口論は止まらない…。現実逃避の先の自己紹介です。
一足早く、メリークリスマス!
とはいえ、物語は何時も通りに進めます。
やっとユナちゃん達の家名が出てきます。
何か秘密があるとかではなく、作者が出し忘れてただけです。
スミマセン。
ミランダさんと空色の髪の男の子の口論は、暫く続きました。
放置されたままとはいえ、勝手に動き回るのは駄目だと理解しています。
行動を決めかね、興味無さげに寝そべって日光浴を始めていた、レグルスの背中に飛び付きます。
「レグルス~」
『俺の背に居ろ。暫くすれば、姉君達がやって来る』
お邸の方へと鼻先を向けて、尻尾を使って私を背中に乗せてくれます。
襟首を咥えて、ひょいっと扱われる事が多いのですが、尻尾で腰から持ち上げられる事も日常になりつつあるなぁ。
どちらかというと、尻尾で持ち上げられる方が安全ですね。
振り回される確率は五分五分ですが……。
たまに、投げられますし……。
………あれ? どっちにしろ危ない…かも?
まぁ、レグルス達が私を落とす事は無いと思います…多分……。
「だからっ!───」「ですから───」
ミランダさんと男の子の口論は、まだ続いています。
それはそれとして、あんなに鮮やかな空色の髪は、初めて見ましたね。
クラウディアは、流石異世界といった事情か、色んな髪色が存在しています。
原色からパステルカラー、蛍光色にクリスタルカラーまで、様々な色が溢れています。
一番驚いたのが蛍光色で、目を疑ったのがクリスタルカラーですね。
どれも綺麗な色なので、新しい色を目にする度にウキウキしています♪
ただ、今まで知り合った人の中には、珍しい色の人がいなかったのです。
ぁ、お姉ちゃん達やお父さんは、珍しい…かも?
と、いうわけで、家族以外で珍しい色の髪の人は、初めてです。
空色…。
綺麗ですねぇ。
口論の騒音を余所に、綺麗な色に見惚れていたら、お邸の方からも、ざわざわとした喧騒が近付いて来ます。
『………来たな』
お耳をお邸の方に向け、ピクピクさせながら、レグルスがポツリと呟きました。
「ぅ? オルねぇねたち?」
『ああ。だが、少々面倒事の気配がする』
「めんどうごと?」
「居たぁ~! 良かった!───」『ですから大丈夫だと───』「ユナ、無事だな?───」『レグルスが一緒だって~───』「…探した…」「ぁ、お待ち下さい───」
どやどやとお庭に雪崩れ込んで来たのは、フォーレお姉ちゃんに、ラメル姉さんに、リュニベール姉様。
それを宥める様に、3人の後ろには、小鳥姿のアルタイルを頭に乗せたシリウスが、付き従っています。
どうやら、案内の使用人さんを、お庭に出た時点で振り切ったらしく、使用人さんの制止まで聞こえてきます。
「オルねぇね、りゃルねぇたん、ベルねぇしゃま、おはようごじゃいましゅ」
レグルスの背中から滑り降り、お姉ちゃん達に朝の挨拶をしました。
ペコリと下げた頭を上げきる前に、温かな何かに包まれます。
「おはよう、ユナ。良かった~。本当に無事だった~」
「おはよう。朝起きたら、一緒に寝てたはずのユナの姿が無かったから、誰かに拐かされたかと思ったぞ?
………ベルなんか、暴走しかけてたし……」
「…おはよう…。…ユナ、無事で良かった…心配…した…」
フォルお姉ちゃんに抱き付かれ、ラル姉さんに頭を撫でられ、ベル姉様に右手を握られてます。
シリウスやアルタイルには、一言告げて出て来たのですが、知らない場所で、よく知らない人物達に囲まれている状況は、お姉ちゃん達に多少の緊張を強いていたみたいですね。
ガッツリ心配をかけちゃいました。
ところで、ラル姉さんが何かボソッと呟いたのは、なんだったのかな?
よく聞き取れませんでした。
「なんだ、お前達は!」
「お嬢様方、お早う御座います」
纏まってやって来たお姉ちゃん達の姿に、口論が中断されたらしく、空色の髪の男の子が、お姉ちゃん達に食って掛かり、ミランダさんは朝の挨拶を向けています。
「おはよう♪ ミランダさん」「おはよう」「…おはよう…」
フォルお姉ちゃんは元気よく、ラル姉さんは冷静に、ベル姉様ははにかんで、朝の挨拶を返します。
挨拶は大事ですからね♪
………。
とはいえ、空色の髪の男の子は無視ですか、お姉ちゃん達?
「~~~っ! 無視するな! 誰だと聞いているんだ! 答えろ!」
「相手に聞く前に、貴方が名乗ったら? 礼儀も知らないなんて、まだ子供とはいえ、将来ろくな大人にならないわよ?」
「~~~~っ」
怒鳴り付ける男の子に、フォルお姉ちゃんが正論を叩き付けてます。
ぁ、黙った。
ん~、よし。ここは私が折れましょう。
話が進みませんしね。
「はじめまちて、ユナでしゅ。あなたは、どなたですか?」
ぽてぽてと男の子に近付いて、にっこり笑顔で小首を傾げます。
まぁ、ミランダさんが「坊っちゃま」と呼んでいた時点で、大体想像はついてますけどね。
「─っ! 僕は、ヒューバート・ニクス・オルブラント。
この邸の主である、ディラン・カチェス・オルブラントの次男だ」
真っ赤なお顔で、漸く自己紹介をしてくれた男の子に、嬉しくなって、笑顔が溢れます。
怒鳴られるのは、お耳がキンキンするので嫌ですが、きちんと話せば、ちゃんと年相応に可愛らしい男の子の様です。
これなら、お友達になれるでしょうか。
「ヒューバートしゃま? わたしは、ディランおじしゃまのおともだちで、ぼうけんしゃのラじゅべりゅト・オーリシェンのよんじょです」
「父上の友達? ラジュベルト? 誰だ、それ?」
「はじめまして、私はフォル・オーリシェン。ユナの姉です。
私達の御父様は、ラズヴェルト・オーリシェン。Sクラス冒険者の【銀雷のラズヴェルト】ですわ♪」
不思議そうに首を傾げた男の子改め、ヒューバート様に、お姉ちゃんが説明します。
すみません。
私の滑舌の悪さだと、正確に伝えるのは、まだまだ至難の技ですねぇ。
イベントにあまり関心の無い作者は、今更ながら気付きました。
去年、投稿を始め、今年の11月で1年が過ぎていたと……。
Σ(゜Д゜)
どれだけ一杯一杯だったのか…。
まぁ、変則投稿なんてしているので、丁度1年目に当たる、11月1日はお休みしてたのですが…。
σ( ̄∇ ̄;)
今年も、もうすぐ終わります。
来年は、もうちょっとイベントに参加しよう…。