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チームレイン、出撃!

 えー、今回の話、めちゃくちゃ長くなりました。しかもそこそこ濃い内容となっています。休憩を挟みながらの方がいいかもしれません。脳みそがお疲れの方はリラックスしてからお読みください。そんな余裕が無い方は、頑張ってください。応援してます。三三七拍子で。

〜登場人物紹介〜


・ぽん太郎(仮)

 記憶を失った、異世界からの来訪者。名前を覚えていなかったため、すっぽんぽんの状態で発見されたことからこんな名前をつけられた。本人はこの名前を認めていない。


・リエド

 『チームレイン』のリーダー。優しいお兄さんに見えるがそこそこ腹黒い。声がデカい。


・ルーノ

 『チームレイン』の一員。自称インテリ枠。一人称は「ルーノ」である。大人しいが口数は多め。


・イェリー

 『チームレイン』の一員。元気で大雑把な性格の持ち主。結構過激派でよく物を壊す。


・イトミズ

 『チームレイン』の一員。大抵は無言で不干渉、根暗な印象の持ち主。何故か言葉を区切りたがる。口癖は「アイ・アム・オレ」。


・ヒーテ

 『チームレイン』の一員。容姿端麗、頭脳明晰で何でもそつなくこなす超絶クールイケメンであり、事実上のアイドル枠。しかし表沙汰にはできないとある問題点を抱えており……?


・ラックバーン

 『チームレイン』の一員。横暴ですぐキレる。しかし頭が悪いので仲間にいいように使われる単細胞生物でもある。






「今日はどこまで行くの?」

「情報によると、東の森の中だそうだ。木を倒しまくってるらしいからすぐに見つかるってよー」

「分かりやすくて助かる。で、そいつは確かに“深夜”レベルなんだな?」

「おう!久しぶりのガチバトルだ!」

「…………」


 俺たち『チームレイン』一行は、大型の飛行車でイーターが出現したとされる現場に向かっている。


「……ねえ、ルーノさん」

「なんでしょうか、ぽん太郎」

「この世界って……どうなってるの?取れた腕も元通りだし、当たり前に車も浮いてるし……」


 この世界の車は、謎のエネルギーで推進力を得ているようだ。ブロペラも見当たらないし、ガソリンっぽい臭いもしない。そしてとても静かだ。凄まじい文明力を感じる。


「……本当に何もかも忘れているようですね。いいでしょう。極々当たり前のことをルーノが説明致します」

「あ、あざます」


 すると、ルーノさんはホログラムで大きな何かを俺の目の前に表示させた。これは……地図か?


「ルーノ達人類は、この世界を大きくふたつに分けて考えています。それが、我々人類が生活しているエリア『都市部』と、それ以外のエリア『未開地』です。境界線は『都市部』を囲うように存在するこの『膜』となっています」

「都市部と未開地……膜ってなんだかシャボン玉みたいですね」


 色鮮やかな都市部を囲う、巨大で透明なシャボン玉。まるで都市部にバリアを張っているみたいだ。


「この『膜』の内と外……『都市部』と『未開地』では環境がまるで異なります。大気中の『シャイン』の濃度の違いが主な要因ですね」

「『シャイン』……?」

「人、建物、動物、草木や地面などの、この世界のほぼ全てのものは『シャイン』と呼ばれるエネルギーによって生み出されています」

「へぇー、カッコイイっすね、シャイン」

「この世界での『無限の可能性』を象徴する『光』から取られています。実際、このエネルギーは世界を構成するだけでなく、飛行車の動力源や建設などにも使われています」

「へ、へぇ〜」


 とりあえず便利なものって認識でいいか。よく分かんないけど。


「はい。『シャイン』が濃いエリアが『都市部』、薄いエリアが『未開地』、ということです。まあ、口での説明では理解が及ばない部分も多いので、ご自身で体験するのが早いかと」

「おーい!もうすぐ『未開地』だぞ!」


 と、運転していたリエドさんが声を上げた。


「おぉ……!」


 外を見ると、さっき説明を受けた『膜』がもう目前に迫っていた。


「……アイ・アム・準備OK」

「いつでもいいぞ」

「いっちゃえー!」


 と、何やら皆さんが何かに備えだしたことに気がついた。


「ぽん太郎、シートベルトを閉めてください」

「え、ちょっ……」


 みんなが閉めてなかったから俺もシートベルトしてなかったけど……やべ、外の景色に夢中になってて出遅れた……!



 と、思った次の瞬間!




 ドガッ、ガガガガ!!!!!




「おあぎゃぁぁぁー!!!!」


 凄まじい衝撃が車を襲った!


