大量制作開始でっす♪ 続き。…作り過ぎた…かな?
相変わらずユナちゃんの滑舌が…。
さ行とら行が壊滅的です。
読みにくい!
スミマセン。
もう暫くは、こんなままかも…。
ん。
これこれ♪
キャベツ、ゲットです!
「ん~と、おいもさんは、てでさわれるくらいまで、ちょっとさましましゅ。
そのあいだに、キャベツさんを、せんぎりにちましょう。
もりつゅけのいろどりになりゅし、あぶりゃによる、いもたりぇたいしゃくにもなりましゅ!」
さて、まぁ~るいキャベツさん、覚悟はオーケー?
揚げ物さんとの相性抜群なキャベツさん。
彩り鮮やかな黄緑キャベツさん。
そのシャキシャキ歯応えを、私にプリーズ♪
「ぁ、お嬢様! 刃物を使うのでしたら、私が─」
「う? だいじょぶでしゅよ?」
まな板に乗せたキャベツさんを、スキル全開で千切りにします。
大人用の包丁なので、いつもより慎重に切りましょう。
誤って手や指をサクッ…なんて、ごめん被りますとも!
包丁を握ったところで、アルセさんからストップが掛かりましたが、手は止まらず……。
すいません。つい勢いといつもの癖で。
───ストトトトトトッ。
──トトトトトトトッ。
「……凄ぇ」
「…お嬢様…素晴らしいお手並みです……。…私より正確かも…」
スキルによる補正効果で、私の包丁捌きは、正式な料理人と同等かそれ以上。
所謂、職人技──それも熟練者のそれ──その物です。
いえ、3歳児の行動や技術として、これが異常な事は自覚してますよ?
けど、出来ちゃう物は出来ちゃうので、仕方無いと思いますよ?
まぁ、自分以外で、こんな芸当ができる3歳児がいたら、確実に引きますが…。
だって、端からみたら怖い…。
でも、全部人任せって、何と無く嫌なんですもん。
仕方無いじゃないですかぁ~!
ヒュー様が驚き称賛を溢せば、アルセさんからは、唖然としつつのお誉めの言葉をいただきました。
ん?
アルセさん、最後に何か呟きました?
「ユナは、普段からお料理してるもの♪」
「姉妹の中でも、母上の次に料理が上手いのが、ユナだもんなぁ」
「…ユナのご飯…美味しい…」
早々にお姉ちゃん達が、私の異常性を棚上げして、私をべた褒めし始めます。
いやいやいや。
「ねぇしゃまたちも、おりょうりじょうじゅでしゅよ?
ぁ、でも、オルねぇねはおかちづゅくり、ラりゅねぇたんはおちゃをいれりゅほうが、じょうじゅでしゅね!
ベルねぇしゃまは、どれもじょうずなかんじでしゅ」
私はお姉ちゃん達の褒め言葉に照れながら、私を持ち上げるお姉ちゃん達の腕前を暴露します。
お姉ちゃん達こそ、それぞれ得手不得手はありますが、料理上手と呼ばれるに相応しい腕前を持ってますから。
フォルお姉ちゃんは、前の世界のパティシエ以上に、繊細で舌触りの良いお菓子を作れます。
ラル姉さんは、どんな茶葉でも最高の味を引き出せるし、ハーブや果物、食用花から始まり、薬草茶や果ては薬液でさえ、姉さんの手に掛かれば、美味しい飲み物へと変わります。
ベル姉様は、満遍なく上手で、お料理もお菓子作りも、お茶を淹れるのだって、とっても上手。
3人3様で、普段も良く一緒にキッチンに立ってます♪
「そうねぇ。ユナの次が、ベルよね。きっと」
「だな。あたしら三つ子の中では、ベルが一番料理上手だ」
「…ん。ありがと。…でも…お茶の淹れ方や…お菓子の作り方は…ラルやフォルに…勝てない…。
…ぼく…フォルのお菓子も…ラルのお茶も…好き…」
「わたちも、だいしゅきれす!」
お姉ちゃん達がそれぞれを誉め合ってます。
ベル姉様の言うとおり、お姉ちゃん達が作ってくれるご飯やおやつが、私も大っ大っ大っ好きなのです!
「「ありがとう〈な〉」」
ニコニコ笑顔を振り撒いていたら、フォルお姉ちゃんとラル姉さんに頭を撫でられました。
えへへ。嬉し~い♪
ベル姉様も、私にきゅっと抱きついて、ほっぺをスリスリしてきます。
姉様……包丁持ってる時は、危ないの。
スリスリは、後にしてください!
………。
え? 「しちゃ駄目」って言う選択肢は、ありませんよ?
嬉しいので。
するなら「あとで」にしてください。
そしたら、私だって、姉様にスリスリさせて貰いますとも!
