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73.新しい拠点とアキトの1ヶ月

アキトたちは中央地区の高級住宅地にある購入した屋敷に到着した。現在時刻は12時だ。


「地の大精霊いるか? 」

「なんだよ。人間またきたのか? 」


屋敷のロビーに入ってすぐにアキトは大精霊を呼び出した。あまりの絶望に泣いていたのだろう、地の大精霊の目は真っ赤だった。


「その人間って呼び方やめろ、アキトと呼べ。あと地の大精霊は呼びにくい。名前はあるのか? 」

「くそ、契約が恨めしい。わかったよアキト。これでいいか?俺に名前はないぞ」

「じゃ名前をつけるか。地の精霊って行ったらノームだよね。ノム男で! 」

「それだけはやめてください。お願いします」


あまりに適当な名前にこのままじゃやばいと思った大精霊は懇願した。


「仕方ないな。うーん、何かいい名前思いつく? 」

「うーん。ノルンで! 」

「んー、スピリ君」

「むねおで」

「この中から選んでいいよ」

「一番マシなのはノルンかな・・・」


地の大精霊の名前はノルンに決定した。


「ノルン、厨房は綺麗になってるか? 」

「ああ。掃除は毎日隅々までやらせてるよ」

「今日からここに住むから。これからも毎日掃除しておけよ」

「マジか・・・。わかったよ」

「部屋見て周るからとりあえずついてこい」

「はい・・・」


ノルンの目が死んでいる。色々諦めがついたようだ。アキトたちは厨房から見に行くことにする。


「厨房は、ここか」

「おー!広いね。さすが元貴族様のお屋敷だ。竈じゃなくて魔道具コンロだ! 」

「ねー、色々魔道具置いてあってプロ仕様って言うのかな。ダスカーさんが喜びそう」

「つつー、ほこりちぇっく、きれいっぽい」

「普通に今すぐでも使えそうだね。魔道具のコンロやオーブン、レンジ、冷蔵庫まであるな、冷蔵庫の中身はない。精霊って食事いらないの? 」

「ああ。食事は必要ない。空気中とか地中にある魔力か適当な人間から魔力奪えば生きていける」

「なるほど」


アキトたちは順番に風呂、トイレ、食堂、客室、応接間、寝室などなど見ていく。


「風呂も魔道具で湯沸しできるし、トイレも魔道具で水洗、部屋にも備え付けの魔法のランプがあったり家中魔道具だらけだな。この家本当にお買い得だったね」

「男爵さんたちが家具とか魔道具良く持ち出さなかったよね! 」

「俺たちが追い出して占拠してたからな。何度も家財道具持ち出しに来たけど毎回たたき出してやったんだ。諦めたのか1年以上前から男爵一家は来なくなったな」

「これならこのまま俺たち住めるね」


アキトたちが家中を見回っている間にダスカーが帰ってきたようだ。厨房からいいにおいがする。


「ダスカーが帰ってきてるようだ。とりあえず食堂で食事を済ませてから部屋割りを済まそう。といっても部屋が余りすぎて困るくらいだけど」

「うんうん。どこがいいかなー?日当たりがいい角部屋希望! 」

「今までお姉ちゃんと一緒の部屋だったから、広い1人部屋だと落ち着かないかも」

「いりぐちから、ちかいへやが、らくでいい」


アキトたちは思い思いのことを言いながら食堂でダスカーを待っていた。ダスカーのおいしい食事をすませ、部屋割を確定していく。


「じゃ女性が2階、男性が1階で。俺は1階の東側角部屋にある客室+書斎を使わせてもらおう。ダスカーはその隣の部屋だ。レンが2階の東側角部屋でヨンがその隣、アカリは1人離れて2階ロビー階段傍の客室か、とりあえずこれで確定しておいて気に入らなかったら部屋を変えよう」

「あ、白熊亭どうするの?」

「あー、ダスカー部屋を引き払ってきてくれ。ダスカーの姉と娘さんが白熊亭にそのうち行くだろうからここの住所を受付に伝えてこちらに来て貰うのを忘れないように」

「はっ、行って参ります」

「そういうことなら私たちも荷物取りに一緒に行くよ! 」

「わたしも、きがえのふくとりにいく」


皆が出かけていったのでアキトはピヨちゃんと新しい自室に向かった。


「ピヨちゃん、今まで色々あったねー」


アキトはピヨちゃんに話しかけながら今までの出来事を振り返った。この世界に来てまだたった30日だ。いきなりこの世界に放り込まれたと思ったらゴブリンとの遭遇戦、村に到着してからのゴブリン大虐殺、レンやヨン、ピヨちゃんとの出会いから村の防衛戦やオーク集落壊滅戦、ヤクトの街にやってきてからはギルド登録してからひたすらダンジョン探索や盗賊襲撃、奴隷としてはアカリやダスカーを買った。いつの間にかCランクまで上がって家まで買うことになった。これからもダスカーの家族を迎え、賑やかになっていくだろう。


アキトはたった1ヶ月と思えないくらい良く動いたなと思う。そして地球では味わえなかった幸せをかみ締めていた。多少女神様に指図されはしても自由に自分が思うままに行動できるのは何て楽しいんだろう。



そんなことを考えながらアキトは眠りに落ちていった。

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