「ギャー、ぽん太郎が暴れてるよ!!」

「……アイ・アム・痛い」

「グボェ!!!……おいゴラァぽん太郎首かっ切るぞゴラァ!」

「ぽん太郎はシートベルトが間に合わなかったようです。ルーノは時間に余裕を持って警告しました」

「いや明らか間に合ってなかったじゃねぇかゴラァ!」

「あーあー、戦うまで耐えれるかなーぽん太郎」


 う……車の中で何度も弾んだみたいだ……身体中痛ぇ……何が起こった……?


「大丈夫ですか、ぽん太郎。意識はありますか?」

「う……はい。何があったんですか……?」

「たった今『膜』を越え、『未開地』を走っています。何か変化を感じませんか?」

「変化……?」


 と、俺は周りを見渡した時、ある事に気がつく。



「車が……浮いてない?」



 さっきまでは無かった振動を、座席から身体全体で感じている。これは……地上を走ってる?


「はい。これが、『都市部』と『未開地』の大きな違いの1つです。この飛行車が飛ばなくなったように、大気中に『シャイン』が殆ど無いこのエリアでは、『都市部』では当たり前だったことにいくつか制限がかかります」


「へぇー……じゃあ、さっきの衝撃は空中から地面に落ちた時のものだったってことっすか」

「そういうことだ!次からは気をつけろよぽん太郎!」

「でも今回は明らかに強めに下ろしてたよねー、リエド」

「コラ!イェリーおだまり!」

「……リエド・鬼畜」

「イトミズもおだまり!」


 リエドさんひでぇ。腹黒リーダーめ。


「そもそも飛行という移動手段は、エネルギー効率が大変悪いものとなっています。同じエネルギー量では、飛行よりも地上を走らせた方が数十倍長い距離を移動できます」


 おぉ……そんなに違うんだ。


「しかし、『都市部』では話が変わります。先程言った通り、『都市部』内の大気中には、エネルギー源である『シャイン』が高濃度で存在しています。そのため、どれだけ『都市部』内で飛行車を走らせても、消費エネルギーよりも供給エネルギーの方が上回るため、問題は無いのです」

「へー……あれ、じゃあどうやってこの車は今走ってるんすか?」


 大気中から『シャイン』を持ってこられないなら、車は動かせないんじゃ……


「問題ありません。『都市部』の『シャイン』を、『未開地』で持ち運ぶ方法があります」


 と、ルーノさんはポーチから手のひらサイズのビンを取り出した。特に何が入っている訳でもない、ただの無色透明なビンだ。


「このビンの中には、『都市部』内の大気が詰まっています。しっかりと栓で密封されているため、こぼれることはありません。この瓶は一般的に『S瓶』と呼ばれています」

「へー、そんな感じで持ち運べるんすね」


 思っていたよりもアナログな方法なんだな。水筒で水を持ち運んでいるような感覚に近い。


「はい。飛行車の場合は後方に大きなタンクが搭載されており、そちらにS瓶と同様に『シャイン』が貯められています。飛行に使えば10m足らずで空になる量ですが、地上であればかなりの長距離を移動できるのです」

「なるほど……」

「S瓶……『シャイン』は、『未開地』で行動する以上、無くてはならないものです。武器の錬成だけでなく、傷の回復、緊急離脱など多岐にわたります」

「とりあえず『未開地』にはいっぱい持ってきた方がいいってことっすよね」

「今はそのような認識で問題ありません。実際に体験した方が早いと思いますので」


 とりあえず、この世界のことと『シャイン』については何となく理解した。うんうん。


「おーい、ここからは徒歩で向かうぞー」

「えぇー、なんでよー、もうちょい車で行こうよー」

「帰りの燃料が無くなるだろ。ほらさっさと降りろ!」


 と、話がひと段落した所でリエドさんが皆に車から降りるように促す。


「よっ……と、んん?」


 俺も言われた通りに降りた時……違和感に気がつく。


「身体……重くね?」


 身体中に重りを括り付けられでいるようだ。歩くだけで相当な体力を使いそうだ。


「なんだなんだ、ぽん太郎!車酔いか!」

「ありゃー、だいじょぶ?」

「いや、車酔いじゃないと思うんすけど……」

「……そちらも説明していませんでしたね」


 と、煽るリエドさんの間にルーノさんが割り込む。


「ぽん太郎は身体が重くなった、と感じていると思いますが、正確には間違いです」

「ほぇ?」

「正確には、『都市部』では身体が軽い、ということです。『都市部』内の人は歩く、走るなどの何かしらの行動をする時、全員が無意識に『シャイン』を使っているためですね。『未開地』に足を踏み入れた方には、今のぽん太郎のような現象が起きます」

「あー……なるほど」


 つまり、『都市部』での軽い体に慣れてしまったから、『未開地』では重く感じてしまう、ってことか。


「あれ、じゃあリエドさんとイェリーさんはどうして元気そうなんですか?」


 この重さは他人の心配なんてしていられるようなものじゃない。この重さを感じながら歩き回るなんてキツすぎる。


「リエドとイェリーは元気なので、頻繁に『未開地』に遊びに行っています。そのため耐性があるのでしょう」

「あれ……じゃあ他の皆は……?」


  と、車の方に目をやると……



「……アイ・アム・キツい……」

「クソが……ゴラァァ鬱陶しいなァ未開地がよォ!……ウゴァ」

「……悪いラック、肩借りる」

「オイヒーテゴラァ!ざけんなクソがぁぁおあああ重てェェ」


 

