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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第7章─新たなお友達? それとも好敵手? 歳上の男の子は、未知の存在です!
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せめて、漢字で発音したいです。滑舌不良も、愛され要因のひとつですか?

「う~、酷い目にあったぁ~」


 フォルお姉ちゃんが、テーブルに突っ伏してます。


「…ん。…もう…食べ過ぎないように…する…(………出来る……かな…)」


 ベル姉様は、椅子の上で両膝を抱え込む様にして、膝の上に顎を乗せるちょっぴりお行儀の悪い格好で、目の前のティーカップを見つめています。

 最後に何か呟いてた気がしますが、声が小さくて聞き取れませんでした。


「お前ら…。ユナ、お前は、あんなんなるなよ! 頼むから、素直で可愛いままでいてくれ…。本当に頼むよ」


 椅子に座ろうと、テーブルに近付いたら、ラル姉さんに捕獲されちゃいました。

 フォルお姉ちゃんとベル姉様を一瞥し、ラル姉さんが私を膝へと抱え込みます。

 小さくなったシリウスを抱っこしていたので、抵抗出来ずに姉さんにされるがまま、親亀子亀状態です。

 姉さんは、私の頭を撫でつつ、お行儀の悪いお姉ちゃん達を牽制してます。


 大丈夫ですよ?

 いじけたり、落ち込んだりさえしなければ……。

 多分?


「本当に仲良いなぁ、お前ら」


「ふふ。だね♪ ほら、ラル、そのままじゃ、ユナが紅茶を飲めないよ?」


 お姉ちゃん達とは別に、隣のテーブルに着いていたお兄さんズが、微笑ましげに私達姉妹のテーブルへと声を掛けます。


「兄様、このお菓子美味しいです。兄様も如何ですか?」


「有難う。──ん。ぁ、本当に美味しい……」


 ヒュー様、ルクレヒト様の領主子息兄弟は、我関せずの態度で、お茶菓子にと提供した、フォルお姉ちゃん作のチョコチップ入りフィナンシェを食べてます。


 胃薬と果実水による、苦甘騒動も収まり、軽くお散歩もして、今は少し遅めのお茶の時間を堪能してます。


 お父さんは、領主ご夫妻と歓談中で、そちらにもお茶菓子は提供してあります。


 お庭が見えるサンルームでのお茶は、のんびりゆったり時間が過ぎます。


 人数が8人と3匹。

 ひとつのテーブルに着くには、ちょっと多かったので、使用人さん達が2つあったテーブルを窓際へと寄せて、男女に別れて座る事になりました。


 はじめは、「大人と子供で別れようか?」とも言ってましたが、それだと5対3での着席となりますし、朝のお茶と同じメンバーになるので、ヒュー様の提案でこの席順なのです。


 お姉ちゃん達のマナー違反は、ルクレヒト様が許可をくださったので、身内扱いで一応許されてはいます。

 でも……。


「オルねぇね、カップにかみにょけ、はいっちゃうよ?

 ベルねぇしゃま、したぎがみえしょうです。

 あんよは、おいすにのせちゃ、メッ! ですよ?」


「「~っ、ユナぁ~」」


「くく。ユナに注意されてやんの。やぁい、ダメ姉ちゃん共め♪」


 フォルお姉ちゃんとベル姉様が、私に注意されてションボリすれば、ラル姉さんが私の頭越しに、2人をからかいます。


「……ラルねぇたんは、ねぇねとねぇしゃま、いじめちゃメッ! よ?」


「うっ。……分かった。ごめん、2人共。………あれ?」


 ラル姉さんへの注意に、姉さんは素直に2人へと謝罪しましたが、一拍置いてから、不思議そうな声を出しました。


「ユナ? 今、あたしの事なんて呼んだ?」


 ………ぁ。

「ねぇたん」て呼んじゃいました。

 さ行を噛んでばかりだったので、無意識に多少発音がマシな、た行に置き換えてました。


「『ねぇたん』て呼んだよな? ~~~っ、それ可愛いな!」


 嫌がられたのかなと、ちょっと悲しくなった私を他所に、後ろから聞こえたラル姉さんの声は、とっても嬉しそう。

 あれぇ?


