8.魔法の覚え方とオーク
3人で村を目指して森の中を歩き始めた。帰りがけの駄賃にゴブリン駆除もしつつゆっくり歩いていると、アキトはレンからの強い興味の視線に気づいた。そちらにゆっくり振り返るとレンから話しかけられた。
「アキト君は短剣使ってますけど《下忍》とっているんですか?凄く攻撃が早くてゴブリン圧倒しちゃってますよね。妹は《弓士》Lv2と《黒魔》Lv2をとってます。私は《剣士》Lv2と《白魔》Lv1をとってます。」
アキトは少し考えた。すでに《忍者》になっているとは言えないだろう。ゴブリン20匹ほどでクラスチェンジしたとはいえ、成長100倍がなければ2000匹必要ということなのだから。
「《下忍》とってますよー。Lvは秘密です!他には《拳士》もとってます。《白魔》とか《黒魔》って魔法ですよね?どうやったらジョブをとれるんですか?」
話題を変えつつ気になった魔法について質問をしてみた。レンはLvについてはあまり気にしなかったようだ。
「えーっとねー。杖で魔物を殴って倒すんです!才能があれば10匹から30匹くらいゴブリン倒せば《白魔》か《黒魔》取れますよ。凄い人は両方とれちゃったりもするみたいです。私は《白魔》しかとれなかったので《ヒール》しか覚えられなくてジョブLvを上げるのが杖で殴り倒さないといけなくて大変なんです。」
入手法がまさかの脳筋だった。笑いを我慢するのが大変だった。でも魔法は今後必要だろう。次は杖を買うべきだろうか。
「なので《剣士》のATKボーナスを上げるために今頑張ってるんですよー。」
《剣士》はATKボーナスなのか。今はまだゴブリン退治だから必要ないけどこれも今後必須だろう。上げたいジョブがどんどん増えていって迷うな。
その時後ろから大きな物音を立てて何かが走ってきた。慌てて後ろを振り返ると2mほどの大きさの人型豚が襲い掛かってきた。
「オークよ!ヨン、弓で頭を狙って!アキト、2人で足を狙いましょう!」
レンの早い判断に従って3人は動き出す。アキトが先行しオークの振り上げた棍棒攻撃をかわす。その隙にレンが右の足を切りつける。どうやらゴブリンより硬いようだ。体勢は崩せたが大ダメージとはいえない。ヨンが弓で頭を狙ったが体勢が崩れたせいで外れてしまった。オークがレンに掴みかかろうとしている。
「やらせるか!」
アキトはオークの頭が下がったため狙いやすくなった目に狙いを定め、短剣を突き立てた。ブチブチっと嫌な音の後グチュっと脳みそに短剣が到達した。オークは痙攣しながら崩れ落ちた。
《忍者》ジョブLvが2に上がりました。SPD+7 隠蔽スキルLv2
「大丈夫?」
アキトはレンに手を差し出した。レンは震えていた、怖かったようだ。
「ありがとう。オークにあったの初めてであんなに硬いなんて思わなかった。あのまま殺されちゃうんじゃないかって。アキト君がいてくれてよかったわ。」
お礼を言いながらレンはアキトの手をつかんで立ち上がる。
「もう今日は村に戻ろう」
オークの魔石を取り出し、3人でまっすぐ村に向かって歩き始めた。
《名前》 アキト・ホウジョウ
《称号》天才の異世界人(成長速度100倍)
《ステータス》
ATK 12
DEF 10
VIT 10
DEX 12
INT 13
MEN 12
SPP 10 +1 +10% = 12
SPD 12 +7 +60% = 30
HIT 11
《加護》女神の加護(仲間の成長速度10倍)
《ジョブ》《拳士》Lv1《忍者》Lv2
《熟練度》《格闘》Lv1《短剣》Lv6
《スキル》《豪拳》Lv1《投げナイフ》Lv5《隠蔽》Lv2