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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第2章─街へ行こう! 世界を知るための第一歩?
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おはようございます! 新しい朝です。

 ─チチチチッ─チチッ─ピュイッ─

 ───ピュイッ─ピチチッ─ピィ──


 遠くで鳥の声が聞こえる。

 暖かくてやわらかな光が、瞼を刺激して覚醒を促します。


 重い瞼を押し上げ、再び閉じそうになるのを、擦ることで回避する。

 朝の光が天蓋から下がる薄布に遮られ、やわらかな明るさが部屋に満ていた。


 上体を起こして、ベッドの端へと移動します。

 薄布を開けて最初に目にしたのは、チェストの上の花を模したランプと、その横にある若草色のクッションに埋もれた小鳥が入った籠。

 視線を落とせば、小鳥と同じ様にクッションに埋もれている子犬と子猫が、それぞれの籠から顔を上げてこちらを見ていた。


 ……………。


「おはようごじゃ()います……」


(ぁ、噛んじゃった…)


『お早う御座います』


()よう』


 シリウスは挨拶を返してくれたけど、レグルスが返してくれた返事に、ふと疑問が湧く。


「にぃ。レグルしゅ()、今にゃんじ(何時)?」


『朝の8刻(午前8時)だ。先程、()の鐘が鳴った。』


「にょあっ! ねしゅ(寝過)ごしたぁ~」


 レグルスが告げた時間に、一気に眼が覚めた。

 今日は、街まで出掛ける予定だったから、午前中の早い内に、【無限収納】の整理とカスタマイズするつもりでいたのに!


 ──って、それはそれとして。さっきから、噛み噛みだ。

 寝起きで舌がまわらない…。

 流石3歳児。舌足らずだね。


「早くじゅんび(準備)して、朝ごはんにしよう!

 あ、その前に、おかあさんに朝のあいさつ(挨拶)!」


 わたわたと焦りつつも、やることの順番を決める。

 まずは、朝のご挨拶。

 それから、身仕度を整えて、朝ご飯の準備。

 ご飯を食べたら、【無限収納】を整理して、時間を見てから出掛けましょう!

 お昼過ぎてたら、ご飯を食べてからじゃないと、3歳児の体には少々キツイからね。


 昇降台を使って、よたよたとベッドから降りて、揺り椅子の傍のサイドテーブルへと向かいます。

 その上にある、昨夜設置した【女神像】の前に立ち、両手を組んで祈りの姿勢をとった。



 *~*~*~*~*



『お早う御座います! お母さん、聞こえる?』


『お早う、結愛(ゆな)。ちゃんと眠れた?』


『うん。ちゃんと寝たよ~。

 寝過ぎて、朝寝坊しちゃったよ…。

 街に行って、お姉ちゃん達とお話出来るの、楽しみにしてたのに。

 ちょっと遅くなりそう…』


『落ち込まなくても大丈夫。フォーレ達なら、ゆっくり待ってるって言ってたもの』


『お姉ちゃん達が?』


『ええ。可愛い妹が出来て、はしゃいでるみたい。

 森や農耕地は、フォーレの管轄だから、結愛がいるリシャの森の近くなら、街の教会に設置されてるのは、フォーレの女神像が一般的なの。

 だから、フォーレ以外とお話出来るのは、結愛がもっと大きくなって、いろんな場所に行ける様になってから…と思っていたのだけど、ラメルとリュニベールが羨ましいらしくて、「フォーレだけが、ユナとお喋りするなんてズルイ!」って、フォーレの部屋に押し掛けてるみたいよ?

 ふふっ。3人とも仲は良いから、喧嘩はしていないけど、ユナに会えるのを、とっても楽しみにしてるから、ちょっと騒がしくても許してあげてね』


『うん。私も早くお姉ちゃん達とお喋りしたい。

 でも、その前にお片付けをしとかなきゃ…』


『ごめんね。私が【無限収納】に容れすぎたから、片付けも大変になっちゃったのよね』


 楽しそうだったお母さんの声が、少しだけ落ち込む。


『違うよ!? お母さんは、私の為にって沢山考えて、いろいろ用意してくれただけでしょ?

 大丈夫、ちょっと時間は掛かるかもだけど、お姉ちゃん達とお喋りするために、頑張って早く終わらせるもん!』


『…結愛…ありがとう。…それじゃ、あんまり話し込んじゃ駄目ね。

 さ、朝ご飯をちゃんと食べて、準備なさいな』


『了解です! 出掛ける前に、もう1回来るからね♪

 じゃ、朝ご飯に行ってきます!』


『ふふっ。行ってらっしゃい。また、あとでね』



 *~*~*~*~*



 朝の挨拶を終えて、早速準備開始です!


 取り敢えず、クローゼットへ、れっつごぉ~♪


 本日のお着替えは、白のブラウスに濃茶のベスト。

 黒のレギンスに、深緑の短めキュロット。

 全体的に色味が渋いので、襟元に赤の幅広リボンを結ぶ。

 靴下は、踝丈の短いの。靴は赤い皮のショートブーツ。


 フィッティングルームにある、扉大の姿見の前でくるりと一回り。

 おかしな所は無かったので、次は洗面所です!