 ヘロヘロになりながら降車する3人の姿があった。イトミズさんはしゃがみこんで動きそうにないし、明らかに弱っているラックーバーンさんにもっと弱っているヒーテさんがもたれかかろうとしていた。


「ちなみにですが……」

「え?」

「ルーノもその例外ではありません……ふあぁ」

「おあぁ!?」


 振り向くと、ルーノさんが力なく倒れていたではないか!なんなら1番弱ってるし!


「ち、ちょーい!リエドさんんんん」


 この人達普段からこういう仕事してんじゃないの!?なんで不慣れな俺の方がピンピンしてるわけ!?


「ああー、それはいつもの事だ!ぽん太郎、放っておけ!俺たちは先に行くぞ!」

「いいのかよ……」

「行くよー、ぽん太郎!移動しないとイーターに勘づかれて襲われちゃうよー?」

「え!?襲われる……?」

「目撃情報は目の前のこの森だが、ずっと同じ場所に留まってる訳ないだろー!」

「地面に潜るタイプのイーターだったりしてね〜」

「えぇー……」


 忘れてたけど、俺たちはイーターを狩りに来たんだった。今でも思い出す、あの獣の化け物……どうやって助かったのかは分かんないけど、あんな目に逢うのは二度とごめんだ。とりあえず1番やばそうなルーノさんに肩を貸そう。


「ありがとうございます、ぽん太郎。優しいですね」

「……胸・3cm・くい込んでる。セク・ハラ・ぽん太郎。パシャリ」

「イトミズさん何写真撮ってるんですか!?」

「無駄ですよ、イトミズは生粋の変態なので。ルーノとイェリーはよく狙われています」

「いやだからってこんな時に……」


 イトミズさんは撮れた写真をニヤニヤ、時には恨めしそうに眺めていた。


「どういう表情すか、あれ」

「ルーノの胸に満足していると同時に、胸に密着しているぽん太郎に嫉妬している表情なのだと推測します」

「変態だ」


 まあ、俺も感触を感じない訳ではないんだけど……身体が重すぎてそんなことに気を配っている余裕が無い。イーターへの恐怖心の方が勝ってる。


「ねーねー、ぽん太郎まだー?」


 と、先の方を歩いていたイェリーが戻ってきた。


「いや、なんかほっとけなくて」

「だぁー、優しいねカッコイイねぽん太郎!仕方ない、私も手伝ってあげましょう!」

「リエドさんはどこ行ったんすか?」

「先に入って偵察してくるってさー。何かあったら信号弾飛ばすって言ってたよー」

「あ、そうなんすね」

「じゃあルーノのことは任せたよ!ほらほらぁそこの男共!ぽん太郎に負けていいのー?立つよほら!」


 と、イェリーさんが男共に喝を入れようとした瞬間!




 ドゴォォォォォォォ!!!!




「なんだぁ!?」



 森の奥から物凄い衝撃と轟音が鳴り響き、岩や木の破片がこちらに飛んでくる!



「ぽん太郎、伏せてください。危険です」

「えっ……ちょっ」



 ドガッ……!



 判断が遅れ、ものすごいスピードで飛んできた岩を避けきれず、左肩にぶつかってしまった……!


「ぐうっ……!?」


 その衝撃に耐えきれず、咄嗟にルーノさんを庇いながら地面に倒れ込む。


「ル、ルーノさん、大丈夫ですか……?」

「ルーノは無事です。それよりもぽん太郎自身の心配をした方がいいです」

「え……?」


 と、ルーノが指差す先を目で追うと……



「あ…………え?」



 左腕が肩から消え失せていた。



「おああぁぁ!?」


 え、やばい!ちょ、え、うえぇ!?死ぬ!?


「落ち着いてください。直ぐに治します」

「うごおおおおおあ!?」


 パニックでうまく状況を飲み込めなかったが、ルーノさんが何かしようとしていることだけ分かった。


「丁度いいですね。『S瓶』の力をお見せします」


 と、ルーノさんはさっき見た瓶を取り出し、俺の左肩辺りに向かって蓋を開けた。



 すると……



「お、おお……!」



 失ったはずの左腕がみるみるうちに復元されていった。



「人間の身体はシャインで構成されています。なので、失った箇所にシャインを補ってあげれば復元できるという訳です。この見た目だけでは分かりませんが、『S瓶』の中には人体丸ごと1人分組み上げても余りある量のシャインが詰め込まれています」

