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第10話 底の集い_01

「本当に合ってるのかな……」


 入学式を終えた後。

 新入生たちは予め通知されていた所属クラスの教室へ各々向かい、担任教師も交えた簡単な挨拶をする予定になっていた。

 シアも同様に、組み分けに従って立派な校舎内を歩んでいたのだが……思わず独りごちる。その原因は配られていた通知書の内容にある。


(Fクラスなんて……なかったよね。確か)


 シアが振り分けられたのは、『Fクラス』。

 だが、疑問を抱いているのはまさしくそこだ。


 先ほど入学式で聞かされた歓迎ムードの挨拶に反し、リースタニア学院の校風は意外にもシビアだ。

 基本的に所属するクラスは、入学試験として行われた『座学』、『魔法学』、『総合武芸』のテスト結果によって決められる。三教科含めた成績が270点以上で『Aクラス』、230点以上で『Bクラス』といったように、順位付けに等しい形で組み分けられる仕組みだ。

 そして、事前に知らされていたのは『A』、『B』、『C』、『D』、『E』の五段階評価。最底辺の『Eクラス』は総合成績が120点以上150点未満とかなりハードルが低く設定されている。


 逆に言えば120点未満は入学することもできない……と、思っていたのだが。

 シアの通知書には見覚えのない『Fクラス配属』の表記があった。

 指示されている教室もどうやら他のクラスとは校舎すら異なるようで、いつの間にか人の波を外れて一人で歩いている。


 当然、なにかと心配になってくる。本当に場所は合ってるのか、とか。そもそもFクラスなんてものは存在せずただの表記ミスなんじゃないか、とか。

 けれど今のシアにはそれを確かめる術もない。あれこれ逡巡している内に時間も差し迫っており、今更引き返すのも気が引ける。

 首を捻りつつも、今は指示された教室まで向かう他なかった。


「ここか……」


 やがて辿り着いたのは、旧校舎2階突き当りの教室。

 旧校舎と言っても他に比べて昔に建てられたというだけで、基本的に校舎内は綺麗だ。だがその教室へと繋がる扉だけは塗装すらされていない木造剥き出しで、隠し切れない古めかしさを感じさせる。


 ……いや、本当にここで合ってるのだろうか。

 物置きというなら信じられるが、見るからに今まで通り過ぎた教室の扉とは作りが違う。


 怪訝な顔を浮かべつつも、とにかく今は中を確かめてみる他ない。

 シアは引き戸の扉に指を掛けゆっくりと横に開いた。


「……」


「あ……」


 真っ先に視界に飛び込んできたのは──確かに間違いなく、教室の風景だった。

 作りこそ少し古いものの、教壇から奥に向けて階段状になっている室内には一段毎に長机と椅子が設置されており、教室としての機能はしっかり備わっていることが窺える。


 中にはすでに二名の生徒が距離を離して待機していた。

 一人は男子生徒。窓の外を眺めているようで顔が窺えない。

 もう一人は、ハーフアップにしている赤毛が特徴的な凛とした顔つきの女子生徒。こちらは教室に入ってきたシアの顔を見ると僅かに驚き……少しして、なぜか不機嫌そうに表情を歪めた。


「たった三人……なんで私がこんなクラスに……、」


 彼女は忌々しく呟き、頭を抱えて俯いてしまう。一体どうしたというのだろう。


 それにしても。

 シアは改めて首を捻る。


(なんか少なくない……?)


