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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第7章─新たなお友達? それとも好敵手? 歳上の男の子は、未知の存在です!
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美味しいものは皆で食べよう♪ お悩み解消、取り置きオーケー?

 あぅうぅぅぅ。

 作り過ぎましたぁ~。


 私達の目の前には、大小合わせて、237個のコロッケ。

 小さめの方が多いとはいえ、この量は無い。


 山と盛られたコロッケに、お姉ちゃん達は苦笑い。

 お兄さんズは……遠い目をしてます。

 ヒュー様とルクレヒト様、それにアルセさんは達成感(ゆえ)か、キラキラ笑顔。

 調理場の料理人さん達──同じ空間でメイン以外を作ってくれてました──は、出来上がったコロッケに興味津々な人と、山盛りの量に唖然としてる人と、二通りの反応。


「つくりすぎちゃいました…」


 私、どれだけコロッケが食べたかったんでしょうか……。

 流石に、遅くてもタネ作成時には、気付くべきでしたよね。

 いや、じゃが芋を湯がき始めた時点で、自重しておくべきだったのか…。


 ふえぇぇぇん。

 やっちゃいましたぁ~。

 泣いてもいいかなぁ。


「…大丈夫…。…皆で食べる…」


「そうね♪ 使用人さん達にも食べて貰えば、これだけあっても、今日中に消費出来るんじゃない?」


「だなぁ。私らの分としては……ん~、一人3個もあれば、充分だな。

 あと、レグルス達は、縮小化した上で、5個ずつか?」


「アりゅタイゆは、10こくらいたべしょうでしゅ!」


「レグルスは?」


「ん~、レグルしゅは、たべしゅぎにゃいように、じぶんでちょうせつゅしてるので、きいてみましゅ! レグルス~」


 シリウスとレグルスの居る厨房入り口へと走り、2匹に確認してみます。


『私は5個で充分ですよ』


『ふむ。俺は7個にしておくか…』


「シリウしゅが5こ、レグルスが7こね。アルタイりゅは、いくついりゅかなぁ」


『あいつは有れば、有るだけ食べそうだ。ユナが制限しないと、また食べ過ぎで動けなくなるな』


「むぅ。しょだね。たべしゅぎちゃうよね。アルタイルは、10こにしとこう…」


 レグルス達の分が22個、私達の分が大人と子供を合わせて33個、合計55個かな?

 ぁ、でも、自分で食べたくて作ったのに、私は3つも食べられない……。

 ………。

 お散歩時のおやつに、確保しとこうかな……。

 ん。そうしよう♪


 いそいそとお姉ちゃん達の元へと戻り、レグルス達が欲しい数を伝えます。


 おかわり分も含めて、60個確保して、残り177個。

 使用人さん達は、全員で30人程。

 それぞれに3個ずつで数えて、90個…。

 まだ、87個も残ってる。


「あまっちゃうねぇ…」


 人数分を取り分けて、残りの山を見渡します。

 (ほぼ)6皿分が残ってますね。


「ね、これ半分くらい貰ってもいいかしら?」


 フォルお姉ちゃんが、残りのコロッケ山を指差して、皆に確認を取ります。


「? 構いませんが。どうするのですか?」


 ルクレヒト様が不思議そうに、問い返します。


魔導鞄(マジックバッグ)にしまっておいて、お腹が空いた時の非常食にしようかなって」


「半分もか!?」


 お姉ちゃんの提案に、ヒュー様が驚きます。


 いやいや、ヒュー様。

 何か勘違いしてませんか?

 お姉ちゃんの事だから、私達の分まで確保してくれたんだと思いますよ?