「ユナがそんなに誉めるのなら、僕も味わってみたいぞ! いつか作ってくれ! な!」
私達の戯れを笑顔で見ていたヒュー様が、高々と片手を上げて、ハイッ! ハイッ! って主張してます。
ヒュー様の主張を聞いて、お姉ちゃん達が顔を見合わせます。
「私のお菓子なら、手持ちがあるから、午後のお茶の時にでも、御馳走しましょうか?」
「なら、あたしが茶を淹れてやろう。菓子に合わせて選んでやるよ」
お姉ちゃん達が楽しそうに、午後のお茶の約束をしてくれます。
わぁ~い♪
お姉ちゃん達のお菓子~♪
午後のお茶を楽しみに、今はコロッケを作るのです♪
キャベツさんも切り終えましたし、お芋さんも適度に冷めました。
もう、直接触っても熱くないですね。
「じゃあ、おいもさんがしゃめたので、しぇいけいちましゅ!
だいたい、おとにゃのてのひりゃサイジュ、ながまるしゃんがきほんれす。
おててのちいしゃいわたしたちは、てのひりゃより、ちょっぴりおおきくつゅくります。
そうしゅれば、ふつうのはんぶんサイズになりましゅかりゃ」
木箆で片手に余る量を掬い、慎重に成形していきます。
ちょっと大きめに作るので、ひび割れや型崩れには、注意が必要なのです♪
総掛かりで、楕円形さんを量産します。
お姉ちゃん達は流石に成形慣れしてますね。
自宅でハンバーグや肉詰め系の調理もしてましたし。
アルセさんは、料理長の役職に恥じない、正確さと手早さ、安定感のある技術力で即戦力です。
お兄さんズも多少もたつきはありますが、要領を掴めば大丈夫。
エディ兄さんの大雑把さは、ちょっと不安ですが。
ヒュー様とルクレヒト様は、恐る恐る慎重に成形してます。
初めて調理という技術に触れているので、はしゃいだり慌てたりしないだけでも、充分充分です♪
ゆっくりで大丈夫なので、そのまま頑張ってくださいね♪
さて、皆が成形してくれている間に、揚げ物の準備を進めます。
主力はアルセさんにお願いします。
ちっこい私が大量の油(高温)を扱うのは、大人がするより危険度が上がりますから。
油跳ねの注意が必要な事を伝えたら、アルセさんが率先して「私がやります。指示をお願いします」と、名乗り出てくれました。
ありがたいです。
でも、先ずは溶き卵と、パン粉の準備ですね。
大きめのボウルに、卵をこれまた大量に割っていきます。
アルセさんと2人で、コンッパカッ! コンッパカッ! を繰り返します。
卵の数が多いので、カラザ取りは諦めます。
少量だと無意識でも排除してたりしますが…。
カラザ、半生だと舌触りというか、歯触りというか、なんか違和感が…。
まぁ、コロッケの場合は、そこまで気にならないので、大丈夫でしょう! ………多分。
溶き卵はオーケー。
エディ兄さんが作ってくれた大量のパン粉を、深めのバットにゴソッと敷き詰めます。
あとは、油を鍋に。
おっと、油切り用の鉄網も必要ですね。
これは、材質が金物であれば、小さめの笊でも代用可能です。
まぁ、大量に作るときは、平らなバットに嵌め込める物の方が、断然使い勝手は良いですが。
揚げ物の準備が整い、皆の作業を確認すれば、山積みの楕円形。
うわぁおっ、壮観!
ではでは、分担作業をしましょうか。
卵を潜らせるのは、私とベル姉様。
パン粉を纏わせるのは、ラル姉さんとヒュー様。
フォルお姉ちゃんとエディ兄さんが、パン粉の着いたタネをアルセさんの元へと運ぶ。
アルセさんが次々と揚げて。
ルクレヒト様とクリスお兄ちゃんには、揚がった物を盛り付けて貰います。
本当は、パン粉を纏わせてから、ちょこっと置いた方が、馴染むんですが、時間も迫っているので、そのまま揚げちゃいましょう♪
「あぶりゃも、いいかんじにあつくなりはじめたかりゃ、しゃっしょくあげましょ~う♪」
流れ作業で揚げられていくコロッケ。
ふと出来上がりを見れば……アレェ?
テーブルの上には、大皿に山と盛られたコロッケが……。
ひぃふぅみぃ……13皿?
ひと皿、15個ずつ乗せてた筈なので……195個!?
ぁ、今乗せてるお皿が数に入ってないや。
ん~と、ぁ、丁度200個目が揚がった……。
………。
って、待って待って待って!?
200個目!? まだ揚げてないのもあるのに!?
あれ? これ、作り過ぎじゃあ……。
ようやっと、コロッケ完成~ぃ♪
でも、200個。
作り過ぎじゃね?
お子様8人に、親御さんが3人……。
計11人で200個…一人頭18個…拷問ですか?