 現在教室にいる生徒はシア含めて三人。まだ集まっていないだけとも考えられるが、ここに来るまでそれなりに時間をかけてきたので流石に全員集まっていなければならない頃合いである。

 謎のFクラスといい、やたら少ないクラスメイトといい、さっきから不思議なことばかりだ。

 唯一確かなのは、シア以外にも生徒がいることから、少なくともここに来たこと自体は間違いなさそうということ。


 後ろ手に扉を閉めつつ、シアは教室の中へと踏み込む。

 二人の生徒は綺麗に教室の右端と左端に分かれていたので、間を取って丁度真ん中辺りに座ろうと足を進める。


 進めて……ふと窓際の少年の顔を改めて確認した時、シアは思わず声を上げてしまった。


「あ! さっきの!」


 流石に無視することはできなかった。そこに座っていた少年の顔には見覚えがあったのだ。

 青っぽい黒髪ときりっとした釣り目。記憶が新しいので間違いはない。

 数時間前──奴隷を連れ回していた貴族のおじさんを蹴っ飛ばした、あの少年であった。


 シアの声を聞いて少年も視線を動かす。こちらの顔を見て、僅かだが目を丸くした。


「……、同じ新入生だったのか」


 意外そうに呟く少年。しかしそれはお互い様である。

 思わぬ再会にシアは小さく笑う。彼には恩があったので、この偶然には感謝したい。


「さっきぶりだね」


「そうだな……」


 にこやかに話しかけるも、しかし少年は含みのあるトーンで頷く。向こうにいる女生徒といい、さっきから妙に重たい雰囲気である。

 シアが不思議そうにしていると、彼は正面の黒板を見つめたまま言葉を続けた。


「Fクラス……あんたも?」


「? うん、そうみたいだけど」


「……時間、気づいているか。流石にこれで最後だろうが、いくらなんでも人数が少なすぎる」


 その違和感を察していたのはシアだけじゃなかったらしい。

 頷くシアを横目に、彼は僅かに目を細めた。


「普通はひとクラス20人前後らしい。明らかにここだけ隔離されてる」


「……テストの成績、Eクラス以下だけ集められたとか?」


「それはあり得ません」


 それっぽい予想を口にした途端、教室の反対側に座る少女から横槍が飛んできた。

 彼女はシアたちに視線を向けることなく、相変わらず不機嫌そうな表情のまま断言する。


「私は三科目全て高得点を取りました。Eクラスに満たない120点以下なんてあり得ません」


「成績は返ってきてないのに言い切れるのか?」


 少年が疑問を返すも、彼女は一切態度を崩さず素早く切り返す。


「言い切れます。あなた方と違って私は優秀ですから。なのに……っ、ああもう。どうしてFクラスに……」


 棘のある返答の後、赤毛の少女は再びイラつきが隠せない様子でぼやいた。

 先ほどからの彼女を見るに、なんだから二人より現状を把握していそうな雰囲気である。

 かなり機嫌が悪化しているようなので話しかけるのは躊躇われるが、自分たちのこれからに関わる内容ということもありシアはどうしても興味が抑えられない。思わず聞いていた。


「あの、このクラスについてなにか──、」


 が、疑問を口に出しかけた瞬間。

 教室の扉が再び開き、その言葉は中断されることになる。


「全員揃っているな」


 教室中に吹き抜けるような通りのいい男性の声。

 シアは口を閉じ、入口へと視線を移す。


 そこでこちらを見上げていたのは──おそらくこの学院の男性教師であった。

 男子の制服をそのまま豪勢にしたようなキッチリとした衣服を身に纏い、スラッとした佇まいで端然としたオーラを漂わせる男。年齢はおそらく20代後半程度で、教員にしては若く見える。

 切り揃えられた金髪の下から碧眼を覗かせ、彼は三人の生徒を順に見つめると──やがて視線をシアに留めた。


「君。早く着席したまえ。これだけあるんだ、座る場所には困らないだろう?」


「え? あっ、はいっ」


 叱るというより明るく指摘する調子ではあったが、確かにシアだけ立ったままだったので急いで近くの椅子に腰を下ろす。

 彼は満足そうに口角を上げると、そのまま教壇の上へと足を踏み入れた。

 生徒名簿らしいファイルを雑に置き、正面の机に勢いよく両手を載せ、真っ直ぐと正面を見据えた。


「諸君、ごきげんよう。まずは初めましてという挨拶を送らせてもらおう」


 なんだか変わった言い回しで挨拶が始まる。


「私はこのリースタニア学院で教師を務めるクライブ・ノアだ。主な専門は魔法学だが、君たち相手にはあまり関係ない。今後このクラスの授業は全て私が担当する。よろしく頼む」


