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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第1章─やって来ました! クラウディア!!
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お休み前のお楽しみ♪ 夜更かしは、3歳児の敵でした…。

 洗面所の洗濯機前の籠に、洗濯物を置いて、パステル調の私室にやって来ました。


 ………階段って、3歳児には、過酷な試練の場だよね………。


 フフフフフッ。


 思えば、お家探検の時も、大変だったよ。

 手摺を使って、よじ登ること3段めで、息切れした私を心配して、シリウスが元の姿に戻って、背中に乗せて運んでくれたんだよね……。

 今回は、レグルスだったけど…。


「みんなは、どこでねる(寝る)の?」


『今夜は此処で寝てやろう』


『そうですね。初めての夜くらいは、皆で一緒に寝ましょうか』


『ほ~い。僕も此処でいいよ~♪』


「いいの? やったぁ~♪ みんないっしょ(一緒)♪」


 えへへ~。

 良かったぁ。

 お母さんが沢山気にかけて、安全で安心できる【(いえ)】を用意してくれたことは分かってる。


 だけど此処は……。


 私にとっては未知の世界。

 たとえ、お母さんが創った世界だとしても、怖いものは怖い。

 危険な所じゃないことが分かっていても、多少の不安は勿論あって、夜が近付く程に、小さな恐怖を煽りはじめる。


 だから、3匹が一緒に寝てくれることが、凄く嬉しかった。


「あ、おかあさんの“ぞう()”をせっち(設置)しなきゃ…」


 3匹がそれぞれの寝床に落ち着こうと、クッションを慣らしはじめた辺りで、大事なことを思い出した。

 夕方に1度ダイニングで取り出した【女神像】を、今度は私室に設置しないと。

 じゃないと、お母さんとお話が出来ないもんね。



 *~*~*~*~*



 出来た~♪

 今回もまたシリウスが、元の姿に戻って、手伝ってくれました♪

 揺り椅子の側にあるサイドテーブル。

 その上に、【女神像】を無事に設置出来ました!


 ではでは、早速お母さんに連絡しましょう!


『お母さ~ん。聞こえる?』


結愛(ゆな)♪ 聞こえてるわよ~♪』


『お母さん♪ 良かったぁ。防御結界も起動出来たよ!』


『ええ。これで、外敵対策は万全ね♪ 【お気に入りの庭】は、魔法も物理も無効化するから。害意のあるものは、内側に入れないもの』


『凄いねぇ。【女神像】も、お部屋に設置したよ~。これで、朝と夜にお話出来るね♪』


『そうね♪ ………そういえば、【女神像】ってどっち(・・・)を使ってるの?』


『へ? どっちって、何?』


『ぁ、まだ【無限収納】の確認が出来てないのね。【女神像】は2種類ある筈よ? 両方とも、雪輝(せっき)(いし)っていう真っ白な石で出来てるけど、大きさが違うの。1つは、結愛の半分くらいで、もう1つは、大人の(てのひら)くらい』


『……ちっちゃいのもあるの!?』


『ええ。その感じだと、大きい方を使ってるのね? 設置って言ってたから、もしかしたらと思ったんだけど』


 夕方とさっきの苦労って……。

 いや、大変だったのは、シリウスだけどね?


『大きい方はね、【私のお城シリーズ】の【丘の上の領主館(カントリーハウス)】か、【森の奥の素敵な洋館(3階建ての御屋敷)】を使う時に、祭壇に設置される【女神像】なの。小さい方は、外でも緊急でお話出来る様に、用意した【女神像(小)】ね。結愛が小さいから、持ち歩けた方がいいかなって、用意したんだけど、大きい方を先に見付けちゃったのね…』


『…ちっちゃいのも探してみる。折角シリウスが設置してくれたから、大きい方もこのまま使うね。まだ使わない【私のお城シリーズ】を【無限収納】に片して、【女神像(小)】を魔導鞄に入れておくね♪』


『ふふっ。そうね♪ 小さい方は、そんなに重くないから、結愛でもちゃんと持てると思うわ』



 *~*~*~*~*



 今日あったことを、1つずつ報告する。


 目が覚めて最初にクラウディアの自然に感動したこと。

 3匹が近くにいてくれて嬉しかったこと。

 お母さんが用意してくれた魔道具に驚いたこと。

 お家探検にシリウスだけが最後まで付き合ってくれたこと。

 柵の設置は3匹と協力して頑張ったこと。

 食材の新鮮さと、以前の世界との共通点。

 お風呂場でのみんなとのやり取り。


 楽しかったことや、初めてのことでいっぱいだった半日を、一生懸命に話した。

 お母さんが楽しそうに聞いてくれることに、嬉しさが募って、言葉が次々に溢れてきた。


『ふふっ。クラウディアを気に入ってくれたみたいで、良かったわ。結愛が楽しそうで安心したもの』


『うん。凄く楽しかった♪ ぁ、そうだ! お母さんに聞こうと思ってたんだ』


 ふと、ステータスのことを思い出した。


『なぁに?』


『ステータスの称号にね、【世界の愛し子】っていうのが増えてたの…。お母さん知ってた?』


『あらあら…。クラウディアで生きることが、結愛にとって少しでも幸せであるように願ったからかしら…』


『じゃあ、やっぱりお母さんがくれた称号?』


『いいえ。【世界の愛し子】は、結愛の姉さん達が与えた称号だわ』


『お姉ちゃん?』


『ええ。結愛は、私の眷族となったでしょ? 本来、眷族と呼ばれるのは、世界の理を統べる女神のことなの。だから、眷族を子供と考えるなら、私には結愛の他に、3人の娘がいることになるわ』