「へ、へぇー」


 俺は復元された左腕の動きを確かめながら話を聞く。うん、問題なく動かせる。すげぇ。


「それだけ『都市部』内のシャインは濃いということです。都市部ではどんな怪我でも一瞬で治りますし、疲れることもありません」

「あぁー、それで最初腕引っこ抜かれた時、ちゃんと治ってたんすね」

「そういうことです」


 なるほど、シャインの重要性が何となく理解出来た。S瓶の重要性も身をもって感じられた。


「しかし、S瓶でも助けられないことがあります」

「え、そうなんですか?」

「復元できない条件として、①全身の割合の半分以上を一気に失う、②意識を保てないレベルの頭部の損傷、の2つです。例外もありますが、基本はこのようになっています」

「はぇー、恐ろしい……」


 具体的すぎて怖いわ。頭部の損傷て。


「ちなみに切断された時はどうなるか、という点ですが、『頭部が存在する部位が全身の割合の半分以上を占めていれば』復元可能です」

「あー、つまり首をパーンって斬られたら……」

「はい。頭部だけでは全身の50%に満たないため、復元は不可能です」

「ひぇ……」


 そんな法則があるんだ。凄いけど理解したくねぇ。


「とりあえず理解出来たのであれば十分です。目の前のイーターに集中しましょう」

「あ……」


 と、さっきまではヘロヘロしていたルーノさんが俺から少し離れたかと思うと、いつの間にか手に持っていたゴツめの銃を構えて体制を整えていた。


「体のだるみについては大丈夫です。慣れました」

「いや、それもそうなんすけど……そんな武器いつの間に……」

「先程ぽん太郎の腕を復元した時の余りのシャインで錬成しました。ルーノ達はこのようにしてその場に合った武器を錬成して狩りに挑みます」


 そう言われて辺りを見回すと、チームの皆が皆それぞれ特徴的な武器を携えて臨戦態勢を整えていた。あのヘロヘロ男三人衆も空気が明らかに変わっていた。いつの間にか散開してるし。


「ぽん太郎は錬成は無理だと思うので、ひとまずこれを渡しておきます」

「え?おっ?」


 と、ルーノさんからポイっと小さなナイフを渡された。


「今回ぽん太郎は狩りの参加は初めてなので、ここで見ているだけで大丈夫です。このナイフはいざという時に役立ててください」

「あ、はい」


 渡されたナイフを握りしめる。どこからどう見ても普通のナイフだ。ちょっと可愛らしい装飾が施されてるくらい。こんなのがゴツゴツの岩とか相手に役に立つんだろうか。




「おい!来るぞ!今回はムカデだ!」




「ムカデ!?」


 轟音がなり続ける森の中から、はっきりとリエドさんの声を聞きとった。



 と、次の瞬間!





「ゴォアアアアアアアアアア!」





 巨大なドス黒いムカデが姿を現した!!!



「え……嘘でっか!」



 俺達の身長の何十倍もある巨木をなぎ倒しながら突撃してくる。その様は、まるで森を飲み込んでいってるみたいだ。


「これが……イーター……!」

「はい。これが今回のルーノ達の討伐目標です」


 イーターと名付けた理由にも納得がいく程の圧倒的な暴れっぷり。こんなのをどう倒すってんだよ……!


「まー見ててよー、ぽん太郎!私達の狩りを!」

「え?」


 と、イェリーさんの声につられて目を向けると……



「ふっふっふ、これでどうだ!」



 アニメとかで出てきそうな、有り得ないくらいデカい爆弾を、投石器のような兵器で飛ばそうとしていた!


「すげー!カッコイイ!」

「へへへー、そうでしょ!」

「イェリーは大きな兵器を錬成することを得意とします。単純かつ大雑把な動きしかできないので汎用性はイマイチですが、破壊力とコストパフォーマンスはずば抜けています」

「へぇー、それぞれに錬成のジャンルというか、得意不得意があるんですね」

「その通りです。錬成にはその人の個性が大きく関わりますから」


 なるほど……これはイェリーさんの大雑把な性格にピッタリな方向性の錬成だな。面白〜。


「おいイェリー面白くないぞー初っ端から最終兵器はー。ブーブー」

「……トドメ・早すぎ」

「うるさいよ!必殺技は最後まで温めておく昨今の風習が悪いんだ!!!」

「なあラックバーン、これ俺たち巻き込まれるんじゃねぇか」

「あぁ!?おいゴラァイェリーざけんなゴラァ!」

「てーい!悪しき風習と共にぶっ飛べー!」


 ヒーテとラックバーンの心配なんて要らねぇ、と言わんばかりに投石器は作動し、バカでかい爆弾は一直線にムカデ(とヒーテとラックバーン)へと飛んでいく……!



「ウゴァァ!?」



 明らかにやべぇ雰囲気を醸し出している爆弾に反応して、ムカデは頭を地面に突っ込んだ!


