74.女神様との出会い3
アキトは気がついたときにはまた女神様の前にいた。周りは真っ白な壁に囲まれているいつもの部屋のようだ。
「こんにちは、女神様。何となくそろそろここに呼ばれる気がしていました」
「こんにちは、アキトさん。では呼ばれた理由わかりますか? 」
「俺が今の生活に幸せを感じてしまって安定を望んだからでしょうか? 」
「おおよその理由はそうですね。あなたが幸せになるのは構いませんが、魔物討伐速度が落ちるのは困るのですよ。これからもどんどん魔物を倒してもらい、そしてあなたにはもっともっと強くなってもらい、人の手では倒せない上位魔物そして魔族、その裏にいる神をも倒せるようになってもらいたい」
魔物を倒して人類圏の押し上げとしか言われていなかったが、魔族や邪神の類までこの世界にはいるってことか。
「女神様、注文が増えているような気がするのですが・・・魔族がどの程度の強さかはわかりませんが神とか無理を言うにもほどがありますよね」
「今のままでは魔族1人すら倒せないでしょうね。ですがあなたはたった1月でそこまで強くなった。私の期待以上の成果です。ノルマさえ増やせばきっとやってくれると期待しているのですよ! 」
女神様はチラチラ上目遣いで見てくる。あざとい、でも絶世の金髪碧眼美女の上目遣いは破壊力が凄い。アキトは少しだけやる気になった。
「わかりました。強くなる努力はこれからもしてみますが期待はしないでください」
「今はそれでも構いません。そういえばピヨちゃんが進化したようですね」
「そうでした!ピヨちゃんが大精霊を食べて進化したんですよ。ピヨちゃんってなんなんですか? 」
そうだ、ピヨちゃんは女神様の使徒と言っても謎が多すぎる。
「それはまだ秘密です。教えたらつまらないですよ。ただ、ピヨちゃんが全種類の大精霊の力を吸収することができれば古代龍クラスの力を得ることができますよ。狙ってみるのもありかもしれませんね」
秘密の理由が教えたらつまらないからって適当だなぁ。
「使徒食べちゃっていいんですか? 」
「いいですよ。大精霊なんていくらでも代わり作れますし」
大精霊扱い軽いな。アキトは女神様と意外と気が合うかもしれないと思った。
「ではピヨちゃんの目の前に大精霊作ってその場で食べさせてしまえば進化できるのでは? 」
「同一世界に同種の大精霊は1体しか配置できないのですよ。現在配置されている大精霊を探してください」
探すのめんどくさいなー。しばらく放置でいいか。
「めんどくさい・・ですか。いいでしょう。[知識の書]で調べれば大精霊の位置がわかるようにしておきましょう」
「場所がわかっても世界中に散らばっているのでは行くのも大変ですし時間もかかりますよ。女神様の言う魔物討伐速度も落ちますよ」
「むむむ、ではサービスで[知識の書]で特殊ジョブ空間使いの取得が出来るようにしておきますよ。才能がなければ取得できないでしょうがあなたなら大丈夫でしょう」
空間使いってあれか。小説にあるチート筆頭候補!どこにでもワープし放題、盗難防御や時間停止したアイテムボックス使い放題。
「そこまで便利なものではありませんよ。ワープはゲートをあらかじめ配置しておいた場所にしか行けません。アイテムボックスは時間停止していないので中身は腐りますし、生き物も入れますので進入許せば最悪中身盗まれますよ。ちなみに生き物がアイテムボックスに入ったら閉じられませんので。まぁ空間を直接いじることもできますのでセンス次第で既存の物よりも使いやすい魔法の開発もできるかもしれませんね。良く考えてみてくださいね」
思ったより不便だけど新魔法開発できるなら努力次第で問題点の改善もできるのかもしれない。
「ありがとうございます。時期を見て大精霊探しもすることにしますよ。そういえば[知識の書]を介したやり取りなら女神様は人間に何でも知識を与えられるんですか?何か制限でもあるのかと思っていたのですが」
女神様は[知識の書]を介して役に立つ知識をくれるけど、他のアイテムはくれないということは何か制限があるのだろう。
「何でもではありませんね。世界に影響がほとんど出ない範囲の知識しか与えられません。当然強力な武装なんて与えることは出来ませんよ」
「わかりました。色々とありがとうございました」
帰ったらまず空間使い覚えられるか試さないとなー。
「そういえば何故ピヨちゃんは話さないのかわかりませんがピヨちゃん、言葉話せますよ。それでは引き続き頑張ってくださいね。では」
何故かいつも女神様は去り際に爆弾発言をする。様式美を守っているのだろうか。
「え?話せるの?」
アキトの視界が暗転し、いつの間にか屋敷の部屋に戻っているのだった。
 