「お顔あらってくるね~」


 起き出して、身体を伸ばしたり、簡単に毛繕いをしている2匹に声をかけます。

 アルタイルは、まだクッションに埋もれてる。



 扉を出て、左に向かう。正面の3つ並んだ扉の左端。

 洗面所の扉を開けて、中へと進む。

 下ろしたままだった髪を、クローゼットから持ってきたハンカチで、首の後ろで一纏めにする。

 歯磨きと洗面をするために、踏み台に乗った。

 ……これ、キッチンにも在った魔道具だ。

 魔力を込めて、不可視の床を踏み締めます。


 水を使い終えて、ふかふかタオルで手を拭いたら、今度は髪を整えよう。

 3歳児の小さな手では、凝った髪型は無理ですね……。

 それ以前に、ここには髪を整える為の道具がありません!

 1度部屋に戻りましょう。クローゼットの中に、ドレッサーも在ったからね♪



 トイレによってから、お部屋に戻って、クローゼットに向かった。

 入って直ぐにあるドレッサーには、2つの引き出しがある。

 右側には、ブラシなんかの髪結い道具。左側には、化粧道具が整然としまわれてる。

 ……取り敢えず、化粧道具は必要無いね。私は3歳児だもん。

 正面の鏡は三面鏡で、その前には、ボックスが1つと、幾つかの小瓶が並んでる。

 椅子は、ダイニングの椅子と同じ魔道具だ。


 椅子に座って、ボックスを引き寄せる。

 やはり収納型の魔道具で、魔導鞄と同じ様な使い方だ。

 ただし、こちらの容量は5種類までで、個数は30個だって。

 入ってたのは、箱入りリボン2種類(幅広の華やかな物と細い紐状の物)。バレッタやシュシュ、(かんざし)まで在った。

 ピンやゴムは、右の引き出しにしまわれていたから、どんな髪型も作れるだろう…。


 ……………。


 うん。無理。

 3歳児の身体で、凝った髪型なんて、やってられますか!

 器用さは、お母さんが配慮してくれてたのか、普通の3歳児とは思えないけど、やりにくさはあるから、精神的な疲労が半端ないです!


 ともかく、簡単なのが1番だよね。

 ブラシで丁寧に解かして、左肩に流して1本の緩めの三つ編みに。

 お腹の高さで、深緑の幅広リボンで纏めた。

 椅子から降りて、全体を確認。

 下ろしてる状態で、膝の辺りまであるから、三つ編みにしても大分長い。

 リボンより下の毛先が、太腿の辺りにきます。

 鏡に写った姿は、取り敢えず合格点かな?


「みんな、おきた?」


 クローゼットの扉を出て、ベッドの方を伺う。

 シリウスとレグルスは、既に元の姿に戻ってました。


「? アルタイルは?」


 姿の見えないアルタイルが気になり、2匹に尋ねると、レグルスがアルタイルの埋もれていた籠に、鼻を突っ込んだ。


「へ?」


『ここだ。まだ寝惚けとる』


 レグルスがアルタイルを啣えて、持ち上げながら、呆れた様に呟いた。虎に啣えられた小鳥……絵的にちょっとシュールだ。


「ぇ、ええっ!? だって、用意するのに、きがえも合わせて30分いじょうかかってたよ?」


『アルタイルは、朝に弱いのでしょうか?』


 シリウスは、啣えられて尚、眠り続けるアルタイルを、不思議そうに観察してる。


「……とりあえず、下に降りよう。アルタイルは、わたしがつれてくね」


 レグルスからアルタイルを受け取ると、そのままレグルスが伏せた。


『乗れ。階下に降りるなら、階段で時間が掛かるだろう。俺が運ぶ』


 確かに、昨日も登るのに苦労して、最終的にシリウスやレグルスに運んで貰ったけど、降りるのは時間が掛かるだけで、なんとかなるのに…。

 まぁ、しょうがないかな?

 今日は寝坊しちゃったし。時間が短縮出来るなら、その方が良いよね。


「ありがとう、レグルス。ぁ、でも、アルタイルどうしよう? レグルスに乗せてもらうなら、アルタイルをつれてけないよ?」


 両手で作った籠に丸まる、毛玉みたいなアルタイルを見て考え込む。


『? 影に(ひそ)ませれば良かろう?』


 ───? 影に潜ませる? って、何?


 疑問だらけの私に、シリウスが答えをくれた。


『ユナ。私達【契約獣】は、本来は契約者の影に潜んで過ごすのが一般的ですよ? フェリシア様から頂いた知識にありませんでしたか?』


「ぁ、そうだった…。【けいやくじゅう(契約獣)】っていしき(意識)してなかったから、わすれてた…」


『俺らを何だと思ってたんだ?』


 呆れた表情で、レグルスが溜め息をついた。


「だって、みんなはかぞくでしょ? いっしょにいるの、けいやくなんて思ってないもん…」


 私の言葉に、シリウスとレグルスは驚いた様に一瞬固まって、お互いに顔を見合わせたあと、両側から頬擦りしてくれた。


『行くぞ。さっさと乗れ』


 影への潜ませ方をシリウスに教えて貰って、急いでレグルスの首に抱き着く。

 腰の辺りを引っ張られる感じがしたら、レグルスの上にいた。

 シリウスが啣えて持ち上げてくれた訳です。

 ………だって、3歳児に“自分の背丈”程の高さによじ登れって、無茶だよねぇ………。


『ちゃんと掴まっておけ。落ちるぞ』


 レグルスに言われて、ぎゅうっと抱き着きます!

 扉はシリウスが開けてくれました。

 さて、朝ご飯です! 何にしようかな♪

この話から、ほんのちょっと書き方を変えました。


会話文が読み難かったので…。

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