「うわっ……!地面が揺れる……!」

「潜る気ですね。あの速度だと爆弾が間に合いません」


 凄まじい地響きと共にムカデは地面を掘り進めていく。砂埃が舞い、視界が悪くなる。



「させるかぁぁぁ!!!」



 と、そこでリエドさんが何かを錬成しながら砂埃に突っ込んだ!あれは……スコップ?


「でぇぇぇぇぇやあぁぁぁぁぁ!」


 そして、錬成したスコップを地面に突き刺し、勢いよく持ち上げた瞬間!




 ボコォォォォォォ!




「ギギェェェ!?」



 1発で潜っていたムカデを周りの土ごと掘り起こした!!!



「ええぇぇ!?」


 あんなに大量の土を空中にだって……!?


 いやおかしいって!明らかにあのサイズのスコップでやることじゃないだろ!砂場で城作るくらいのサイズ感だろアレ!


「リエドは錬成した武器や道具の能力を何百倍にも引き上げることが得意です。しかし不器用なため、小さめかつ簡単なものしか錬成できません」

「へぇー……」


 スコップでアレかよ……刀とか錬成できたら地球真っ二つにできそう。


「よっしゃああああああ!ぶっ飛ばせ!!!」


 勢いよく掘り出されたムカデは身動きが取れないまま宙に浮いている。そしてそこへ一直線に飛んでいく爆弾!



 決まった……と思った次の瞬間!




 ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!




「……!?」



 極太のドス黒い謎の光線がイェリーさんの爆弾を消し飛ばした。


「あれ……?」



 俺を含め、ポカンとしている皆。何が起こったか理解できていないようだった。




 ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!




 そしてもう1発。こ、このビームの飛んでいく先には確か……


「イェリーさん……!!」





 俺の叫びも虚しく、視界の中に映ったものは、大きく抉られた投石器だったものと、イェリーさんの右腕のみだった。




「うあああああああああっ……!」




「……ダメですね。あの負傷は復元できません」


 残されたイェリーさんの右腕は光の粒子となって、空気中にゆっくりと溶けていくように霧散していった。


「そ、そんな……」




 こんなにあっさり……ショックが大きすぎて声が出ない……




「ぽん太郎、ショックを受けている場合ではありません。次はルーノ達にビームが飛んできてもおかしくありませんから」

「……光線・危険・警戒」

「とんでもねぇな、あれは」

「くそがぁぁイェリーゴラァ!」




 しかし、皆の目から光は失われていなかった。やられっぱなしじゃ終わらない、必ず仕留める、という固い意思を感じた。



「くっ……土が落ちるそ!衝撃に備えろぉ!」



 と、リエドさんの叫びで我を取り戻す!


「ぐおおぉっ……!」

「くっ……!」


 まともに立ってられないレベルの揺れが俺達を襲う……!くそっ、今ビームを撃たれたら避けられない……!




 と、そんな中ムカデに向かって特攻を仕掛ける人物が。




「オラァァァァァァァ!!!」




「ラックバーンさん……!」

「揺れが発生する直前に踏み切りましたね。上手いです」


 皆が揺れに耐える中、1人だけロケットのように飛び立ち、一直線にムカデの方へと突っ込んでいった!



「ゴォォォア……」



 しかし、ムカデは体勢が既に整っている!あの雰囲気……またあのビームが……!



 と、その時。




「……アイ・アム・オレ。邪魔するぞ」




 突如として、ビームの構えをしていたムカデの体勢が崩れた!


「オガァ!?」


 ムカデの方も予定外だったらしく、今の崩れた体勢ではビーム発射は出来ないようだ!


「な、なんだ!?」


 よく見ると、ムカデの体を支えていた足が数本切断されていることに気がつく。


「見てください。イトミズがひと仕事しました」


 と、ルーノさんが森の方を指さす。


「あ……あれ?」




 するとそこには、上半身を木に突っ込んだまま身動きが取れなくなっているイトミズさんの姿があった。




「お、おお、いつの間に……どういう状況すかあれ」

「イトミズは近接武器しか錬成したがりません。その代わりなのか、シャインを使った身体強化が非常に得意で、特にスピードでは右に出るものはいないと聞きます」

「シャインで身体強化……?」


「はい。コツがいりますが、やろうとすれば誰でもできます。今、イトミズは亜音速で接近し、すれ違いざまにムカデの足を数本切り落としました」


「亜音速!?」


 それちょっと凄すぎじゃね!?


「はい。錬成無しではイトミズが間違いなく最も戦闘力が高く、心強い存在ではありますが……ブレーキを知らない点が玉に瑕です」

「あー……だから木に突っ込んでるんですね」

「はい。目の前のことに集中して周りが見えなくなるタイプなので。気づいた時には頭をどこかかしらに埋めていることが殆どです」

「そう言われると凄さが4割くらい減りますね……」


 だが、イトミズさんの6割のおかげでラックバーンが一撃入れられそうだ!



