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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第7章─新たなお友達? それとも好敵手? 歳上の男の子は、未知の存在です!
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これも日常? 少しずつでも、毎日してると慣れるものですね♪

「あらあら、どんな状況ですの?」


 唐突にかけられた柔らかな声に、入り口を振り返ると、鮮やかだけれど、優しい色味が目に映る。


 扉の前にいたのは、檸檬色の髪のしっとりとした美人さん。

 昨日街中で会ったサラン(女将)さんと、お母さんの雰囲気を足して半分にした感じかな?

 しっとりしているけど、妖艶な雰囲気はなくて、ふんわり優しい感じなのに、刺さるほどに冷たい湧水みたいな冷静さがある。

 ちょっと不思議な雰囲気のお姉さんだ。


 年齢的には、お母さんと同じくらいか、少し上?

 あれ? 下かな?

 判断が難しい…。


「お早う御座います、旦那様。朝から賑やかですわね」


「おはよう、アリア。今日も麗しいね♪」


 お姉さんが、ディラン小父様に近付いて、ふんわりとしたハグと、親愛を示す頬へのキスをひとつ。

 ディラン小父様も、お姉さんへと同じ行為を返します。


 クラウディアでは、キスする場所により、色んな意味があるのです。

 親愛、憧憬、尊敬、愛情……キスする場所によって、込められる意味は其々違います。


 勿論、私も家族間では、わりと頻繁に贈り合います。

 最初は恥ずかしかったけど、この一月で私も大分慣れましたよ…。


 お母さんからは、額や頬に。

 お父さんからは、頭の天辺(というか、髪かな?)や鼻にも。

 お姉ちゃん達は頬が基本で、お兄さんズは殆んどが額。

 レグルス達はキスじゃなくて、頬擦りですね。


 ぁ、思考が逸れた…。

 また、やっちゃった…。


「お久し振りに御座います、オーリシェン様」


「久し振り。すまないが、堅苦しいのは苦手だ、以前の様に接して良いかな?」


 お父さんへと淑女の礼をとってみせたお姉さんを、お父さんが制止します。

 お父さんの率直なお願いに、お姉さんは「勿論ですわ」と、了承してくれました。


「改めて。久し振りだね、ルース」


「御無沙汰しておりますわ、ラズ様。お変わり無い様子に、安心致しました。

 此度は、シア様は御一緒では無いのですね…」


 ぁ、このお姉さんも、お母さんの事大好きなんですね!

 と、あれ?

 それは置いておいて、お名前が……。

 アリアさん? ルースさん? どちらが正解なのでしょう?

 どちらも正解なのかしら?


「シアは外出時間が限られてるからね…。けど、子供達が一緒だから、思いの外賑やかだろう?」


「そうですわね。……あら? あらあら、まあまあ!」


 あや。

 お姉さんに見付かっちゃいました…。

 こっそりお父さんの後ろから、観察してたのですが…。


「小さなシア様ですわ! 何時の間に若返ったのですか? お可愛らしい♪」


 へ!?

 いやいや、待ってください。

 お母さんは若返っても、縮んでもいませんよ!?

 お姉さん、可笑しな誤解は止めてくださいね?


「ふふ。末娘のユナだよ。可愛いだろう?」


「まぁ、シア様ではありませんのね。本当にお可愛らしい。…あら? “末”ですの?」


「うん。4人姉妹の末っ子だよ。と、紹介は、君達の家族が揃ってからにしようか。

 出来れば、一度で済ませた方が、効率的だろう。

 こちらも、弟子達がまだ来てないしね」


「そうですわね♪ わたくしも、自己紹介がまだですし、息子達にも御挨拶をさせたいですわ」


 小父様を放置して、お話がどんどん進んで行きます…。

 いいのかな?

 小父様……笑顔だ……大丈夫! ……なのかも?


 ところで……。

 お父さんの言葉遣いが変です。

 私達と話す時は丁寧なのに、モーリスさ(モル兄)んやディランさ(小父様)ん等、昔馴染みと話す時はちょっと雑?