「今までの『ねぇしゃん』呼びも可愛かったけど、『ねぇたん』も可愛いな♪

 呼びやすい方で、呼んでいいからな♪」


 ………。

 許可貰えちゃった…。

 ……まぁ、姉さんが良いなら、いっかぁ。うん。


「あら、良いわね『ねぇたん』。可愛いわ♪」


「ん。……ぼくと被らない…」


「? ああ。『しゃん』と『しゃま』だと、似てるもんな」


 ラル姉さんの上機嫌に、フォルお姉ちゃんとベル姉様も同意してくれます。

 ベル姉様の呟きに、エディ兄さんが納得してました。


「俺のことは『にぃちゃ』って呼ぶし、クリスは『にぃたん』だったか?」


「うん。姉と兄の違いはあるけど、ラルとお揃いになりそうだね」


 クリスお兄ちゃんが、エディ兄さんの言葉に笑って頷いてます。


 ………。

 すいません。

 正確には、フォルお姉ちゃんとクリスお兄ちゃんがお揃いで、ラル姉さんとお揃いなのは、エディ兄さんです。

 舌足らずな噛み噛み呼びだと、判断難しいですよね…。


「どんな呼び方でも、下の兄弟に呼ばれる時って、何と無く嬉しくなるものだよね。

 私も、ヒューに『兄様』と呼ばれるのが嬉しいし、ユナちゃんくらいの頃に呼ばれていた、『ルゥにぃ』って呼び方も好きだったよ?」


「に、兄様! 昔の呼び方は、言わないでくださいぃ!」


 ルクレヒト様の言葉に、ヒュー様がお顔を真っ赤して、涙目で秘密だと訴えてます。

 ヒュー様、可愛いですねぇ。


「あ~、てことは、いずれ俺達も、『兄さん』とか『兄ちゃん』、『兄様』って呼ばれる時が来るのかぁ」


「ん~、ちょっと寂しいね」


「今のうちだけですよ? 舌足らずな呼び方は」


「「「可愛いのになぁ~」」」


 お兄ちゃん達の会話に、お姉ちゃん達が一斉に溜め息をつきました。


 ごめんなさい。

 私は、早く“噛み噛み”を卒業したいです。

 なので、ガンガン喋って、練習します!

 頑張るぞ、おぉ~っ!


「あ。これも、旨い…。フォルがお菓子作るの上手いって、本当だったんだな…」


「ちょっと!? ヒュー様、疑ってましたの!?」


「ぁ、いや、違っ──」


 ヒュー様が、ドライフルーツのパウンドケーキを口にし、ポツリと呟きました。

 いずれ来るだろう寂しさを噛み締めて居たせいか、部屋全体が静かだった為に、ヒュー様の呟きは、思いの外ハッキリ聞こえました。

 お姉ちゃんが、聞き捨てならないと立ち上がり、ジリジリとヒュー様へと近付いて行きます。


 あ~。

 お姉ちゃんを怒らせちゃいましたね。

 お姉ちゃん達は、怒らせちゃいけません。

 怒らせちゃった時は、素直に制裁を受けるのが一番です。


 フォルお姉ちゃんは、ほっぺをうにっと両側から引っ張ります。

 ラル姉さんは、オデコの横を両側から拳骨でグリグリします。

 ベル姉様は、ほっぺをへにょっと両側から潰して、変顔にされます。


 因みに、お母さんには、お顔をグニグニ捏ねられて、お父さんだと、気が済むまでオデコを突っつかれます。

 シリウスなら、肉球で頭を上から押さえてくるし、レグルスは、床に転がして前肢で軽く踏まれます。

 アルタイルは、脇腹に絶妙な突っつき攻撃をしてくるので、擽ったさに腹筋が引きつるまで笑わされます。


 みんな地味に辛いお仕置きなのですが、私が一番嫌なのは、やっぱりアルタイルかなぁ。

 擽ったいのと痛いの──腹筋が引きつれて痛いんです──と、呼吸困難の三重攻撃なんですもん。


「ひゅまん! ことびゃをまひがへた! しゃいしょきやら、うたぎゃってにゃいじょ!」


 ぁ。ヒュー様が捕まった。


 席を立って、早足での追いかけっこで、部屋中を逃げてましたが、とうとうお姉ちゃんに捕まっちゃいましたね。

 ほっぺをうにっとされてるので、何を言ってるのか分かりません。


 ん~、「すまん! 言葉を間違えた! 最初から、疑ってないぞ!」かな?


「………まぁ、いいでしょう。赦してさしあげます。でも、次は無いですよ?」


 にっこり笑顔で、お姉ちゃんがヒュー様を解放します。

 ヒュー様は涙目で、コクコクと頷いてました。


 うん。

 やっぱり、目上の人達を怒らせてはいけません。

 言葉には、注意が必要ですね。

 ………。

 その前に、滑舌良くなりたいなぁ。

フォーレお姉ちゃんの『ほっぺ、うにっ』は、力を加減されていて、痛くないのに逃げられない仕様です。


辺境伯家の御子息を泣かせる一般庶民………。

いいのか? これ。

いや、ダメでしょう!

不敬罪! 不敬罪!



─近況報告─


すいません。

季節の変わり目に当たる、今日この頃。

作者は体調崩して、へにょへにょです。

治ったぁ! ダメだ…、治ったぁ! ダメだ…、を繰り返してます。


投稿が出来なくなる可能性まで出てきました。

どうにか続けるつもりですが、急にお休みする事があるかも知れません。

その場合は、後々埋め合わせをさせて頂きます。

勝手な都合で申し訳ありません。


峠岬 嶺

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