「ラァァァァ!」



 そして、隙だらけのムカデの脳天にラックバーンさんの金属バットが炸裂する……!




 コォォォン……




 金属バットの鈍い音が響き渡る……と思ったその時!





 バァァァァァァァァァン!!!!!





「うわっ!?」


 大爆発がラックバーンを中心に巻き起こった!


「うおお、風圧が……!」

「ラックバーンは少し特殊で、殴ると爆発する金属バットのみ錬成できます。破壊力もそこそこありますが、1番秀でているのは爆発の範囲ですね。便利ですがラックバーンは頭が悪いので、自分の都合で爆発を起こします。そのせいでルーノ達はよく巻き込まれます。迷惑です」

「そ、そうなんですね……」


 すげぇ、ラックバーンさんが最低な話は一旦置いといて、能力自体はなんかド派手でカッコイイ。パワー型って感じでちょっと憧れる。


 と、そんなことを考えていると、何か大きめな塊が爆風に乗ってこちらへ飛んできた。


「……あれ」


 よく見ると、人の形をしている。これは……


「ラックバーンですね」

「……なんか白目むいてません?」

「はい。ルーノ達が巻き込まれるように、ラックバーン自身もその爆発の影響を受けます。高威力の爆発をほぼゼロ距離で受けるので、大抵は1度の攻撃で戦闘不能になります」

「………」


 前言撤回。全然カッコよくないし、憧れねぇ。



「ゴォァァァッ……」



 だが、ムカデの方も、かなり今ので消耗したみたいだ。動きが先程と比べてかなり鈍い。



「今がチャンスですね」



 と、ここで満を持してルーノさんが攻撃の意志を見せる。


「ルーノは威力の高い遠距離武器の錬成が得意です。1発撃つと錬成し直さなければならない点と、錬成に時間がかかることが欠点ですが、イェリーと違って細かな動きにも対応できる点が強みです」

「なるほど」


 大雑把で回転率の良いイェリーさんと、一点集中型のルーノさん。方向性は似ていても個性で結構変わるものなんだな。


「おっしゃあ!トドメ行くぞ皆!」

「分かった。終わらせよう」


 いつの間にか戦える人が3人まで減っているが、トドメを刺せそうな雰囲気だ!



「……行きます」



 立派な銃を構え、慎重に狙いを定めたルーノさんが引き金を引き、弾丸を射出する!




 バァァァァァン……!




「おぉ……!?」


 大きな銃声と共に弾丸は射出され……




「ぐああッ!」





 リエドさんに見事なヘッドショットを喰らわせた。





「………誤射りました」

「はい!?」


 リエドさんにトドメ刺してどうすんだよ!?


「……ルーノの身体が脳に追いついていないのです。頭が良すぎる弊害が顕著に現れた良い例ですね」

「いや1番良くない例ですけど!?」


 そもそも頭の良さ云々の話でもない気がするし!ヘッドショット決まったせいでイェリーさんの腕みたくリエドさん霧散しちゃってるし!



「グゴォォォ……」



 そんなこんなしているせいでムカデが体勢を整えてしまい、最大のチャンスを逃してしまった。最大のピンチ到来まである。



「仕方ない、俺が隙を作る」



 と、ここであまり戦闘に参加していなかったヒーテさんがムカデの前に陣取った。


「……ありがとうございます」

「次はちゃんと狙えよ、ルーノ」

「はい、ヒーテ」


 無気力そうに見えるが、どこか頼もしさを感じる、そしてめちゃくちゃイケメンなヒーテさん。この人はどんな戦い方をするんだろうか……?


「ルーノは別の武器を使うことにします。銃はもう満足しました」

「いや誤射るからじゃ……」

「満足したからです」


 と、S瓶を消費して何かを錬成しているルーノさん。



「ゴァァァァア!」



 しかし、その隙を狙ってムカデが突進を仕掛けてきた!


「うわっ、やばい!」


 この感じだと、錬成が完了するよりも先に突進を喰らってしまう……!



 と、その時!




「おい、こっちだろ。お前の相手は」




 地面から巨大な棘が突如として出現し、ムカデの腹部を貫いた!!!


「ギャヴグァァ!!!」


 棘をモロに喰らったムカデは苦しそうに悶える……!


「うおお、すげぇ!」

「ヒーテの最大の武器は、あの錬成のスピードです。錬成後すぐに崩れてしまうのと、S瓶の消費が激しいのが欠点ですが、抜群の汎用性を持ちます」


 確かに、あのサイズの棘を一瞬で錬成できるのは強みだな。ルーノさんの武器の錬成はまだ終わってなさそうだし。


「ルーノが次の武器の錬成を完了させるまで、ヒーテには時間を稼いでもらいます。少し集中しますね」

「あ、はい」


 特に俺にできることはないので、すぐにルーノさんを連れて逃げられる準備をしつつ、ヒーテさんの戦いを眺める。



「ギャアアアアオア!」



 巨大な棘はあっという間に崩れ去り、ムカデがまた暴れだした……!