『どうした?』


「おとぉしゃん、きょうも、はなしかた…へん?」


『あれは、自衛だ。冒険者が丁寧な言葉を使っていると、柄の悪い者からは、“金持ちの坊っちゃんやお嬢ちゃんのお遊びだ”と侮られる事がある。

 多少雑に崩していた方が、余計な雑事が減るのだ』


 私が疑問を覚えてお父さんを凝視していたら、レグルスがそっと教えてくれました。


『フェリシア様も、クラウディアで御過ごしになる時は、常に少々雑な言葉遣いをなさいますよ。

 ラズヴェルト様は、話し相手との関わり方で、言葉遣いを変えていらっしゃいますね。器用な方です』


『本来は~、丁寧な言葉遣いな方だから~、ユナ達に使ってるのが~素の言葉遣いだね~♪

 相手がどうでも良い程~、言葉がぞんざいになるって感じかな~♪』


 シリウスとアルタイルも、お父さん達の言葉遣いについて、それぞれの見解を教えてくれます。


 ぁ、お母さんが喋り方を変えていたのも、やっぱり理由あったのですねぇ。

 雰囲気がちょっと違って、綺麗より可愛いより、格好いい感じだったのです♪

 私も真似してみましょうか…。


『ああ。その様な使い分けであろうな。………。ユナ、真似はするなよ?』


『真似しては、いけませんよ?』


『駄目だよ~? リュニベール様達、泣いちゃうよ~?』


 お母さんの喋り方を思い出して、ちょっと考え込んだだけで、考えてた事がバレました!?

 レグルスを筆頭に、契約獣が揃って私に注意して来ます。


 え~。

 駄目ですか?

 むぅ…分かりました。

 ベル姉様達が泣いちゃうなら、止めておきます。

 お姉ちゃん達に、悲しい思いはしてほしくありませんからね!


『付き合いが長くなり、言葉遣いに左右されない相手であれば、常の丁寧な言葉遣いが顔を出すようだ。

 女将と呼ばれていた女が、それに当たる。

 逆に、以前から使っていた言葉遣いを望む者もいて、この領主夫婦や冒険者組合(ギルド)長などは、その典型だ』



 *~*~*~*~*



 暫く大人達が雑談を交わすのを眺めていましたが…。


 ………飽きた。


 朝ご飯は全員が揃ってからなので、まだ用意されてません。

 あまりにも暇なので、レグルスやシリウスと戯れます。

 お手製猫じゃらしや、ボールを使って遊びます。


「失礼致します。お客様、並びに若様方が御出になりました」


 ミランダさんが、扉を開けて、待ち人達を入室させます。


 お兄さんズがやっと来ました!

 ヒューバート様も一緒です♪

 他にもう1人いますね…ヒューバート様が言ってた、お兄様でしょうか?


「遅くなりました」


 それぞれが、小父様とお父さんに頭を下げます。

 小父様はひとつ頷き、壁際に控えていた使用人さん達へと、目配せします。

 全員揃ったので、漸く朝ご飯が準備されるみたいです。


「さあ、先ずは食事にしよう! お互いの紹介も必要だね♪」


 小父様の明るい宣言に、それぞれが所定された席へと移動します。


 美味しい朝ご飯に舌鼓を打ちつつ、それぞれの紹介をするのですね♪

 食事中のお喋りは、御行儀が悪いと嫌な顔をされる事もあるのですが、お父さんも小父様も、私的な場での食事の際は、些細な事には目くじらを立てない人達です。

 なので、和やかにお互いの紹介をしながら、用意された朝ご飯をたいらげます。


 メニューは、前の世界でのモーニングセットを彷彿とさせますね。

 プレーンオムレツにカリカリベーコン、腸詰め肉(ソーセージ)にグリーンサラダ。

 バゲットを薄切りにしたものに、果物のジャムと常温バター。

 ポテトのポタージュに、果実水。

 デザートには、ヨーグルトが出されました。


 どれも美味しくいただきました♪

 ご飯が終われば、ヒューバート様との約束のお邸探検です!

 楽しみだなぁ。

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