第一話 携帯と友達と出産と
2008年4月8日。
私は母親となった。
その2日後、
私は16歳になった。
2007年4月、
私は都立高校へ
進学した。
私はこれといった
取り得がない。
学力は
どちらかといえば
良いとはいえない。
容姿に恵まれた訳でもない。
でも笑顔には
自信がある。
身長は
160センチと
ちょっと。
体重は標準。
高校進学の
お祝いに、
携帯電話を
買ってもらった。
嬉しくて
しょうがなかった。
きっかけは
、数少ない
友達の一言。
「出会い系、
やった事ある?」
たまに立ち寄る
ファーストフードで、
仲間三人と他愛のない話をしていたときだった。
私は同世代から少し『遅れている』子だった。
三人のうち私以外は、皆、初体験は済ませていた。
一人は小学生で経験していた。
その子は三人の中で、一番きれいな子だ。
三人で街を歩けば、いつも彼女に視線が集まる。
彼女だけはいつも男性に声を掛けられた。
彼女の夢は医者だった。
その夢が成就するまで「男」は作らない。
それが彼女のポリシーだった。
名前はミカ。
もう一人は可愛い子で、
その容姿はアイドルそのものだった。
事実、彼女は高校を卒業間際にデビューが決まっていた。
事務所側としてはすぐにでも・・という話だったのだが、
卒業間際のデビューは彼女の母親の意向だった。
「高校生活は二度と手に入らない。
友達との触れ合いと学業を優先してほしい。」
たったそれだけで彼女は納得した。
事務所も彼女と彼女の母親の希望を最優先させる形を取った。
彼女は週に数回、ボイストレーニングを受けている。
名前は唯。
私は、中途半端な顔だ。
でも笑顔には自身がある。
それだけが私の自慢であり自信だった。
「出会い系」。。
未知の世界に、
興奮している私が居た。