─◇◆

 ~その頃、お兄さんズは…~


「「ユナ~」」「ヒュー…何処に…」


 森に佇む3人の人影。


 エディ、クリスは、今にも泣き出しそうな情けない顔をして、実妹の如く可愛がっている3歳児の名を呼ぶ。

 ルクレヒトは、従兄弟である義弟…いや、実弟と言っても過言ではない可愛い弟の居場所を求め、不安げに空を仰ぐ。


 彼等は、あちこちを駆け回り、姿が見えなくなった3人の子供達を探していた。

 魔道具は既に解除し、不規則な軌道からは解放されている。

 契約獣達も、今は散り散りに分かれ、子供達を探しているはずだ。


 彼等が3人で固まっているのは、安全面と精神面の問題である。


 いくら、穏やかなリシャの森とは言え、契約獣達程の強者ならば兎も角、一般人と変わらないルクレヒトを、1人にする訳にはいかない。

 冒険者であるエディやクリスも、個人行動に出れば、余計な手間が増える──お互いの位置確認や意思疎通の不備など──可能性がある。


 その上、彼等は『妹・弟馬鹿な自分』を自覚していた。

 弟妹の無事が確認出来ない今、焦りから判断ミスを起こす可能性を、否定できなかった。

 その為、人族は固まったまま動き、契約獣達に率先して探して貰っている状態になったのだ。


「あ~くそっ! 目を離すんじゃなかった!」


「ユナ…無事かなぁ。怪我とかしてないかな…。1人で泣いてたり………」


「…ヒュー。せめて、3人一緒なら良いのですが…」


 兄達3人が、リムを心配していないのは、彼女がドラゴンである以上、当然である。

 だが、姿が見えなくなった時、子供達3人が一緒にいたかは確認出来ていなかった為、多少心配してはいる。

 主に、弟妹が彼女の破天荒に巻き込まれるかも…といった方向ではあるが。


 そんな3人の元にも、エルフの威嚇行為が迫っていた。


「「!? ルゥ! 動くなっ!」」


 ───カッ。トスッ。


 何かに気付き、突然叫んだエディとクリスが、ルクレヒトを隠す様に、前後に移動している。

 ルクレヒトの前に出たエディは、短剣を手に前を真っ直ぐ睨み付けていた。

 背後に回ったクリスも、利き手に短剣を握って、辺りを警戒している。


 何が起こったかと言えば、ルクレヒト目掛けて、多少ずらした位置に、矢が射掛けられたのだ。

 それを、矢の軌道上に身体を捩じ込み、エディが短剣で叩き落とした。

 軌道を逸らされた矢は、弾かれたままに、大地に深々と突き刺さった。


「出て来いや! 居場所は既に把握してるぞ」


「隠れて居ても無意味ですよ。僕達に喧嘩を売るなら、死ぬ気で来なさい。

 僕は今、とても気が立っているんです。

 威嚇とは言え、友人を狙うのならば、己の命で償って貰います。覚悟は良いな?」


「───っ!?」


 背後から膨れ上がる殺気に宛てられ、ルクレヒトが震え出す。

 一般人である彼が、これ程の殺気を身近に感じることなど、そうあることではない。

 自分に向けられたモノではなくとも、恐怖を感じるのは当たり前だろう。


 林立する木立の蔭から、現れたのはエルフの男性達だ。

 5人程が姿を現したが、皆両手を上に上げ、無抵抗を身体で示した。

 武装は各々解除している様だ。

 剣は鞘に収めたまま利き手で持っているし、弓は弦を弛めてある。


「さ、殺気を収めてくれ。我々は、もう何もしない。

 威嚇した理由を話す。謝罪を受け入れろとは言わん。

 話しだけでも、聞いてはくれまいか?」


 クリスの脅しに屈する形で、エルフの男達は交渉を試みるのであった。

 ◆◇─◆◇◆─◇◆

クリスくん、暴走する。の回でした。


クリスくんの殺気に、敵対でなく交渉を選んだのは、エルフの皆さん側に事情があります。

その説明は、また次の回で。

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