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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第6章─賑やかにレッツゴー♪ 街中散策も、楽しいイベントでっす!
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偉い人は大変ですね。もう一騒動と、新たな美人さん。

「ギルドマスター! 冒険者組合長(ギルドマスター)モーリス・グランバルドはいるか!?」


 ───グッ!? ガホッ、ゲホガホッ!


 ドカンッ! と、派手な音を立てて、騎士服? 軍服? 姿の美女が、食堂の入り口からも見える、ギルド正面入口を開け放って、モル兄を呼んだ。


 大きな音と、建物の隅々まで届きそうな大声に、私は飲み込もうとしていた果実水が、変な方に流れて、ゴホゴホと噎せてます。

 お鼻の奥が痛いし、喉のどこかが気持ち悪い~。


「っ、ユナちゃん大丈夫!? いったい、何だってのよ!

 って、あら? アシュリー? 領軍の御偉いさんが、息急ききって、どうしたのよ?」


 お姉ちゃん達が、慌てて背中を擦ったり、湿らせたタオルを渡してくれたりと、呼吸を楽にするために、世話をしてくれます。

 呼ばれたモル兄も、オタオタしつつも、心配してくれて、入口方面に苛立ちを向けました。

 派手に登場した美女を確認し、常ならざる様子に驚いたみたいです。


「どうも、こうも、あるか!? 先程の威圧感は、なんなんだ!

 街中の粗総ての人間が、一瞬とはいえ、行動不能になる程だぞ!?

 発生源は冒険者組合(ここ)だと確認済みだ!

 領主様までもが、被害にあわれた以上、原因が分かり次第、それが悪意ある存在ならば、排除せねばならん!」


 堂々と宣言された「排除」の言葉に、お父さんが心外だと示すかの様に、顔を(しか)めました。


 ───ゴホッ、ゲホッ、グッ!?

 ──ゴホッ、カフッ。ケヒュッ。


 み!?

 こんなお父さんは、初めて見ました!

 美形さんは、どんな表情でも、見惚れる程に綺麗ですが、気分を害していないか心配です。


「あ~、大丈夫よ」


 モル兄が、ちょっと挙動不審です。

 流石に、自分の失態が原因だとは、言い難いデスヨね…。

 責任ある立場のモル兄が、口論の末に武器を持ち出そうとしたのは、完全にモル兄の失態ですし、それを止めようとしたお父さんに、他意はありません。

 ………。

 まぁ、ちょっと広範囲に、影響を及ぼしはしましたが…。


 ──ケヘッ、コホッ。

 ─ハヒュ~、ハフッ。


「何が大丈夫なものか! あれ程の威圧、魔物ならばドラゴンクラスだぞ!

 放置出来る筈が無かろう!」


 へ?

 お父さんの威圧は、ドラゴンさんと同等か、それ以上って事ですか?

 凄いです!

 ぁ、やっと、呼吸が落ち着いてきましたよ…。ふいぃ~。


「だぁかぁらぁ~、大丈夫よ。あの威圧は、Sランク冒険者が、喧嘩を仲裁しただけ!

 排除の心配なんて、いらないのよ」


「はぁっ!? 喧嘩の仲裁!? なんだそれは!?」


 クマラさんとの口論が終わったと思ったら、相手を変えて、再び戦いのゴング(幻聴です…)が…。

 お父さんは興味すら失せたらしく、私のために新しい果実水を注文してくれました。


 モル兄…思いの外、喧嘩っ早い…。

 喧嘩はダメですよ~。



 *~*~*~*~*



「騒がせて、すまない。私は、オルブラント領主ディラン・カチェス・オルブラント伯爵が直臣、領軍団長を務めるセレスティナ・アシュリーと申す。

 名高きSランク冒険者【銀雷のラズヴェルト】殿に、目通り叶い光栄に思う。

 宜しければ、アシュリー、又はセレスと御呼びください」


 モル兄との口喧嘩を終え、アシュリーと(モル兄に)呼ばれた美女が、名乗りを上げて、お父さんに握手を求めます。


 ここ、ラディオールの街は、国の最果てであり、国境を有する“辺境”と呼ばれる場所で、オルブラント伯爵領の領都です。

 オルブラント伯爵様は、宮廷では辺境伯と呼ばれる地位にあり、所有する軍も、国内で二番目(一番は国軍です)に大きく、実力主義を誇る集団らしいです。

 ボルヴァルディの森や、ドラグーン山脈が近い為、実力の無い者は、否が応でも脱落していきますしね。


「先程からの、無礼極まりない言動の数々、心より御詫び申し上げる。

 領内の治安を預かる者として、少々冷静さを欠いていた…。

 常に冷静であれる様、精進してきたつもりだったが、未々足りぬ。

 領軍の長とは成ったが、未だ未熟者だ」


 セレスさんは、躊躇い無く頭を下げ、自分の態度を反省していました。

 あまりの事──一瞬とはいえ、街中が機能停止の状態──に、気が動転していたとはいえ、短絡的にも排除の選択を口にした事を、後悔しているみたいです。


 国内に拘わらず、強者を尊ぶ環境が揃っているため、世界でも希少なSランク冒険者であるお父さんは、低位貴族より優遇され、高位貴族と同じ様に扱われます。

 お父さん曰く、「堅苦しいから御免被る」扱いだそうです。

 まぁ、端的に言えば、世界的に見ても、お父さんとラディオールの領主様は、同等──の地位にある──とされてる筈なのです。


 排除など出来る筈も無く、逆に排除(それを)してしまえば、緊急時の戦力が低下するので、完全な失態へと繋がりますね。


「いや、私ももっと抑えるべきでした。制御が少し甘かったのは、私の落ち度です。

 謝罪は受け入れますので、お気になさらず」


 お互いに気遣いを示して、威圧の一件は落ち着いたかな?

 私もご飯を食べ終えましたし、再び街中散策へと出掛けましょう♪

 今度こそ、お父さんも一緒ですね♪

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