 言葉の節々から迷いのない真っ直ぐさを感じさせる男──クライブだが、妙なことを口走ったのをシアは聞き逃さなかった。

 ()()()()()()()

 ……おかしな話だ。普通、授業内容に合わせて専門の教員が講義を行うのはいくらシアでも知っている。なのに一人が全てを担当だって?

 しかし彼は質問を受け付ける暇さえ与えず早々に続ける。


「さて。早速だが、今君たちはこう思っているはずだ。なぜ教室に生徒が三人しかいないのか。この胡散臭い教師は何を言っているのか。そもそもFクラスとは何なのか」


 三人の顔を順に見ながらクライブは言う。その視線には有無を言わさぬ妙なプレッシャーが込められていた。


「先に結論から言わせてもらおう」


 一拍置き、彼は言い放つ。


「ここは学院の中でも最底辺だけが集められる掃き溜め。即ち君らは──、()()()()()だ」


 ただでさえ静かな教室の中に更なる静寂が走り抜ける。

 躊躇なく断言された言葉に……少年の眉はピクリと震え、赤毛の少女はより表情が険しく歪み、シアは唖然とする。

 ド直球な罵詈雑言。ここまで悪びれもなく言われると、逆に清々しささえ感じてしまう。


 しかしながら、到底教師から生徒へ向けられる言葉ではない。

 なぜ急にそんな事を──という当然の疑問に答えるべく、クライブは順を追った説明を始めた。


「言いたいことは分かる。なぜ君たちが底辺呼ばわりされねばならないのか……それを説明するために、まずはこのFクラスについて理解してもらう必要がある」


 クライヴはチラリと赤毛の少女を見る。


「一人はすでに知っているようだがな」


「……」


 むすっとした表情のまま何も言わない少女。

 彼女の態度からは、不満はあれど一応話だけは聞こうという様子が窺える。


「君たちも知っての通り、この学院の()()()()()は『A』から『E』までの五つのクラスがある。主に入学テストの結果で振り分けられ、取得単位数に応じ1年の境目でクラスが再編される仕組みになっている」


 つまるところ、優秀な生徒ほど『A』や『B』のクラスに分けられ、例え入学時の成績がよくとも単位取得を怠った生徒は容赦なく下位クラスへ下げられる。弱肉強食がかなり激しいクラス分けになっている。

 それは既知の情報である。入学前の事前説明でシアもすでに聞いていた。

 しかしクライブの言葉に奇妙な単語があった。


「通常クラス……?」


 シアがぽつりと呟いた一言に彼は頷いた。


「事前説明の資料にはなかったろうが、この学院では例年、ある基準を元に『管理指導クラス』というのを設けるかどうかが決められる。特別な教員が生徒の指導を完全に管理し教育するクラス……即ち『管理指導クラス』だ」


 もちろん聞き覚えのない制度だった。

 言ってることは一見普通の教育指導に思えるが、完全に管理する、という響きはかなり物々しい。


「ここ3年ほどその枠が用意されることはなかったが、今年は大変残念なことにクラス開設の基準を満たす生徒が三人も現れてしまった。もう薄々気づいてはいるだろうが、ここ『Fクラス』がまさしくそれに当たる」


