表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第8章─我が家の日常。一般常識と各家庭の常識って、ズレてたりするよね? 我が家が可笑しい訳じゃないと思います!
138/169

迷子になったら、安全を確保した上で、動かずに助けを待ちましょう。

 緑鮮やかな木の葉の間から、キラキラと降り注ぐ陽の光。

 森の木陰は深く、木漏れ日に照らされたその場だけが、スポットライトを当てたかの様に、幻想的な空間を作り上げる。


「…どこだ、ここ……」


「…どこだろねぇ…」


「? リシャの森じゃろ?」


 ヒュー様の呟きに、ついつい同調してしまいました。

 迷子になって、既に1(時間)程。

 リムが大雑把な事実を突き付けます。


 ………。

 いやいや、リム!?

 知ってるよ!?

 ここがリシャの森なのは、ちゃんと分かってるよ!?


 な、なんか、一気に緊張感が弛んだ気がします…。


「…リム。そうじゃなくて…」


 ぁ、ヒュー様も脱力感、感じましたか。


「? そうじゃなくて?」


「…リちゃのもりの、どこ?」


 ───かを、知りたいのですよ…。


「ふむ。そういう意味か! それならば…」


「分かるのか!?」


 私達の疑問を理解したリムに、ヒュー様が期待を寄せます。

 リムも笑顔で即答してくれました。

 が、───


「いや? 分からん! 何処じゃろな♪」


 ………。

 リ~ム~ゥ。

 それは、胸を張って言うことじゃないよぉ?



 *~*~*~*~*



 事の興りは1刻と、数十分前。

 変則鬼ごっこの最中でした。

 私達が魔道具でシャボン玉に包まれ、ポヨポヨ弾みながら、わらわらと逃げ惑って数分。

 リムが何かに蹴躓き、近くにいた私とヒュー様が巻き込まれ、倒立前転の要領で転がったのが、多分迷子の始まりです。


 シャボン玉の回転が止まり、辺りを確認した時には、既に迷子でした。

 取り敢えず、そのままシャボン玉の中に居ると、思いがけず可笑しな状況へと突っ込みそうだったので、3人で相談の上、魔道具は解除しましたよ。ええ。


 いつも近くにいた家族から、意図無く離れ、不安に震えたいたら、ヒュー様が手を繋いでくれました。

 繋いだヒュー様の手も、微かに震えている様でしたが、なんでしょう……とっても心強いです♪


 落ち着いた所で確認したら、転がってた時は、各々違う──私は縦、ヒュー様は横、リムは器用にも斜め──回転がかかってたそうですが、何が何やら…。

 ちょっとした恐慌状態に、景色を確認する余裕も無く、自力で停止するという考えにも至らず、為すが儘、為すが儘。

 気が付けば、自分達の位置を見失ってました…。



 *~*~*~*~*



 で、(現在)な感じですね。


 やぁ~、でも、アレ(転がるの)はちょっと怖かった…。

 クリスお兄ちゃん…ごめんなさい。

 アレは、自力じゃ脱出困難です。

 次があったら、必ず助けます!


 なんにしても、次の行動を決めかねますね。

 レグルス達は鬼役と一緒だったので、絶賛はぐれ中ですし…。

 どうしましょうねぇ。


 ───ヒュンッ! カカカッ!!


 ………。

 ……………矢?

 ()ですよね? コレ。


 背後から斜めに、髪と肩上を掠めて、地面に突き刺さる3本の矢。


 ……ふぇっ!?

 射られました!?

 あぶっ、危ないっ!?


「動くな!」


「何者じゃ…我が友を…ユナを傷付けんとする者か…」


 背後から掛けられた制止の声に、私の左隣で恐い気配が爆発的に膨れ上がる。

 私に向けられた訳でもないのに、全身から冷や汗が吹き出します。

 手を繋いだままのヒュー様も、青ざめてます。

 恐っ!? 恐いぃッッッ!