「………。流石に一人で食べたりしないわよ?」


 お姉ちゃんが不穏な空気を纏って、胡乱な態度のヒュー様を睨みます。


「私一人で、こんなに食べられる訳無いでしょう!」


「…食いしん坊…が…何を言う…?」


「制御出来ずに食べ過ぎて、動けなくなるまでがお約束だわな」


 プリプリと怒るお姉ちゃんに、ラル姉さんとベル姉様が、こっそりツッコミました。


「──っ、ラル! ベル!」


 姉さん達の言葉が聞こえたのか、フォルお姉ちゃんの怒りの矛先は、ラル姉さん達へと向かったみたいですね。

 ヒュー様が胸を撫で下ろしてます。


 作った物を、美味しそうに沢山食べて貰えるのは、作り手冥利に尽きるんですが…。

 大食漢みたいに言われたら、誰だって怒ると思うんだけどなぁ。

 フォルお姉ちゃん、女の子なんだし。


 ぁ、それ以前に、私もアルタイルを大食漢扱いしてましたね。

 いけません。

 言われて嫌なこと、されて嫌なことは、しちゃ駄目なのです!

 あとでアルタイルに謝っておきましょう。

 でも、突然謝られたら、驚くかな…。むぅ。


 おっと、そろそろ、お姉ちゃんを止めましょう。

 姉さん達との追いかけっこに発展しそうです。

 厨房で追いかけっこは、流石に駄目ですよ。危険! 危険!!


「ねぇね、ねぇね。オルねぇね」


 言い合いをしているお姉ちゃんの服の裾を、ついついと引っ張り、意識を私へと促してみます。


「わたちのつゅくったの、おいちしょうにたべてくれりゅの、うれちいの。ねぇね、あいがとぉ」


 裾を引く私に気付いて、お姉ちゃんが目線を合わせてくれたので、にっこり笑ってお礼を伝えます。

 これで止まってくれるかな?


「~~~っ、ユナ、可愛い~♪」


 一拍置いて、フォルお姉ちゃんが抱きついて来ました。

 勢いに驚きましたが、加減がされていたのか、押される事無く、抱き締められます。


「あ~も~、ユナ、大っ好きっ!」


「わたちも、ねぇね、だいちゅき~♪」


「あ! こら! フォル、狡いぞ!」


「…ぼくも…ユナ…好き…」「あたしだって、好きだぞ!」


 ベル姉様が右側から、ラル姉さんが左側から、抱き締めてくれます。

 フォルお姉ちゃんには、正面から抱き締められていたので、姉妹団子(・・・・)が完成しました。


 あれぇ?

 何が原因でコウナッタ?


 ま、まぁ、良いや!

 取り敢えず、追いかけっこは止まったもんね。



 *~*~*~*~*



 やっと、やっとご飯です!

 やぁ、作るにしても、限度って大切ですね。

 普段から多目に作る癖がついてたみたいです。

 大抵、多目に作って、【無限収納】にしまっておくので。


 収納スキルを秘密にすると、ちょこっと面倒臭いですね。


 ぁ、バタバタしてたから、コロッケが冷めちゃったかというと、そんな事は無く、今でもホカホカ湯気が目視出来てます。


 原因は状態維持の魔道具。

 現物は紙。

 半透明なクッキングシートみたいな紙。

 微弱な状態維持の魔法が付与されている物で、この紙の上に乗せておけば、冷めないし(ぬる)くならない。


 耐久値が粗使い捨て──油や水分に弱いらしい──なので、かなり高価かと思いきや、安価で手に入る主婦の味方。

 付与されている魔法が微弱なので、長期間に渡る状態維持は無理。

 もって3刻、耐久値ギリギリで半日くらいらしいです。

 しかも、食材や料理にしか使えない。


 ………。

 この紙があって、何故にお弁当文化が無いのか…。

 不思議異世界事情です。


 まぁ、兎も角、ご飯です!

 コロッケ食べるぞ~! お~!


 食堂の15人程が一度に食べられるダイニングテーブルで、お父さん達が待ってました。

 一番奥のお誕生日席は、この領主邸の主であるディラン小父様。

 その両脇をお父さんと、アリア小母様──当人に呼び方指定されました──が向かい合う形で陣取っています。

 なので、子供達は年齢順に、それぞれの親元へと並びます。


 アリア小母様の隣にルクレヒト様、その隣にヒュー様。

 お父さんの隣は、フォルお姉ちゃんで、ラル姉さん、ベル姉様、私と並んで、お兄さんズは二人ともヒュー様の隣。

 お兄さんズが、どの席に座るかで少々揉めましたが、会話をしながら食事をするなら、この席が最善だとの判断で、確定しました。


 では。

 皆揃って。


「いただきます!」

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