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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第6章─賑やかにレッツゴー♪ 街中散策も、楽しいイベントでっす!
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食堂で遭遇する熊さんは、毒舌喧嘩腰? お楽しみの放置は哀しいです…。

戻りました~。

今回ちょこっと長いです。

新キャラさんが…。

「ん? かき揚げ? 乗せるのか?」


 ふと、通り掛かった男性が、私の我儘を拾っちゃいました。


 ん?

 乗せるのか…って、あるんですか!? かき揚げ。

 あるなら、是非欲しいです♪


 もたらされた情報に、勢い良く顔を向ければ、そこに居たのは………どちら様?


「……くましゃん?」


 焦茶の髪に、もみあげから繋がる顎髭、口髭もモサッとした、左目に眼帯のおじ様がいます。


 イメージは完全に森の熊さん。

 または、樵のオジサン?

 悪くすると、どこぞの山賊頭? あれぇ?


「ん? 嬢ちゃん、俺を知ってんのか? 覚えが無いんだが…」


「あら? ユナちゃん、このオッサン知ってたかしら? 食堂は初めてよね?」


 熊さんの声と、モル兄の声が重なります。

 途端に、どこかで、試合開始のゴング(幻聴!?)が鳴った。


「ああ"!? カマ野郎も居やがったのか!」


「ちょっと!? 誰がカマ野郎よ!? どう見ても、私は普通の男でしょうが!

 あんたこそ、その髭面何とかしなさいよ! 不衛生よ!

 筋肉達磨の似非料理人!」


「誰が、似非料理人だぁ!? お前のどこが普通だってんだ!

 その女言葉を直してから、出直して来いや! このデカブツ女男!」


 モル兄と熊さんの罵り合いが勃発。

 食堂の皆さんの視線を集めてます。

 どっちも体格の良い、長身の男性なので、目立つ目立つ。

 ただし、それも一瞬。

 次の瞬間には、何事も無かったかの様に、モル兄と熊さん以外は、最初の雰囲気に戻ります。


 どうやら、モル兄と熊さんの罵り合いは、毎度の事らしく、ちょっと変わったコミュニケーションとして、冒険者組合(ギルド)内では、黙認されてるみたいです。


 初めて来た私達以外、誰も気にしてませんし、何よりお父さんが微塵も慌ててない。


「………。くましゃん、“かきあげ”くだしゃい」


 ちょっと考えて、私も普段通りで良いかな? と、要求を通そうとしたら、お兄さんズが慌てます。


「え!? 流した!? ユナ、この雰囲気、完全無視すんのか!?」


「……ユナ、少ぉ~し待ちましょう。あの状態の相手に、声をかけるのは、無謀ですよ」


「う? でも…」


 お兄さんズの慌てぶりに驚き、首を傾げます。


 え? 駄目でしたか?

 だって、この口喧嘩、日常と化してるんですよね?

 ぁ、私の要求、聞こえてませんね。

 罵り合いの声に、掻き消されたもよう。


「ぁ、私、デザートも食べよう♪」


「あたしは、果実水追加」


「…ぼく…粉チーズ…欲しい…」


 フォーレお姉ちゃん、ラメル姉さん、リュニベール姉様も、それぞれ自分の食事を進め、当たり前の様に、要求を告げます。


 メインだったグラタンを食べ終えたフォルお姉ちゃんは、再びメニュー表を開いて、デザートを物色中。

 バーガーセットを注文していたラル姉さんは、セットメニューのフライドポテトを食べながら、飲み物の追加を告げます。

 ベル姉様は、ミートソースパスタの味に変化を求めて、粉チーズをご所望ですね♪


「お前らもか!?」


 エディ兄さんが、驚愕してますが、お姉ちゃん達は、誰も気にしてません。

 ……マイペースって、素晴らしい?


「フォル、デザートは、この後の散策でも、何か食べる可能性を考えて、控え目にね?

 ぁ、すみません。果実水の追加と、粉チーズを貰えますか?