「───ッ!? くっ!? な、なんだこの重圧───ッ!」


「ゥあっ!?」「くっ!?」「な!?」「─ッ、かはっ!?」


 ───ドサッ。ドサドサッ!

 ─────ドッ、ガツッ!


 背後で数人分の落下音が重なり、暫くすると直前までの静寂が戻りました。

 ヒュー様と2人で、ガタガタと震えながらも、ゆっくりと背後を振り返り、状況を確認します。


 大分離れた位置。

 高い樹の根元近くに、5人程の武装した大人が、間隔を開けて(くずお)れてます。


 え"……。

 コレって、どんな状況?


「ふんっ! ユナに射掛けるとは、良い度胸じゃ!

 我が黙らせてやったわ!

 ふふん♪ そこいらの人族程度、我にかかれば造作も無い。

 己れの力量も判らんと、力の差も測れず襲うなど、笑止!

 地に這いつくばるが、似合いよの♪」


 胸の前で腕を組み、胸を反らして、仁王立ちしたリムが、朗々と宣言し、樹から落ちた? らしい大人達へ、未だに怒気(・・)を向け、押さえ付けてる? みたいです。


 良かった。

 この恐いの、怒気なんだ…。

 リムの怒気って、恐いッッッ!

 お姉ちゃんや、お父さん達の殺気(・・)みたい!

 皮膚の下がピリピリするよぉ~ぅ。

 ぅひぃぃぃ。


 空いてる方の手で、ヒュー様と繋いだ方の腕を擦ります。

 うぇぇぇぇぇ。

 ぞわぞわする~。


「す、すまん、リム。取り敢えず、怒気を抑えてくれ。震えが止まらん」


 ヒュー様も、同じ様な行動をしながら、リムを宥めます。


「ぬ? おお。すまなんだ。制御が甘かったか!?」


 リムが私達に意識を向けた途端、私達の震えが治まり始めました。

 今度はちゃんと制御しているらしく、大人達は変わらず頽れたままです。


「取り敢えず、相手の言い分を聞こう。突然射かけてきたとは言え、こちらに非がある可能性も無いとは言えないからな。

 ぁ、でも、リムには、そのまま彼等を押さえておいてもらいたい。

 相手が大人である以上、俺達には対抗手段が無いから…」


「了解じゃ♪ ユナも、ヒューも、我の友。害為すモノは、なんであろうと、我が敵じゃからの♪

 契約獣達が居らぬ今、そなた等は我が守る! 絶対じゃ!」



 *~*~*~*~*



 で、樹の下の大人達──お耳が横に長い?──に近付いて、理由を聞けば…。

 うん。

 悪いのは、私達でした。


 私達の現在地は、どうやらエルフと呼ばれる“森の民”の集落近くで、本来同種しか近付けない【迂回の結界】が張られている場所だったらしい。

 なのに、その結界が破られ、何者かが侵入した形跡があり、害意あるモノかも知れぬと、警戒していたそうです。


 リムが正体を明かし、説明を求めたら、害意が無い事を確認し、素直に教えてくれました。

 驚いたのは、私やヒュー様には【迂回の結界】に覚えが無かったのに対し、リムがポツリと呟いた一言でした。


「………。そう言えば、転がってた時に、何やらぶち破ったのぉ」


「「はいっ!?」」


「「「「「あぁ、やっぱり」」」」」


 驚く私とヒュー様の前で、理由を話してくれた大人──エルフの皆さん──達が、納得の表情で頷いてました。


 どうやら、やっぱり、私達が悪いみたいです。

スミマセン。

先週、お休みの回数が9回目になりました。

既に2回分は、穴埋め投稿したのですが、もう少しの間、穴だらけの不定期投稿になりそうです。


お待たせして、申し訳ない。

不甲斐ない作者です。


現在の投稿間隔は、2週に1度、必ず金曜日の正午に。


穴埋め投稿が出来そうな時は、深夜零時に。

日付変更の時間なので、どっちとも言えませんが、金曜日から土曜日に変わる頃です。

金曜日の24時、土曜日の0時です。


近い内に、1度穴埋め投稿をするつもりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