「……、基準ってのは何なんだ?」


 窓際の席に座る少年が腕を組みながら質問を投げる。

 シアも今まさに聞こうと思ったことだった。つまりここにいる三人が原因で存在しない『Fクラス』が生まれたということになるが、その原因は今のところ思い当たらない。


「──『通常のカリキュラムでは進学するための単位取得すら不可能と判断された問題児が入学試験に合格してしまうこと』」


 対し、クライブはバッサリと結論を突き付けてきた。


「言うまでもないが、入学試験の『座学』、『魔法学』、『総合武芸』の三科目において合計点が120点を超えない者はそもそも入学することが許されない。学院の定員も無限ではないのだ。落ちこぼれというのは本来、その段階で振るい落とされる」


 言いつつ、彼は人差し指を顔の横で立てた。


「更にもう一点。三科目の中で最も重視される『魔法学』には赤点が存在する。実技試験の内容こそ簡単にはなっているが、40点以上を取れないと『座学』と『総合武芸』で良好な成績を出しても失格となるのだ。……()()()()


 彼の言う実技試験はもちろんシアも受けていた。が、シアは魔法が使えないのでおそらく『魔法学』に関しては0点……と、そこまで考えて首を捻る。

 ではなぜシアは入学を許されているのか。その答えを、クライブはすぐに提示した。


「稀なケースだが、『魔法学』以外の成績を極めて高く評価され『ただで落とすには惜しい』と判断された者は特例として試験に受かる場合がある。それが君たちだ。多少は自覚があるのではないかな?」


 クライブは改めてシアたちの顔を見る。それはまるで値踏みでもするような視線だ。

 しかし──、バンッ! と机を強く叩く音がクライブの問いに対し返される。

 例の不機嫌な赤毛の女子生徒であった。彼女はほとんど睨みつけるような目でクライブを射抜いていた。


「納得いきません! 私は『魔法学』のテストで高い成績を収めてます! 『Fクラス』の基準は満たしていないはずです!」


「ほう。エリアナ・ティフィラム、なぜそう言い切れるのかな?」


「魔法の模擬戦で試験官を打ち負かしました! 新入生の中でも僅か数名しかいないと聞き及んでいます!」


 エリアナ。そう呼ばれた彼女は抗議の意を込めて強く言い放つ。

 さらっと凄いことを言っていたのは気のせいではないだろう。試験官はおそらく学院の教職員だったはず。模擬戦とはいえそれに勝利したのはかなりの偉業だとシアでも分かる。

 彼女の言う事が本当であれば、確かに『魔法学』が見るに堪えない点であろうシアと並ぶのはおかしな話だが……クライブは小さく首を振った。


「確かに君は『Aクラス』に振り分けれてもおかしくない成績を収めている」


「だったら!」


「ただしエリアナ。君に関しては特例中の特例だ。『管理指導クラス』に入れてほしいと嘆願があったよ。でなければ入学は認められないと……出所の察しはついてるのではないか?」


「嘆願? ……っ、まさか……! 父上ですか!?」


 見るからに焦った様子のエリアナの言葉に、しかしクライブは何も答えない。それを肯定と受け取り、彼女は苦虫を噛み潰すような顔で俯いてしまう。

 気になる内容ではあったが、なんだかプライベートな話のようだ。余計な口は挟まずに静観しておくことにする。

 そんなシアに対し──クライブの視線が移動した。


「シア」


「へ? あ、はい!」


 急な呼びかけに体が飛び跳ねてしまう。


「君は『魔法学』が0点だ。『座学』も褒められる成績ではない。だが、『総合武芸』が満点……しかも歴代最高記録を達成している。審査ではそこが評価された」


 褒められてるのか貶されてるのか微妙な言い方に複雑な気持ちになってしまう。

 というか、必死に勉強したのに座学もアレな結果だったのはなかなか心に来るものがあった。もしかしてわたし馬鹿? とそこはかとない疑問が浮かんでくる。


「レンカ・シンゲツ」


 続いてクライブは窓際の少年を呼びかける。

 紡がれた名は、確かに極東地方出身の独特な響きをしていた。


「君も同じく『魔法学』が0点。しかし彼女同様、『総合武芸』で満点を獲得し『座学』も悪くない。加えて、身体検査で膨大な量の潜在魔力が確認された。後天的な覚醒を期待された結果と言えよう」