 それと…ん? ああ。

 レグルス、アルタイル、おかわり要るかい? シリウスは?」


 モル兄と熊さんの罵り合いも、お兄さんズの慌てぶりも放置して、お父さんが他の店員さんを呼び止めてます。


 本当に、一欠片も動じてません。

 レグルスとアルタイルまで、おかわりの催促。

 お父さんが呼び止めた店員さんも、騒動を余所に坦々と行動してますね。


 ぁ、かき揚げ頼むの忘れちゃった…。

 二度手間させちゃうけど、追加注文が来たら頼もう。

 熊さんは、モル兄との口喧嘩で忙しそうだし…。


 モル兄達の喧嘩を余所に、おうどんを啜りつつ、軽く現実逃避に走ります。

 だって、ヒートアップするだけで、全然終わりそうに無いんですもん。



 *~*~*~*~*



「……そこの二人、武器を振り回す気なら、問答無用で沈めますよ?」


「「~~っ!? す、スミマセンでしたぁっ!」」


 現実逃避しつつも、食べ進めていたら、倉庫で聞いたのと同じくらい低~いお父さんの声。

 熱が入りすぎたのか、モル兄と熊さんが、お互い武器に手を伸ばした途端、お父さんから冷気(凍気?)が噴き出しました。


 あまりの凄まじさに、食堂から音という音の粗全(ほぼすべ)てが、瞬時に消えます。

 あるのは、普段なら食堂の喧騒に掻き消されてる筈の、調理場の調理音のみ。


 器用な事に、同じ空間にいるのに、お父さんの膝の上の私には、冷気が来ない。

 モル兄と同じくらいの距離にいる筈のお姉ちゃん達や、お兄さんズにも、届いてないみたいです。


 完璧な制御──一般人なら口が利けなくなるギリギリ。子供には影響無し──と、有り得ない範囲──後で確認したら、粗街全体が範囲内だった──への威圧。

 お父さんが所持するSランクは、伊達や酔狂じゃありませんね♪

 お父さんが、恐くて格好いいです♪


 モル兄と熊さんが、冷気を感知した瞬間、反射するかの様に、同時にお父さん(冷気の発生源?)に頭を下げました。

 殆んど直角……いや、今にも土下座に移行しそうな雰囲気です。


「で? 落ち着いたかい? いい大人が、公共の場で騒ぐものじゃないよ?

 ほら、クマラ、こっち来て。子供達に紹介するから」


 お父さんが冷気を引っ込めた事で、音が戻って来ます。

 まだちょっと遠慮がちですが、粗元通りの喧騒ですね。

 ご飯は、多少賑やかな方が、より美味しい気がします♪


「あ? ラズの旦那? なんで食堂に…って、子供達?」


 ん?

 熊さんも、お父さんの知り合いですか?

 と、言うか……お父さんが居る事に、今気付いたんですね。


「この子達が私の娘だよ。末っ子なんて、シアにそっくりだろう?

 上の子達は、三つ子。奥から、ベル、ラル、フォル。で、膝の上のこの子が、末のユナ。

 弟子のエディとクリスは、知ってるね。

 4人共、彼はクマラ・サモネ。ここの料理長だよ」


「へぇ~っ。旦那、美人の奥さんがいるのは知ってたが、娘さんもいたのか!

 上の3人は、もうレディらしさがあるが、末っ子はまだちっせぇなぁ。

 可っ愛いもんだ!」


 お父さんの紹介に合わせて、お姉ちゃん達と一緒に会釈します。

 口の中が、おうどんでいっぱいなので、呑み込むまでちょっと待ってくださいね。

 ………もむもむ…。むぅ~。


「ふふ。五年程離れて、生まれたからね。8歳と3歳だよ」


 ごっくん。

 呑み込めましたぁ~♪

 忘れない内にお願いしましょう!


「…くましゃん…かきあげ、くだしゃい」


 ずぅっと、待ってたんです!

 自己紹介は、ご飯の後でちゃんとします。

 取り敢えず、先にご飯を終えさせてくださいな。


「お? 悪ぃな。ちょい待ってろ、今持ってくる!」


「……。あの騒動の最中ですら、食べ続けるって…」


「ユナは強いですねぇ」


 颯爽と去り行く熊さん改め、クマラさんの背中を見送っていたら、お兄さんズが何か言ってました。

 声が小さくて聞こえなかったので、目線を合わせ、小首を傾げて疑問を伝えれば、「何でもない」と声を揃えて流されます。

 何て言ってたのかな?

モーリスさんの天敵登場~♪

お互いの仕事ぶりは認めていても、何と無く気にくわない相手って居ますよね~。


モーリス兄さんは、綺麗好きで身嗜みも紳士的です。

なので、お髭だらけで、全体的に粗い態度のクマラさんが許せない。


クマラさんは、ザ・漢を地で行くお兄さん。

自分と同じくらい体格の良い、見た目も完全に男なモーリス兄さんが、女言葉を使う事が、生理的に無理。


どうやっても、お互いが気にくわないので、喧嘩上等! って感じで、常に激突してます。


アヴァロンの職員は、割りと皆個性的。

ユナちゃんの誤解は、進行しそうです…。

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