鬼ごっこしましょ♪ 範囲が広いと大変です。
すみません。短いです。
さて、鬼ごっこです♪
「だれがおに? わたちやる?」
『はぁ~い! はい! はい! はい! 僕、鬼役やるよ~♪』
「………アりゅタイゆ……」
鬼役を決めようとしたら、アルタイルが意気揚々と立候補しました。
お目めが爛々と輝いてます。
視線の先には、お兄さんズとルクレヒト様…。
目的が分かりやすいね! 駄目です! 却下です!
「どうした?」
胡乱な目付きでアルタイルを見つめる私を、エディ兄さんが不思議そうに覗き込みます。
お兄さんズは【念話】のスキルを持ってないので、アルタイルの声が聞こえてないんですよね。
「アルタイりゅが、おにしゅるって…」
私の言葉に、お兄さんズとルクレヒト様が、アルタイルを凝視します。
『任せて~♪ みんな捕まえちゃうよ~』
「「「………」」」
バサリと翼を拡げ、胸を張るアルタイルに、お兄さんズもルクレヒト様もそっと視線を逸らしました。
ああ、やっぱり。
分かりますよねぇ、アルタイルの目的。
さっきまで、あんなにクリスお兄ちゃんを獲物認定してましたもん。
狙いは、お兄さんズとルクレヒト様。
確実に遊ばれる未来しか見えない。
………。
アルタイルが楽しそうだね。
「アりゅタイルが、おにでいい?」
「「「却下で!」」」
あはははは。
やっぱり駄目ですよねぇ。
小首を傾げて皆に確認すれば、お兄さんズとルクレヒト様に、速攻でダメ出しされました。
それはそうですよねぇ。
誰だって、リアル鬼ごっこは辞退すると思います。
いや、何か理由があったり、得るものがあるなら別かも知れませんが…。
ただの遊びで、全力逃走とか………それ、なんの試練? ですもんね。
「駄目だぞ? アルタイルが鬼役だと、直ぐに決着が着いてつまらん。
小さい姿になってですら、アルタイルが有利だろう」
ヒュー様が正論を以て、アルタイルを諫めました。
そうですね。
私達がシャボン玉で浮いているとは言え、あくまで“浮いている”のであって、“飛べる”訳ではありませんから。
速度的には、私達が不利です。
───ベシャ!
『ぐえっ』
………。
! アルタイル!?
『ユナ、コレは気にするな』
『ええ。コレは気にしなくて良いですよ』
どうしようかと悩んでいたら、アルタイルが潰されました。
いや、だから、レグルス?
ぐりぐりは駄目ですって!
しかも、『コレ』って…。
アルタイルの事ですよね!?
!? シリウスまで『コレ』って言った!?
「メッ! レグルしゅ! おさえりゅのはいいけど、ぐりぐりはメッ!」
あ~、アルタイル、大丈夫ですか?
毎度叩き落とされたり、潰されたり…。
本当に大丈夫?
ぁ、復活した。
………。
楽しそうだから良いのかな?
怪我とか一切無いみたいだし。
契約獣って、アルタイルに限らず、みんな丈夫だなぁ。
さっきの『ぐりぐり』で土に減り込んでたのに、もう復活してますねぇ。
ぁ、アルタイルの押し型…。
お水容れて固めたら、アルタイル型氷が出来るかな?
「…え~と、取り敢えず、鬼ごっこ始めるか? 最初の鬼役は、俺がやるから、散った散った!
俺の視界から全員が消えたら、鬼ごっこ開始な!」
エディ兄さんの決定で、ぐだぐだながらも、漸く鬼ごっこの開始です。
気持ちを切り換えていきましょう!
うふふふふ。
捕まりませんよ~♪
逃げ切ってみせますとも!
範囲はリシャの森の湖周辺。
広くて、いまだに全部を把握出来ていませんが、鬼ごっこの鬼役からは、全力で逃げると宣言しましょう!
絶ぇ~っ対、捕まらないもんね~♪
「み~つ~け~た~ぞ~♪ 待て──」
近くでエディ兄さんの声がしますが、追っているのは別の人ですね。
私の方には来てません。
見つかる前に逃げましょう♪
契約獣達も、それぞれ別の人と一緒です。
アルタイルはエディ兄さんの側で、鬼役のお手伝い。
シリウスはヒュー様の護衛兼補佐。
レグルスは私と一緒にいてくれます。
全力鬼ごっこは、ちょこっと恐くて、ちょこっと不安だけど、とってもとっても楽しいです!
*~*~*~*~*
「…どこだ、ここ……」
「…どこだろねぇ…」
………。
お母さん、ごめんなさい。
私達子供組は、只今絶賛─────迷子です。