4.村に到着
アキトは頭の中に響いた内容を[知識の書]を急いで調べることにした。
ジョブとは職業のこと。ジョブは才能があれば戦闘、生産、特殊条件等により入手可能。入手までにかかる時間は才能による。戦闘系ジョブは武器使用で敵を倒すことで、生産系ジョブは生産作業で、特殊条件ジョブは一定の条件達成で入手可能。Lvが上がるごとに対応したステータスが上昇、スキル入手+スキルLv上昇、5Lvごとに上位職に転職。
熟練とは使用した装備の熟練度のこと。Lvが上がるごとに対応したステータスを+10%ずつ強化する。特殊ボーナススキルが入手可能。
ステータスとは攻撃力ATK、防御力DEF、体力VIT、敏捷DEX、魔法力INT、魔力MEN、超力SPP、速度SPD、命中HITがある。
ステータス、ジョブ、熟練はステータス魔法を使うことで確認可能らしい。
とりあえず入手したスキルを使ってみる。
「豪拳!」
ブオオォーっと風が出るほどの勢いで拳を突き出すことができた。岩を持って殴るのとどっちが強いんだろう。素手で殴ると痛そうだし武器を入手した方が良さそうな気もする。武器にしろ食料にしろ手に入れるには金が必要だ、生きるために金策を考えなくては。
[知識の書]を使って売れそうな薬草を探し、必死に集める。着ていたジャケットを袋代わりに使い、詰め込めるだけ詰め、村を目指して歩き始めた。
2キロほど森の中を通ることになるが、視界が悪くモンスターに襲われないか気が気ではない。出来るだけ音を立てないように足場の悪い森を歩く。2時間ほどたっただろうか、何とか無事に森を抜けられたことにホッとした。
太陽の位置的にあと3時間ほどで夕暮れだろうか。急いで村まで向かわなくては。そこから1時間ほど歩き、村についた。ここからが問題だ。無事に会話できるだろうか。不審者として捕まらないかドキドキしながら警備している村人に話しかける。
「こんにちは~、旅の者ですが、薬草をこの村で売却したいのですがどちらへいけばよろしいでしょうか?あと食事、宿泊できる場所、値段を参考までに教えて頂けると助かります」
警備の村人が怪訝な顔で話しかけてきた。
「若い娘さんが1人旅かい?危険なことしてるもんだ。もうちょっと考えないと盗賊やモンスターに襲われちまうよ」
どうやら女性だと思われたらしい。そんなに女顔だろうか。ショックだった。
「いえ、こう見えて男ですよ。強そうには見えないですよね。あはは」
苦笑いするしかなかった。
「ありゃ、すまんこって。薬草はここから道沿いに3軒先にある道具屋で。宿は小さい村なもんで1軒しかないが5軒先だ。食事もそこで食べるとええ。料金は2食付いて2000ポロンだ」
「どうもご丁寧にありがとうございます、早速行ってみます」
早速道具屋に向かって薬草の売却をした。全部で5000ポロンになった。宿泊は2泊なら可能だ。早速宿屋に向かおう。
「こんにちは~。宿空いてますか?男性1名です」
恰幅のいい中年のおばちゃんが出てきた。
「いらっしゃい。1泊2000ポロンだよ。食事は朝晩付。夕飯食べるならもうしばらくかかるけど、出来たら部屋まで行こうかい?」
「あ、お願いします。軽く寝るのでノックで起こしてください」
お金を払い早速部屋に行き、鍵をかけて仮眠することにした。いきなりの転移から頭を使いすぎた気がする。少し疲れを癒してから後のことを考えることにしよう。
「お休み」
周りに誰も知り合いのいない寂しさを押し殺すようにしながらアキトは仮眠をすることにした。