序
R15は保険です。大した事はないと思いたい。
序
夢を見た。
白いものが降っていた。
最初は雪だと思っていた。
けれどそれが雪ではない事は、周囲の異常な暑さと木々の焼ける臭いで気付いた。
それは、灰だった。
夢なのにリアルだなぁと、半分覚醒しつつある私はその夢をみていた。
焼け落ちる枝と舞い上がる炎の中、私は誰かを探している。
やがて私は足をとめた。
私の前に背を向けて立っているのは弟だった。
やがて弟はゆっくりと振り向いて
「どうするの?」
と聞いた。とても冷たい声だった。
ちょっと何を怒ってんのよと、夢をみている私は軽くムカついている。
けれど 夢の中の私は何も言えずにただ弟をみているだけ。
「こうなる事はわかってたはずだよ?」
炎はどんどん大きくなり、まるで地鳴りのような音をたて木々を飲み込んでゆく。
「ごめん・・・なさ・い」
やっと私の口から出たのはとぎれとぎれで、しかも
私、泣いてる。
そして弟は忌々しそうに顔をそむけて走っていっちゃった。
ここで目が覚めた。
枕元にあるスマホで時間を確かめると朝の6時15分。
今日は日曜日だし、特別予定もないし、朝寝を決込むつもりだったのに、変な夢のおかげで目が覚めちゃった。
トイレに行ってもう一度寝よう。二度寝最高。
私はベットから起き上がり、階下のトイレへと向かうために部屋から出ると
弟が階段を上がったところだった。
「おはよう。日曜日なのに早起きだねぇ、もう一度寝たら?」
早起きした弟を二度寝にさそう姉ってどうだろう?
弟の横をすり抜けるように階段をおりる。
「姉ちゃん」
後ろから弟が声をかけてきた。私はまるでステップを踏むように階段を下りてゆき、着地と同時に階段上を振り仰ぎ弟を見上げて返事を返す。
「なあに?」
二階廊下の窓から朝日が差し込み始め、逆光となって弟の影を浮かび上がらせる。
「夢を見たんだ。」
ードクンー
私の心臓が大きく跳ねた。
「山が燃えていた。」
今度こそ目が覚めた。
予知夢だ。