第二話 スーパーと通り魔
ミカの
「出会い系」
という言葉に、
私は言葉に
詰まった。
私はそのサイトに
接続しようと
考えたこともない。
同時に私は
恥ずかしさも湧いた。
私は
「遅れている子」
なのだから。
「やった事なんて
あるはずないじゃん。」
唯だ。
痛いところを
突いてくる。
「ホント
遅れてるもんね」
涼しい目線で
私を見ながら言った。
唯の言葉が
胸に刺さる。
さすがに
うつむいてしまった。
少し慌てたように、
「でもあれは
やんないほうがいいよ。
変な人と
知り合ったら
ヤバイしさ。
すごく楽しいって
ほどでもないしね。」
唯はそんな言葉も
付け加えた。
気を使ってくれたみたい。
ちょっと
おかしくなった。
「じゃぁ、
もしやるなら
三人一緒ね。」
微笑みながら
ミカが言った。
いつもこんな調子だ。
私は私一人だと
何にも出来ない。
情けない。
いつからだろう。
彼女達が
私の前を
歩くように
なったのは。
盾のように
私を守って
くれている。
彼女達は
私の事を、
わずらわしいとか
ウザイとか、
感じているようでもない。
私は二人に甘えていた。
私の携帯の
アラームが鳴った。
時刻は16時。
「ごめん。
私そろそろ
帰んなきゃ。」
「あ、
もうそんな時間?
じゃ、
あたし達も帰ろっか?
どうする唯?」
「うん。
今日は帰ろ。
ねね、
今日も買い物
行くんでしょ?」
私の事だ。
私は母を
幼い頃に
亡くしてしまった。
小学5年生
あたりから、
家事は私が
行っている。
それまでは
父がずっと、
それらを
こなしていた。
私がそれらを
行うのは
当たり前の事だ。
私は家事が好きだ。
とくに、
私の作った料理を
父が美味しそうに、
ときには全力で
もの凄い勢いで
食べる姿に
嬉しくなる。
「今日の献立はな〜に?」
目をキラキラさせながら
二人そろって聞いてきた。
二人とも
料理は出来ないそうだ。
「お湯をそそぐ系」
なら、なんとか出来ると
二人して言ってたっけ。
それは料理ではなく
調理と言うのだが。
「まだ決めてないから、
スーパーで
買い物しながら
決めようと思って。」
「あたしも行く!」
「私も行く!」
なぜ二人してはしゃぐ・・・
「うん。じゃ三人で行こ。」
なぜか私も嬉しくなった。
目的のスーパーは
いつも混雑している。
入り口は大量の
買い物客の
自転車で溢れてる。
なんとか食料を買い、
ミカと唯が先に店を出た。
二人とも、私が買い込んだ
スーパーの袋を
一つ一つ
持ってくれている。
今日は特売品が
多かった。
思わず大量に
買ってしまい
三袋にもなってしまった。
家まで
持って行くのを
手伝うから料理を
教えてほしい。
二人の友人の
優しい手助けに
私は心から了解した。
私がスーパーを出て、
二人が待っている
横断歩道へ
向かおうとした時、
女性の悲鳴が聞こえた。
スーパーの入り口付近。
男性が
路駐してある
自転車の群れに倒れたのだ。
自転車がドミノ倒しで
倒れて行く。
女性はまだ悲鳴を
上げている。
よく見ると、
倒れた男性の側に
もう一人、
男性が立っている。
立っている男性の
その右手には、
少し血の付いた
包丁が握られていた。
私から、
数メートルしか
離れていない。
ミカと唯は
数十メートル先にいる。
二人とも
異変に
気が付いたようで
私に歩み寄ってきた。
包丁を握っている男と
私は目が合った。
にやりと男が笑った。
全身から力が抜けた。
手にした荷物が落ちていった。
次は私に決めたようだ。
悲鳴を上げている女性は
店内へと逃げ込んだ。
私は動けない。
男が近づいてきた。
私は動けない。
店内では
男性従業員が
外の様子を伺い、
携帯で
どこかに
電話し始めた。
・・警察だろう。
この状況で
余裕で電話。
助けてよ。
ミカと唯がわめいてる。
「早く逃げてー!」
私は動けない。
男は私に包丁を
振り下ろした。
とっさに腕で顔を守った。
その腕に突き刺さる痛み。
熱い鉄を
押し付けられたよう。
一度、二度。
やっとスーパーから
従業員が出てきた。
何かを
投げつけてる様だった。
唯が「こっち!」
ミカが「早く!」
私は包丁を持っている
男に背を向けた。
背中に熱い衝撃が襲った。
つたない文章です。
感想ください〜。