呪い
どろりと溶けるように流れゆく血液が、私の身体を撫でるように循環しているのです。
泥水の様な血液には、ざらざらとした砂利の様な不純物が混ざり込んでいて、循環するたび血管に擦れてくすぐったい。試しに腕を切ってみると、生き物のように流れ出てきて、粘着性を帯びた見た目がとても気持ち悪く、その傷口ごと、切り落としてやりたくなります。また、色は赤ではなく、漆黒の闇でした。深い深い闇が私の身体には流れているのです。私は闇によって動かされている、哀しき傀儡なのです。呪いの人形と言ってもいい。呪いの人形であれば、私は心臓に釘を打たれ続け、誰かの憎しみの代行者とならなければいけません。
心臓に大きな釘を打ちつけて、私を殺してください。そして誰かを殺せば良い。私はそれを否定しません。だって私も既に、闇に塗れて半ば人を殺しているようなものだから。闇を振り撒くことは犯罪だ。人間不信は殺人と同義だ。私は人を殺したのだ。殺人鬼だ。だから呪われる。釘をずっと心臓に突き立てられていて、いつでも呪いの人形となれるように、常に脅されている。
そんなことを考えている人間が、表向きは普通の人間でいる。怖いでしょう?みんな騙して、生きていることがどれほど罪深いか。
ピエロを演じて、みんな不幸にならないように。
だけど不幸にしたければどうぞ。
私は無責任な傀儡です。人間が生み出した屑と何ら変わりはありません。
私の身体を流れる血液からは、腐臭に似たにおいがします。吐き気を催すようなそれが身体中を流れ、いつかは溢れ出して、身体ごと取り込んでしまう想像をしてしまいます。
そうなれば、本当の呪いの人形です。
黒い人型の物体。
呪いを全身に帯びていて、釘を打てば今にも分散し溢れ出す。
崩壊に導くための呪物。
私の心臓はまだ動いています。
漆黒の闇を循環させています。
時折全て滅茶苦茶にしてやりたくなります。
生きているから。
静かな場所で死にたい。
誰にも迷惑をかけない場所で。
呪いの人形になることなく、死にたい。
それが今の願いです。
…なんて、
烏滸がましいですよね。
自分のような奴が。




