67.ラーメン屋台
アキトたちは西門広場に来ていた。現在時刻は20時半だ。
周りを見回すと露店はすでに何もなく、屋台もちらほらあるだけのようだ。
「今から白熊亭帰っても夕飯ないよね。また屋台で食べようか」
「串焼きって気分じゃないなー、疲れたから温かいスープ系がいい」
「何かあるかなー、スープ系」
アキトは人が少なくなった広場をゆっくりと見回すと、端の方に湯気がもくもくと立ち上っている屋台があった。
「あそこ湯気出てるしスープ系の屋台じゃないか?行ってみよう」
早速全員で向かうことにする。近づくと濃厚なトンコツの匂いがする。まさかこれは!
「ラ、ラーメンだああああああ」
「ひゃっ、いきなり耳元で大声出さないでよ!」
「ごめんごめん、食べたかったものが目の前にあったからつい興奮しちゃって」
『アキト、ラーメン早く注文しよう!』
「アカリ、興奮しすぎて日本語になってるぞ」
「そんなこと、どうでもいいでしょ、ラーメン、たべたい」
アキトたちは早速暖簾をくぐる。ツルッツルに剃りこんだ頭に鉢巻を巻いたオヤジが出迎える。
「へい、いらっしゃい」
「オヤジ、メニューは何があるんだ?」
「メニューは日替わりで今日はトンコツラーメンを出してやす。値段は1杯1000ポロン、替え玉は300ポロンです」
「じゃ5人分、いや6人分くれ。ペットに食べさせるのはダメとはいわないよな?」
「へい。おいしく食べてくれるならかまいませんや」
オヤジは麺をゆで始めた。ぐつぐつぐつぐつ、オヤジの目が光ったように見えた瞬間テボ(麺を茹でる道具)6つを一気に引き上げた!オヤジはその一瞬後に高速大回転した。あちっあちちち!湯切りのお湯がアキトたちを襲う。アキトたちは服の中に入ってしまったお湯で、アチアチと踊りまわるように動いている、大惨事だ。オヤジは何事もなかったように器にスープを入れ、麺を入れ、チャーシュー、煮卵、メンマ、紅生姜を並べている。
「へい、おまち」
アキトたちはやっと惨事から解放され、席に着いた。アキトが怒り狂うかと思われたがラーメンに目が釘付けなのか怒りはないようだ。レンゲを取り早速1口、口に含む。
「う、うまいいいい。なんてやさしい味のスープなんだ。豚の背油タップリのトンコツラーメンも好きだが、このすっきりしたトンコツラーメンは今の気分にぴったりだ。オヤジ、いい仕事しているな!」
「へい。ありがとうございやす」
「このメンマも大振りでうまい、チャーシューに至ってはトロけるようだ。麺もスープによくあう細麺で、素晴らしい!」
「へい。ありがとうございやす」
アキトはどこぞのラーメン評論家にでもなったつもりなのだろうか。周りはそんなアキトを無視し一心不乱で食べている。アカリはうまい、うまいとしか言わない、語彙が乏しいのだろう。全員替え玉を1、2回済ませ、全員が満足したようなので帰る事にする。
「オヤジ、うまかった。またくる」
「へい」
アキトは金を払い、風を切るようは暖簾をくぐり出て行った。
アキトたちは宿に到着した。風呂の予約を入れ、その待ち時間で明日の予定を話し合うためにアキトの部屋に全員で集まった。
「今日はお疲れさまでした。明日は午前休みにして昼過ぎに昼食とギルド、その後ダンジョンに潜ろう」
「明日1日くらい休みでもいい気がするけどわかったー!」
「午前中ずっと寝てすごせば疲れは完全に抜けるかな」
「ダスカー、午前中にまた3日分の準備しておいてくれ」
「畏まりました。旦那様」
その後各自の部屋に戻り、風呂をすませ寝ることにした。明けて翌日、アキトたちは朝食を食べまた昼ごろまで2度寝、13時頃に宿の厨房を借りたダスカーの昼食を食べギルドに向かう。アキトはいつもの受付さんの前に向かった。
「魔石の換金お願いします。3分割で」
「承りました。今回は多いですね、換金額は2854万ポロンになります。ポイントは3分割しておきます」
受付さんはお金を取りにいった。今回は3日分の収入をまとめてだ、ダンジョン内で寝起きした分多く魔物を倒せたことにより収入も大幅に増えている。家購入目標額の1億まで残り半分を切った。
「おめでとうございます。皆さんCランクに昇格されました。Bランク昇格条件としてはLv4ダンジョンのクリア、1億ポイントの獲得の2つの条件を満たして頂くことになります」
「Lv4ダンジョンのボスとは3階にいるのであってますか?また、どんなボスでしょう?」
「ボスは3階にいるようですよ。ミスリルゴーレムと聞いております」
「ミスリルゴーレム!?倒して持って帰れば大金持ちになれそうな名前ですね」
「・・・ええ。運が良ければなれるかもしれませんね」
受付さんが珍しく言いよどんだ。何かあるのだろうか。
「何か・・・あるんですか?」
「ボスの情報は名前しか開示できないと規約で決まっております」
「そういうことは何か・・・あるんですね」
「昇格試験用のゴーレムでもありますのでお答えできません」
「わかりました、ありがとうございました」
Lv2ダンジョンのマッドゴーレムは泥ではなくマッドサイエンティストのマッドだった。今回も何かあるのかもしれない。
アキトたちは不安になりながらもLv4ダンジョンに向かって行くのだった。




