ごめんなさいと、簡単お茶会。仲良くなるには、お茶だよね?
本日深夜に、穴埋め投稿予定です。
「むぅ、無意識だったとは言え、結界を破ってしまったのは、我の罪。謝罪する。すまなんだなぁ、森の民よ」
申し訳なさそうに、真摯に頭を下げるリムに、エルフのおじさん達は、驚いてわたわたしてます。
「な、ド、ドラゴン殿!?」
「あわわわわっ!? あた、頭を上げてくださいっ!」
「わ、我々とて、威嚇とは言え、矢を射かけたのです!」
「そ、そうです! こちらにも非はあります!」
「こ、子供達! き、君達からも、ドラゴン殿に頭を上げる様に言ってくれ!」
様々な緑色の髪のおじさん達が、揃って慌てる様子に、私とヒュー様は唖然。
そう言えば、ドラゴンって、稀少で尊い存在として、一部で崇められてたりするんでしたね。
忘れてました…。
………。
だって、リムはリムであって、ドラゴンである前に、私達にはリムなんだもん。
忘れてても仕方無いよね? ね!?
誰にともなく、心の中で言い訳をします。
おっと、それより、この状況を打開しましょう。
「リム、みんなでごめんなさいちて、おわりにちよ?
どっちも、ずっと、ごめんにゃしゃいちてたら、ほかのおはなちできにゃいよ?」
ふにぃ~。
まだ、噛み噛みだ…。
早く直んないかなぁ。
「だな。おじさん達も、それで良いか? 最後にお互いに謝罪して、それで終わり。
それ以上とやかく言ったら、鉄拳制裁による強制沈黙って事で。どうだ?」
ヒュー様が私の意を汲んで、エルフのおじさん達を説得してくれます。
………。
後半微妙に怖い台詞があった気もしますが、取り敢えずお互い納得した模様。
「じゃ、せぇ~のっ!「ごめんなさい!」」
「「「「「「すまな〈ん〉かった!」」」」」」
私とヒュー様の「ごめんなさい」と、リムとおじさん達の「すまなかった」が重なって、思いの外大きな声になりました。
皆で顔を合わせて、ふと笑いだした誰かにつられて、笑い声に包まれた和やかな空気が拡がります。
これで、まずはなんとか仲直りですね♪
*~*~*~*~*
で。
お互い落ち着いてお話しするために、私はお茶を飲む事を提案しました。
さぁ、簡単ですが、お茶の準備をしましょう♪
【無限収納】は、ヒュー様だけでなく、リムにも教えていないので、お父さんの許可無く使えません。
なので、魔導鞄であるリュックに入れてあるもので済ませます。
え~と、先ずは飲み物。
お菓子と……ぁ、お手拭きが欲しいので、小さめタオルも出しましょう♪
お菓子は、焼き菓子だけで良いかな?
ドライフルーツもいる?
「ユナ!」
ちょっと迷いながら、ドライフルーツの瓶を取り出して見ていたら、背後に移動していたらしいヒュー様が私を呼んだ。
振り向くと、地面から顔をだした大樹の根の一部に、自分の上着を被せたヒュー様が、手招きしてました。
上着の被せられた場所の直ぐ横に、リムが座ってます。
「ユナ、ここに座れ。直に座ると、服が汚れる。折角、可愛い格好なんだ、汚すな」
「…でも、ヒューしゃまのおようふくが…」
「いいんだ。ハンカチは、リムに貸してしまったしな。既に被せてあるんだ、遠慮せずに使うと良い」
ふわあぁぁぁ。
ヒュー様、行動が素敵紳士です!
