閑話・お母さんの心配と、お父さんの苦笑。甘々夫婦の日常の一駒?
穴埋め投稿~♪
本編と違って、ちょこっと恋愛風味?
甘々って難しい…。
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─創世の管理者 創造の女神フェリシア視点─
『聞こえるかい? シア』
「ラズ! ユナは!? 大丈夫!?」
女神像を通した少しぶれて響く愛しげな声に、私は焦りを感じながらも、その穏やかさに僅かなりとも安堵します。
もしも、娘達に何事かがあれば、情の深い私の夫は、こんなにも穏やかでは無いでしょうから。
『ふふ。大丈夫。体力の限界と湯中りで、気を失うみたいに眠っただけだよ。
まぁ、心配ではあるから、今夜はちゃんと見ておくよ』
「そう。良かった。初めてのお泊まりの感想は、気になるけど明日の楽しみにしましょう。
貴方も、ちゃんと休んでくださいね?
私が…傍に居られれば良かったのだけど…」
心配故に、言っても詮無いことが、口をついて溢れました。
可愛くて愛しい娘達。
誰よりも傍で寄り添いたい唯一人の夫。
私とは違う形で、夫を慕う頑張り屋な二人。
私の願いを聞き届け、娘の守護を請け負ってくれた神獣達。
私の家族は、私の手の届かぬ場所で、暮らしている。
加護を通して、多少の理解は出来ても、何かあった時、傍に行くことさえ儘ならない我が身が、哀しくて仕方無くなる時がある。
管理者でさえなければ等と考えたのは、1度や2度ではありません。
それでも、1度生まれた世界を、無責任に投げ出す事は出来ず、せめてこの世界が暖かく優しくあれる様、管理の手を休める事は致しません。
私の世界は、幸福から生まれた。
悲しみや怒りなどの負の感情から生まれた世界を管理するより、ずっと楽なのですから。
己の負の感情と向き合い続けるのは、ある意味拷問にも等しいのです。
管理者の中にも、世界の管理を放棄せざるをえない者が出る程に。
………。
ぁ、ユナの事で安心したら、思考が逸れましたね。
ふふ。
ユナみたい。
「ラズ、ありがとう。私を愛してくれて、ありがとう」
『……どうしました? 急に』
「ふふ。なんだか、言葉にしたくなったの。
初めて会った貴方は、悲しみと向き合い続けて、疲れきっていて。
貴方が心配で、だけど、私には寄り添う事しか出来ずに、自分が情けなかったわ。
それなのに、緩やかに崩壊する自分の世界を見届けた貴方は、唯傍にいただけの私を伴侶に望んでくださった。
貴方がいなければ、クラウディアは生まれず、娘を持つ事も無かったのだなぁって思ったら…伝えたくなったの」
『シア……フェリシア。私も愛しているよ。誰よりも何よりも。
君の温もりが傍にあったからこそ、私は壊れる恐怖に打ち勝ち、最期まで世界を見届けられたんだ。
君がいなければ、世界の崩壊よりも、私の精神が壊れるのが先だったか…。
はたまた、見届ける事を放棄し、自分の殻に閉じ籠り、管理者である己を消していたかも知れない。
愛しているよ。心から。君が私への想い故に生み出したクラウディアも』
「ラズ、娘達を……家族をお願いしますね。貴方が傍にいてくれるなら、私は安心して見守っていられますから」
「勿論。娘達は、愛しい君が私にくれた、最高の宝物なんだ。必ず守るよ。
弟子…いや、息子達も、自身で危険を回避出来るように、私が出来る全てを教えていくよ。
多少、無茶でも、いつか誰かを守った上で、自分自身も守りきれる様にね」
いつもの様に、お互いの想いを伝えあい、暖かな幸福感と、胸の奥一番柔らかな場所から生まれる愛しさとを抱えて、ラズヴェルトの声に耳を澄ませます。
大丈夫。
私自身が傍に居られなくても、彼が傍に居てくれる。
子供達は大丈夫。
私はちょっと淋しいけれど、子供達が元気なら、それだけで充分幸せだわ♪
「ラズ……ラズヴェルト。なんだかとても会いたいわ。
直ぐにでも貴方の隣に降り立ちたいけれど、ちゃんと我慢するわね。
ね。だから……次に降りる時は、貴方とも一緒にいたいの。
駄目…かしら?」
『シア……。駄目じゃないよ。私こそ、会いたいんだ。
ユナの邪魔をするのは、申し訳ないけれど、シアの隣は愛娘にだって、譲ってあげないよ♪
どうせなら、三つ子や息子達も一緒かな?
ふふふ。どうしても二人きりで会いたくなったら、神域へと戻るよ。
その時は、目一杯愛させてもらうから、覚悟していてください♪』
「~~~っ、ラズ!」
私の我が儘を軽く受け流し、ちょっと意地悪に私をからかうラズのせいで、私の顔は真っ赤に染まりました。
時々、言わなくて良いことまで口にするのですもの!
“愛させてもらう”だなんて…。
~~~~~っ。
もうもうもう!
恥ずかし過ぎますわ!
誰も聞いていないとは言え、私を困らせるだけの冗談にしては、ちょっと酷いと思います!
『…シア? 私は冗談を言ったつもりはありませんよ? ちゃんと、覚悟しておいてくださいね?』
「ふぇっ!?」
え? え!?
私、言葉にしてました!?
『シアが考える事は、なんとなく分かるのですよ』
クスクスと笑いながら、ラズが私の心の声に返事をします。
………。
ラズは、意地悪ですわね。
「もう! ラズなんて知りません! 早くお休みなさいませ!」
今夜は、そろそろ聞き納めですね。
愛しい相手の声は、何時までも聞いていたいものですが、多少ゆっくりとはいえ、時間は流れているのですもの。
人族の器を使用している以上、限界は必ずあります。
休める時は、休んでおかねば、障りがでます。
『はいはい。ありがとう、シア。愛しているよ。良い夢を』
「おやすみなさい。私も愛しています。良い夢を」
余韻を残し、途切れた声に、寂しさを感じながらも、1日の終わりを認識する。
明日も1日、何事も無く、平穏に過ぎる事を祈り、管理者の仕事へと戻ります。
愛しき貴方達に、幸多からん事を願います。
ユナは、明日も元気でいてくれるかしらねぇ。
ふふふ♪
シア様とラズ様夫婦は、作者的ラブラブ夫婦のイメージで書いてます。
ラブラブとか甘々って、戦闘シーン並みに難しい!
恋愛系や、戦闘系の物語を書ける人を尊敬します。
いや、コメディだって、峠岬には難しいんですがね?
(ー_ー;)