『3人…女神…。【大地の女神様】と【海の女神様】。それから、【宇宙(そら)の女神様】のこと?』


『ええ。豊穣と繁栄を司る大地の“フォーレ”、生命と審判を司る海の“ラメル”、安寧と運命を司る宇宙(そら)の“リュニベール”の三柱(みはしら)の女神よ。彼女達が、私の願いを聞き入れてくれたのだと思うわ。きっと、“新しい妹”への祝福も兼ねているんじゃないかしら』


『……お礼、言いたいな……。いつか、会えるかな…』


『ふふっ。大丈夫。何時(いつ)になるかは、断言出来ないけど、必ず会えるわ♪ それにお話だけなら、街の教会にある、それぞれの女神像に祈れば、【神託】が働く筈よ?』


『! 本当!? なら、明日は街に行ってみる!!』


『…貴女の幸せを、皆が祈っているわ。命を大切に、精一杯“生きること”を楽しんで。もう少し大きくなったら、クラウディアを見て回っても面白いかも。“幸せの欠片”は、何処(どこ)にでもある筈だから、いっぱい集めて私に教えてね♪ 何時(いつ)でも気にかけているわ。貴女は、私の“愛しい末娘”なんだから』


『…っ、うん! 頑張って、沢山たくさん“幸せの欠片”を集めるね♪ 勿論、お母さんやお姉ちゃん達がくれた“欠片”も、ずっと大事にするから!』


『ふふっ。さあ、そろそろお休みなさい。明日街に出るなら、きちんと休まなきゃ駄目よ?』


 睡魔に襲われ始めた私に気が付いたのか、お母さんが話を切り上げる。

 これ以上は寝落ちしかねないから、良い子でお返事しますよ?


『は~い。えへへ。また明日ね♪ おやすみなさい、お母さん♪』


『おやすみなさい、結愛。良い夢を…』



 *~*~*~*~*



 お祈りの姿勢を解いて、嬉しさに高揚しながら、ベッドへと向かう。

 睡魔に襲われつつ、昇降台を使ってよじ登ったベッドはふかふか。

 天蓋から下がる薄布だけを閉じて、布団に潜り込む。

 月明かりを感じながら、静かに目を閉じれば、抗いがたい睡魔によって、意識がゆっくり遠退きはじめる。


 明日からの“小さな冒険”に、心を踊らせながら、私は眠りに落ちた。


 ───おやすみなさい。



 ★☆★☆★☆★☆★

 ─レグルス視点─


 ───やっと寝たか…。


 人族の幼児(おさなご)の身体では、夜更かしなど毒にしかならん。

 フェリシア様とのお喋りが嬉しいのは分かるが、夜はもう少し早く切り上げるよう、注意すべきか?


 俺達【聖獣】は、本来食事も睡眠も必要としない。

 味わうことは出来るし、身体を休める体勢をとることも出来る。

 それでも、食事や睡眠は、嗜好の1つでしかない。


 俺達の在り方は、【主の魔力を受け、主の望みを叶える】というもの。

 主によって、【望み】の形は変わる。

 力を求める者もいれば、情報を欲する者もいる。

 誰かの死を望む者や、永遠の命を望んだ者もいた。

 だが、まさか、“家族として暮らすこと”を望む者がいるとは思わなかった。


 俺達を【家族】と呼ぶことに躊躇いが無く、どんなことでも、自分で1度やってみる。

 命令ではなく、お願いをする主など、見たことどころか、聞いたことすら無かったぞ?


 それでも、(ユナ)がそれを望むなら、【家族】であることを、共に楽しむことにする。

 勿論、フェリシア様に頼まれた“戦う力”を持たない(ユナ)の、“守りの力”となることを、止めるつもりも更々無い。


 俺達の主は、小さく弱々しい。

 然し(しかし)、その心は強く美しい“しなやかさ”を持つ。


 結局俺は、この小さく愛らしい主を、最初から好ましく感じているようだ。

 シリウスやアルタイルと名付けられた2匹も、多分同じ思いなのだろうな。


 (ユナ)の心地好い魔力を受け入れながら、微睡む様に朝を待つ。

 明日、(ユナ)が目覚めたら、一応注意はしておこう…。

 寝不足は、幼児(おさなご)の敵だろう…。

 ★☆★☆★☆★☆★



 翌朝の寝坊は“お約束”なのかも知れない…。

ユナちゃんの半日…。

長かったですね。


これからも、こんな日常がゆっくりまったり続きます。


誰かの暇潰しになれたら、作者的には嬉しい限りです!


ですが、とうとう、ストックが無くなりました。

投稿間隔が不規則になるかもしれません。

出来るだけ偶数日投稿で頑張るつもりです!

気長に覗いてやってください。

今後ともヨロシク♪


※ 最終話ではありません。

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