近付いて、リムの方を見てみれば、リムのお尻の下に、ハンカチらしき布があるのが分かります。
やっぱり、ちょっと気が引けますが、折角の心配りです。
そっとヒュー様の上着の上に座ります。
「ヒューしゃま、ありがとぉ」
「~~~っ。べ、別に大した事はしていない。ま、まぁ、感謝は受けておく」
嬉しさを隠さずに、満面の笑顔で御礼を伝えたら、隣に座ったヒュー様が、そっぽを向いて、頬を掻きながら、ボソッと呟きます。
えへへ。
ちゃんと聞こえましたよ♪
ヒュー様お耳の縁が真っ赤です。
照れてますね♪
格好良い行動なんですから、照れなくても良いのに。
「ユナ? それは、なんじゃ?」
ヒュー様の行動にニコニコしてたら、逆隣に座ったリムが、私の持ったままの瓶を指し示し、不思議そうに小首を傾げました。
「ん? ほちくだものの、しゃとうづゅけ? たべゆ?」
一瞬、聞かれた理由が分からず、返答が疑問形になっちゃった。
瓶の中身なら、干し果物の砂糖漬けですし、瓶自体ならば魔道具ですよ?
「「食べる!」」
リムだけでなく、ヒュー様までが、勢い込んで返事をします。
両隣から主張されて、ちょっとびっくりしました。
そんなに勢い込まなくても、欲しいなら、ちゃんとあげますよ?
美味しいモノは、皆で食べてこそ、より美味しく感じますもんね♪
「おじしゃまたちも、どぉじょ」
ドライフルーツの瓶をリムと私の間に、焼き菓子の籠をヒュー様と私の間に置いて、おじ様達にも薦めつつ、飲み物を用意します。
と、その前に。
おじ様達は、座らないのかな?
座るなら、ちょっと距離が離れるので、ドライフルーツや焼き菓子を、新しく出さなきゃ。
「いや。飲み物だけで十分だ。ありがとう」
リーダーらしきおじ様が、苦笑混じりに微笑んで、返事をしてくれました。
おじ様達を見ると、座らずに、各々が近くの大樹の根に身体を預けてます。
コップ代わりになる水筒の蓋は、藍色・茜色を合わせても5つ。
数が足りなかったけど、おじ様達に茜色3つを渡し、私達で藍色2つを使う事になりました。
おじ様達は、珈琲も紅茶も飲み慣れているらしいので、希望を聞いたら、リーダーさんを初め3人が珈琲派、2人が紅茶派でした。
なので、珈琲を2つと紅茶を1つ渡します。
私達の方は、リムが紅茶派、ヒュー様が珈琲派でした。
ただし、珈琲には牛乳が必須。
私もですが、ヒュー様も珈琲の苦味はダメなんだって。
珈琲に牛乳を足してたら、リムも牛乳の追加を希望。
なので、リムはミルクティー、ヒュー様はカフェオレになりました。
お菓子やドライフルーツが甘いので、お砂糖は入れてません。
私は、リムと一緒にミルクティーを飲みましょう♪
リーダーさんとヒュー様は1人で、他の人達は2人で1つのコップを使う形です。
「美味いのぉ。干し果物は食べた事があるが、砂糖漬けは別格じゃの♪」
「…リム…。砂糖漬けは、かなり稀少で、菓子としては大分高価な部類だぞ?
それを…ポンポン気軽に口に入れるなよ…」
「? 我にとっては、果物は果物じゃ。何を躊躇う?」
「………ドラゴンに人族の常識を説くだけ無駄か?」
私を挟んで、リムとヒュー様がドライフルーツについて問答を始めれば、エルフのおじ様達もなにやら驚きの表情で固まってます。
「!? 美味いな。これ、大分等級の高い豆じゃないか?」
「………紅茶もです。多分最上級の茶葉ですね」
「あの嬢ちゃん達、何者だ?
ドラゴンに友人と呼ばれるだけでも珍しいが、人族の中でも高貴な部類か?」
「それにしては、高慢さの欠片も無いが…」
「ですね。あの子達と比べたら、俺等の方が傲慢だったかも…」
? はて?
おじ様達は、小声で何か相談中かな?
難しいお顔をしてますよ?
お~い、お茶のお代わりは、如何ですか?