「……フッ!」



 ヒーテさんの戦いは、美しかった。尻尾を振り回した時には、盾を錬成して攻撃をいなし、噛みつき攻撃を繰り出した時にはジェットパックのようなもので華麗に回避していた。時にはバイクを錬成して回り込み、クロスボウで爆発する矢を放ったりしていた。



「凄い……」

「はい。ですがヒーテの攻撃だと決定打に欠けます。確かにヒーテの錬成はとても早いですが、先程の巨大な棘のような破壊力のあるものは完成まで少し時間がかかるので、不意打ちでないと当たらない可能性が高いです」

「そうなんですね……」


 よくよく戦いを見てみると、時々巨大な棘を錬成しようと試みている瞬間が感じ取れる。しかしムカデもそれを察知しているようだ。賢いな、あのムカデ。


「しかしご安心を。破壊力のある武器の錬成が完了しました」


 と、ルーノさんは自慢げに錬成した武器を見せつけてきた。


「これは……」

「硬い装甲に対して効果的な、徹甲榴弾を射出できる兵器です。これで硬い皮膚を持つあのムカデにも効果があるはずです」

「おぉ〜」


 確かに、腹部を除くムカデの表面は鎧を纏っているかの如くカッチカチに硬い。ラックバーンさんのクリーンヒットでも倒れないわけだ。だが、この武器なら硬い表面にヒットしても確実にダメージを与えられそうだ。



 ヒットすれば、だけど。



「おっとっと……重いですね、かなり」

「…………」


 もう既に雲行きが怪しい。さっきの大誤射を見ちゃったからってのもある。


「支えますよ、ルーノさん」

「ありがとうございます、ぽん太郎」

「……もうちょい近づきます?」

「はい。この距離だと当てられな……徹甲榴弾の性能を生かしきれません」


 おい、誤魔化したな今。当てられないって言おうとしただろ。




「グアアアァァッ!」

「くっ……!」




 ヒーテさんが必死に時間を稼いでくれている。今のうちに確実に当てられる距離まで近づくんだ!


「あと少しだけ近づきます」

「はーい」


 改めて近くで見ると、本当に大きいな、このムカデ。この人達はこんな化け物と戦い続けているのか……



「ぽん太郎、ここで大丈夫です。狙いを定めます」

「はい!」


「くっ……瓶が切れた!」



 狙撃ポイントに到着したところで、ヒーテさんに限界がきたみたいだ……!


「ヒーテさん!!!」


 ヒーテさんが今にもムカデに食べられそうになっていたその瞬間……!




「……発射します」





 ルーノさんが引き金を引くと、弾は真っ直ぐ飛んでいき、見事ムカデの頭部にヒットした!




「やった!」


 徹甲榴弾はムカデの装甲を突破し、確実にダメージを与えた!ムカデは少し抵抗した後、力なく地面に倒れ伏せた……!



「た、倒した!やった!!!ヒーテさああああん!」



 俺はすぐさまヒーテさんに駆け寄り、ルーノさんから少し分けてもらっていたS瓶を使用する。


「サンキュ、ぽん太郎。よく生き残ったな」

「あはは……」

「今日のMVPはルーノですね。トドメ頂きました」

「いやお前味方殺してるじゃねぇか」

「あれは不慮の事故です。反省しているので問題ないです」

「じゃあいいか」

「えぇー……」

「とりあえず木に突き刺さったイトミズと焦げたラックバーンを回収しましょう」

「そうだな」


 と、3人で雑談を交わしていると……




 グガガガ……




「……!?」


 トドメを刺したはずのムカデが俺達のすぐ後ろで起き上がっていた……!


「死んだフリ……!?全然気が付かなかったっ……!」




「グアアアアアアアアアアアアアッ!!!」




 おそらく最後の力を振り絞って繰り出した突進だろう。さっきまでの威圧感は感じない。だが、3人共油断していたせいで反応が遅れた……!


「おあああああああおあおあああ!?」

「あ、これは死にましたね」

「チッ、油断したか」

「なんでそんなに冷静!?」


 なんかこの2人死を覚悟してんだけど!?




「ガッ…………ァァァア!」




「うわぁ近すぎだってぎゃああああ!……あっ」


 俺だけパニックに陥る中、あることを思い出し、咄嗟にムカデに向かって駆け出す!


「おい、ぽん太郎……?」

「どうしたんでしょうか、ぽん太郎」


 いざという時に……そんなの、今しか無いだろ!!!




