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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第8章─我が家の日常。一般常識と各家庭の常識って、ズレてたりするよね? 我が家が可笑しい訳じゃないと思います!
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お客様がいっぱい♪ また会えて嬉しいです!

「じゃあ、あの3人は、暫くいないのか…。ユナ、大丈夫か? 寂しくないか?」


 ヒュー様が心配そうなお顔で、私の頭を撫でてくれます。


「ん。だいじょ~ぶよ? しゃみちくないわけじゃないけど、にぃにたちや、レグルしゅたち、おとぉさんがいてくれましゅ!」


「そぉか。…良かった…」


 ヒュー様が優しいお顔で笑ってくれます。

 最後の声は小さくて、良く聞こえませんでしたが、暖かい雰囲気なので聞き返すことはしません。

 私もヒュー様が笑ってくれるのが嬉しくて、にこにことお顔が勝手に笑顔になります。


 ───ドズンッ! グラグラ。


 みっ!?

 何事ですか!? 地震?


 突然家が揺れ、慌ててレグルス達やお父さんの様子を伺います。

 レグルス達は、一切慌てていないし、お父さんも普通です。

 お兄さんズは、驚いてるみたいですが…。

 危険な兆候であれば、レグルス達もお父さんも、もっと険しいお顔をするので、取り敢えず危機的状況ではなさそう?


『痛たたたた。目測を誤ったのじゃ~』


 ワタワタしていた所に、外から聞こえて来たのは、透明感のある澄んだ声。


 ……というか、念話ですよね!? 今の。


『ユナ~、居るかのぉ~』


 聞こえてきた声には覚えがあり、数日振りの訪問に、心が浮き立ちます。


「リム!」


「! ユナ!? 何処に行くんだ!?」


「おしょと! おともらちがきたの。ヒューしゃまたちに、しょうかいしゅるね!」


 急いで外へと走る私を、レグルス達とヒュー様が追ってきます。

 玄関扉を勢い良く開き、前庭へと飛び出します。

 前庭の柵の内側に、ペタンと後ろ脚を投げ出して座り、両前脚で鼻先を擦る深紅の竜が居ました。


「リム!」「…ドラゴン…が、顔を洗ってる?」


『『『ブフッ〈プッ〉!』』』


『おおっ! 数日振りじゃのぉ、ユナ。ぁ痛たた』


 ドラゴンの姿のまま鼻先を擦るリムに、1番最初に感じたのは、また会えた喜びでした。

 …が、再会の喜びも束の間。

 追い付いてきたヒュー様が唖然として呟いた言葉に、レグルス達が噴き出します。


 いやいや、ヒュー様?

 猫じゃないので、「顔を洗う」って……なんか違う。

 というか、痛がってるので、多分何処かにぶつけた? んだとおもいますよ。

 うぅ、痛そう。

 再会を喜んでる場合じゃ無いです。


「だ、だいじょ~ぶ!? リム、いたいいたい?」


『む~、大丈夫じゃ。ちと目測を誤ってのぉ。

 この前庭に下りるつもりが、気が急いて速度を出しすぎたようでの。

 勢いを殺せなんだ。思い切りユナの()に突っ込んでしもうた。

 大分衝撃を与えてしもうた故、驚かせたじゃろう?

 我としたことが…申し訳ない』


 鼻先を擦りつつ、落ち込み気味にリムが状況を説明してくれます。


 どうやら、先程の衝撃は、リムがぶつかった時のものだったみたいです。

 リムがチラリと視線を向けた場所を見上げましたが、屋根と玄関扉の間の壁には、傷ひとつありません。


『ユナの巣は頑丈じゃのぉ。傷ひとつつかぬ処か、我にこそダメージを与えるとは…。いったいどの様な素材で出来ておるのか』


 鼻先を擦るのを止め、染々とおうちを見上げるリムに、念話の聞こえないヒュー様が、不思議そうにリムの視線の先とリム自身とを見比べています。


 取り敢えず、お客様なのです。

 お客様は歓迎しなくちゃですよね!


「リム、じんかできましゅか? いたいたいだからムリ?」


『ん? 大丈夫じゃ。しかし、前の時はそのままだったのに、此度は人化が必要なのか?』


「きょうはね、ほかにもおきゃくしゃまがいるの。しょのひとたちに、リムをしょうかいちたいの♪ だかりゃ、ことばがはなしぇたほうがよいのよぉ?」


『成る程。了解したのじゃ!』


 了承の返事と共に、リムの身体が柔らかな深紅の光を纏い、次の瞬間には、深紅の髪と紅茶色の瞳の女の子が、その場に居ました。


「へ!?」


 リムの人化を目の当たりにしたヒュー様が、唖然としてます。


「ユ、ユナ!? い、今、ド、ドラゴンが…」


「ヒューしゃま、このこは、わたちのさいしょのおともらち、ドラゴンのリムらよ」


「うむ。我はリム。ユナの友人にして、誇り高きヴォルケーノドラゴンじゃ!」


「~~~っ!?」


 ヒュー様が、リムの自己紹介に絶句して固まります。


 ………。

 リムって、ヴォルケーノドラゴンだったんだ…。

 知らなかった…。


 あれ?

 ヴォルケーノドラゴンって、火山地帯に棲みかを作るって、お姉ちゃん達から聞いた事があるんだけど…。

 リム、森に居たよ?

 多分、新しい棲みかも、この森の中だと思うんだけど…。

 あれぇ?


「っ、は、初めてお目にかかる。お、私はユナ嬢の友人で、ヒューバート・ニクス・オルブラントと申します…」


「ヒューしゃまは、このもりのちかくの、いちばんおおきなまちの、ごりょ~しゅしゃまのこどもにゃんだよ」


 緊張からか、物凄く丁寧な自己紹介をするヒュー様。

 私の疑問は、取り敢えず横に置いて、追加情報を補足してみます。


「ほぉ。以前、上空から見たことがある。あの街の権力者の倅か? ユナは変わった友人を増やすのぉ」


「? ヒューしゃまは、かわってにゃいよ? しょれより!

 リム、またしばりゃく、いらりぇるの?」


「うむ。新しい棲みかも決まったし、ユナ達を招待しようと思って来たが、来客中ならば仕方無い。

 一度帰っても良いが、邪魔しても良いなら、暫し滞在させて貰うかのぉ」


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