12.必要な嘘
クタクタになりながらやっと村に到着した。門番のおっちゃんが走って寄ってくる。一体なんだろうか。
「顔色が悪いけど大丈夫かい?宿まで肩貸そうか?森に行ってたみたいだけど今は危険だから1人で行くのはやめたほうがいい」
どうやら心配してくれたようだ。よく考えたら人に心配されたのは記憶にある限りはじめてではないだろうか。両親もアキトを監禁していた組織の人間も誰も心配してくれた記憶がなかった。
「おっちゃんいい人ですね。宿まで直ぐですからちゃんと歩いていけますよ。お気持ちだけありがたくいただきます。それでですね、森にさっきまで行っていたのですが薬草密集地に大量のゴブリンが発生していました。300位ですかね?倒してきましたよ」
ゴブリンの集落から追われてきたから大量にゴブリンが密集地まで来たわけだが、少しの嘘で村人が危機意識を持ってくれるなら必要な嘘だろう。そんなことを思いながらおっちゃんの顔を見ると怪訝な顔をしていた。信じてくれていないようだ。
「私こう見えてもそこそこ強いんですよ。密集地にある巨岩の上から一方的にゴブリンを攻撃して倒したんです。死体は魔石ごと残してありますので確認してくれればわかります」
今度は信用してくれたようだ。おっちゃんは青い顔になった。
「村長さんに急いでこのことを伝えてくれ!緊急事態だ!ゴブリンの群れがやってくるのかもしれねえ。村人にも急いで伝えないと!」
アキトはパニックになりそうなおっちゃんに極めて冷静な声で落ち着くように話しかけた。
「落ち着いてください。村人がパニックになってしまう可能性もありますから、まずは村長さんに伝えて戦闘可能な方数名で密集地の事実確認及び偵察をしてもらいましょう。大量のゴブリンを倒しましたし直ぐには来ないでしょうし」
アキトはおっちゃんが落ち着くのを確認して村長さん宅へ向かった。
「こんにちは、初めまして。アキトといいます。危急の用件がありまして参りました」
村長さんは見慣れないアキトの話でもちゃんと聞いてくれる人のようだ。
「初めまして、一体どんなご用件でしょう?」
アキトは話を切り出した。
「森の中の薬草密集地わかりますか?そこにゴブリンが300ほど攻めてきたんですよ。あ、心配しないでください。ちゃんと全て倒してあります。証拠といってはなんですがこちらに80個ほど魔石も持ってきました。といってもこの魔石は別の個体のもので密集地にあるゴブリンは魔石はとっていません。ですが心配なのはゴブリンの侵攻がまだ終わっていないのではないかということと、先日森にオークが出たことなんです。もしかしたらオークの侵攻におされてゴブリンがこちらに侵攻しているのではないかと私は危惧しているわけです」
村長は真剣に考えている。
「確かにその可能性はありますね。先日もオークが出たという話は聞いており、私も心配していました。しかし、村を捨てて逃げるという決断は非常に難しいものがありまして、まずは森の駆除、防衛を考えなければいけません。まずは戦える者を集めて危険ですが森の調査をはじめようと思います」
確かに村を捨てるのは難しい決断だろう。後は村人の決断を待つことと敵の数を減らすことしかアキトにはできないだろう。
帰りがけに道具屋に魔石を売却し、その金で杖と槍を購入した。
今日はもう疲れた。宿で寝よう。
《名前》 アキト・ホウジョウ
《称号》天才の異世界人(成長速度100倍)
《ステータス》
ATK 12 +6 +60% = 28
DEF 10
VIT 10
DEX 12
INT 13 +8 +70% = 35
MEN 12 +8 +70% = 34
SPP 10 +1 +10% = 12
SPD 12 +7 +60% = 30
HIT 11
《加護》女神の加護(仲間の成長速度10倍)
《ジョブ》《拳士》Lv1《忍者》Lv2《強剣士》Lv1《白魔術》Lv3
《黒魔術》Lv3
《熟練度》《格闘》Lv1《短剣》Lv6《剣》Lv6《杖》Lv7
《スキル》《豪拳》Lv1《投げナイフ》Lv5《隠蔽》Lv2《速斬》Lv5
《強斬》Lv1《中級回復魔法》Lv3《中級攻撃魔法》Lv3
 