「……」


 レンカと呼ばれた彼はじっと黙ってその評価を聞き入れている。

 エリアナと違って、Fクラスへの配属に対し特に不満を持っている様子は見受けられない。結構寡黙なようなので単純に黙っているだけなのかもしれないが。


「──と言うように、君たちは各々の理由で特別に入学が許された生徒だ」


 三人へ『基準』を満たす理由を語ったクライブは、改めて教室の正面を見据える。


「しかし魔法が使えないというのは……それ即ち、『魔法学』の実技に関するあらゆる授業において一切の単位を取得できないことを意味する。つまり、通常のカリキュラムではどう足掻いても進学するための必要単位数を満たすことが()()()というわけだ」


 たった一科目でそんな大げさなと思うかもしれないが、彼の説明は否定できない。

 学院における魔法実技の重要度は極めて大きい。なぜならこの学院の主旨は優秀な『メイジ』を育成することにあり、授業のコマ数や力の入れ方も自然とそちらに偏る。確かに言われてみれば、実技の単位を一切取得できないというのはかなり厳しい環境に思える。

 入学前はそこまで深く考えていなかった。


「故に君たちは最底辺。普通のクラス教室に居場所がない落ちこぼれなのだよ」


「……私をそこの二人と一緒にしないでください」


 再び殴りつけるような言葉をキッパリと言い切るクライブ。エリアナが拗ねた様子でぼそっと呟いたのが聞こえたが、教員目線では結局同じ立場なのだろう。彼は何も答えなかった。


「それじゃあ……あの、どうやって進学するんですか?」


 おもむろに訊ねてみる。結局、重要なのはそこだった。

 シアとしても『魔法学』が無残な結果であることは予想できていたので、どこのクラスに入れられようが不満はない。問題はこの『管理指導クラス』でどのように進学するか、その具体的な方法だった。


「今は、他とは違う特別なカリキュラムが用意されている、とだけ言っておこう」


 クライブからの返しは即答であった。


「具体的にはまだ決まっていないことも多い。何せ3年ぶりだ。担当教員である私が君たちの指導状況を管理し、よく精査した上で決めなければならないこともある」


 ……つまり何も決まっていないということなのだろうか。

 もしくは意図して伏せられているのか。

 ハッキリとしない答えで先が心配になるが、彼は釘を刺すように続けた。


「だが気を引き締めたまえ。君たちはこれから、実力不足で取得できない単位を他の手段で補っていかなければならない。それは当然、通常の授業を受けるよりも険しい道だ」


 クライブの表情が引き締まり、今までで最も真剣な眼差しが覗く。


「『管理指導クラス』に入れられた生徒の歴代卒業率はおよそ()()%()。大抵の者は途中でドロップアウトするか……()()()()()()()()


「え……?」


 シアは思わず声が漏れてしまう。物騒な言葉を聞いてその場の誰もが険しい表情を浮かべる。

 クライブは一呼吸置き、わざとらしく小さな笑みを作った。


「フッ……そういう事例もあったという話だ。とにかく、君たちには並大抵以上の努力が求められる。他の生徒からは当然蔑まれ、精神的な忍耐強さも持たなければならない」


 生徒名簿を片手に持ち上げ、不敵に笑う。


「そして私は『管理』する立場にある。常に振るいに掛けられていると思い、励みたまえ。私はいつでも諸君らを学び舎の外へ追い出すことができるのだから」


 彼の眼は、さながら教師というよりも看守。

 監視し、見定める者としての瞳がシアたちを見つめる。


 ──入学早々、とんでもない場所にぶち込まれてしまったようだ。

 これから繰り広げられる新たな生活に、期待以上の不安と緊張が新たに差し込まれた瞬間だった。




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