ちゅるちゅる
俺が昼に満席の学食でラーメンを食っていた時。
「うまそうだな」
「ん?」
俺が顔を上げると、友人の駿河が、じーっと俺を見ていた。
おいしそうとは、俺が今食っているラーメンのことか? と思い、麺を箸で持ち上げて、くいと駿河の前に突き出した。
「食う?」
「いいのか?」
駿河が、やけに真剣に訊ねてくるので、笑いながら「いいよ」と言ったら、俺の前にあるどんぶりをグイと脇にどけた。
「あれ?」
俺がきょとんとしたその瞬間、襟首をつかまれて、そのままキスされていた。
駿河の舌が俺の口の中に分け入り、食べかけていた麺をそのままちゅるりと飲み込んだ。
なされるがままに、口中支配されて、溢れてくる唾液まで飲み尽くされた。
ようやく、解放されて、俺は深く息をついた。呼吸のタイミングすらつかめなかった。
「ごちそうさま」
駿河はそう言い残して、席を立った。
唖然としているのは俺だけじゃない。隣に座っていた奴ら全員が、俺に視線が釘づけだった。
あとに残された俺はこれから駿河にどんな顔をすればいいんだろう。