「だあああああああああああ何か起これぇぇぇぇっ!」










 その後、帰りの車内にて────




「……酷いです、酷いです、酷いです」

「不機嫌になるなよ、ルーノ」

「悔しいです。美味しいところを持っていかれました」

「あははは……」




 俺はあの瞬間、ルーノさんから渡されていたナイフを手に取り、思いっきり縦に振った。するとあろうことか、凄まじい斬撃が発生し、巨大なムカデを一刀両断したのだ。




「にしてもお手柄だったな、ぽん太郎」

「お手柄なのはナイフを渡しておいたルーノです」

「ああ、そうだったのか」

「……でもおかしいです。あのナイフにあんな斬撃が出せるような錬成はした覚えがありません。そもそもルーノはあのような技術を持っていませんし」

「あれ、じゃあ俺って何で出せたんですかね?あんな超人技」

「俺の治療の時に使ったシャインが残ってたんじゃねぇか?」

「そうですね……おそらく……それが影響したとしか……考えられませんね……」

「…………」


 俺がトドメを奪ったからか、ルーノさんは凄く不機嫌だった。そんなに欲しかったか、トドメ。倒せりゃいいってもんじゃないのかな。


「何だろうな、ぽん太郎の特技は」

「現段階では何とも言えませんね。もしかすると記憶を失う前は凄腕のハンターだったのかもしれません」

「………うーん」


 まあ、自分の特技については追々見つけるとして……



「………イェリーさんとリエドさん、残念ですね」



 イトミズさんとラックバーンさんは復元可能な状態だったため、助けることはできた。今は眠っている。


 しかし、イェリーさんとリエドさんは即死だった……



「ん?あー?ああ、確かに車で帰れずに残念だったな」

「ぽん太郎はそこまで皆で一緒に帰りたかったのですね。素晴らしく優しいです」



「……んっ?」


 何だか違和感を感じる。俺と2人とで空気に差を感じる。


「……もしかして『塔』のシステムも忘れてるんじゃねぇか?」

「そういえば塔については詳しく説明してませんでした」


 なんか2人でコソコソと話している。よく聞き取れない。


「……まあ、本部に着けば分かる。今は休んどけ」

「そうですね。それが一番です」

「まあ……はい」


 2人共ニヤニヤしているのは気のせいなんだろうか。なんだか不気味だ。






 そしてしばらくして、俺たちは『チームレイン』本部に到着した……が。




「よぉぉくもぶち抜いてくれたなぁぁルーノ!!!!!」

「だあああああ私が1番活躍してないいいいうわああああああ!」




 出迎えてくれたのは、死んだはずのリエドさんとイェリーさんだった。




「は?え?なんで!?」

「ルーノ、説明」

「了解しました、ヒーテ」


 そこで、ネタばらしと言わんばかりの表情でルーノさんが説明を始めた。



「この世界では、身体が消滅してしまった人は、『塔』から復活する仕組みになっています」

「は……?」

「そのままの意味です。リエドとイェリーは復元不可能な程に体を損傷したため、『都市部』で復活していた、という訳です。死んだという表現は適していません。ルーノ達はこれを『テレポート』と呼んでいます」

「てれぽーと……」


 と、ここで話が繋がってくる。




「もしかして、俺が初めてこの街に来たのも……」

「はい。ぽん太郎が言っていた『獣のイーター』に襲われ、体を損傷したためテレポートされた、というわけですね。改めて説明させていただきました」

「そういうことだったんだ!?」




 なんだか腑に落ちた。やっぱりあの巨大な獣に食われたのは夢じゃなく、現実だったんだな……おぇ。



「で、でも、裸だった理由が分からないままですよ」

「それはぽん太郎が裸で『未開地』をブラブラしてたからじゃねぇのか」

「えぇー!?」

「公然わいせつ罪……」

「イェリーさんやめてぇ!」


 何にせよ、本当の意味での犠牲者はいなかったみたいだ。よかったよかった。



「よーし、じゃあぽん太郎の初任務完了、ってことで!飯でも行くか!」



「アイ・アム・賛成」

「いいじゃん。1番活躍してなかったイェリーの奢りってことで」

「はい!?私それなら行かないよ!?」

「あ、コラ逃げるなイェリー!ラックバーン捕まえろ!」

「んだとゴラァ!……オラァ捕まえたぞイェリーゴラァ!」

「……捕まえるのはイェリーですよ。ルーノじゃないです、ラックバーン」

「ゴラァ!?」



「…………」


 騒ぎまくるせいで、部屋があっという間に散らかっていく。いつでも賑やかだなぁ、この人達は。



 でも、不思議とこの騒がしさが心地よくなっている自分がいた。


「ご飯、楽しみだなぁ……」

 はい。ここまで読んでくださった方へ。本当にありがとうございます。今回の話で、この物語の世界観の解説はほぼ完了です。おそらく次の話でプロローグはおしまいの予定です。どこで話を区切ろうか迷った結果、戦闘の部分は区切るべきじゃないな、と思い、こんな感じになりました。1話で15000字って長い方だよね。そうだよね。そういうことにしてください。


 では、またお会いしましょ〜!

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