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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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              アンジェサイド


 ついにコンサートの日がやって来た、今回はアメリカの映画祭に出席するために来日したそうだ、来日記念に3か所のみでコンサートが行われる。           

 アメリカでもそこそこファンがいるみたいだ、コンサート会場でエド達と待ち合わせする。

 会場に到着すると先にエドが待っていた。私に気が付いたエドが手を振る

「アンジェこちらだ」

「エド、お待たせしました」

「大丈夫、時間通りだね」

 ニコニコ顔の私を見ながら、隣にいる男性に私を紹介する

「オウル、この子が娘のアンジェリーナだ、アンジェこちらの方はオウル、私の友人で今回のチケットを手配してくれた方だよ」

 少し恰幅の良い男性がニコニコしながら挨拶をしてくれる。

「初めまして、アンジェリーナ話はエドから聞いているよ、名前の通り可愛い子だね」

「はじめまして、オウルさん、お会いできて嬉しいです。コンサートのチケットを手配して頂いて感謝しています」

 心からの感謝を伝える、本当に本当に感謝してるの!!!

「どういたしまして、声も可愛いね」

 ニコニコと微笑むオウルさん、笑うと可愛い。

「そろそろ席に移動しようか」

 エドが言う

「はい」

 私は頷いて動き始める。

 会場の中は、ほとんどの席が埋まっている。私達はどんどん前に進んで行く、何処まで行くんだろう?と思っていたら、VIP席だった。

 エドの事だから前の方の席だろうなと思っていたけれど、さすがにVIP席にはびっくり、すっごいラッキー!ドキドキしながら席に着く。

「オウルさんこんな良い席を本当に有難うございます」

「どういたしまして、たまたまエドがチケットを探してるって聞いてね、私は今回のコンサートの関係者なのでこの席をゲットできたんだよ」

「関係者なんですか?すごいです、紹君にも会いましたか?私彼が大好きでずっとファンなんです!」

「うん、会ったよ、とっても礼儀正しくって、年よりかなり若く見えるよね、さすが日本人だね」

「そうなんですか?他の印象はどうですか?どんな人ですか?ここ以外にもコンサートが有るんですよね、何時までアメリカにいるんですか?」

 勢い込んで質問していると途中でエドから注意された。

「アンジェ、オウルが驚いているよ。そんなに矢継ぎ早の質問攻撃は、いけないよ」

「ごめんなさい、少し興奮しすぎてました」

「本当に彼の事が大好きなんだねぇ」

 オウルさんに笑われた。恥ずかしい

「すいません、オウルさん、アンジェは彼の事になると、見境が無くなるので子供に戻ってしまうんです」

 そう言ってエドは笑った

 その時、開演のベルが鳴る、いよいよコンサートの始まりだ。

 紹君の顔を間近に見ながら声を聞く、もぉ心臓が破裂しそうな程だ。

 あっという間にコンサートは終わってしまった、夢を見ているようだ。

「ああ、終わってしまった」

 そう呟き呆然とする、席から立ち上がる事ができない。

「アンジェ?アンジェ?」

 隣のエドから声がかかる、はっと気が付く、夢の時間は終わったのだ。

 もぉ現実に戻る時間だ、そう思うと思わず涙が溢れる。

「どうした?泣いてるのかい?」

 心配そうなエドの声がする。

「そんなに感動したのか?」

 何も返事ができなくってただ頷く。

「そうか、そうか、そんなに感動したんだね、この後紹君の楽屋に行くことになってるので急いでね、自分の口から直接感想を伝えるといいよ」

 そうオウルさんが言う

 今なんて言ったの?聞き間違いじゃないよね??

「しょ・・・紹君に会えるのですか?」

 涙なんて一気に引っ込んだ。

「そうだよ~僕は、関係者だって言ったよね?特別だよ~」

 かわいいウィンクが飛んでくる。

「有難うございます、有難うございます、有難うございます、嬉しい」

「オウ、すっごい感謝されちゃったよエド」

 エドは苦笑している、私は慌てて席を立ち、オウルさんの案内で楽屋に向かう。

 ドアをノックするオウルさん

「オウルだよ、先日話した人を連れて来たんだけど、今いいかな?」

「はい、どうぞ」

 すぐに中から返事がありドアが開く。

 オウルさんの後からエドが入って行く、私は心臓がドキドキしすぎて、動けなくなってしまう。

「アンジェちゃんどうしたの?入っておいで」

 オウルさんから声がかかる、私は深呼吸をして足を踏み出す

 中に入るとドアを開けてくれた人が立っていた、紹君じゃない、あ、そうかスタッフの人がいるよね普通に。

 中に入ると奥のソファーに座っている紹君が見える、本物だ本物だ。

 だめだ興奮しちゃだめ、落ち着け自分。もう1度深呼吸をする。

 オウルさんが紹君に話しかけている。

「ショウ、時間を取ってくれて有難う、僕の友人の娘さんが君のファンでね、

スタッフにも伝えたけど聞いてくれているよね?」

「はい、オウルさん」

 おおお・・・生の声、やっぱり素敵だ。

「アンジェちゃん、こちらにおいで」

 呼ばれた、そろそろと紹君のいるソファーに近づいて行くと、紹君がこちらを見る、少し目を見開き、そしてニコっと笑ってくれた。

「はじめまして、柏木 紹です、今日はコンサートに来てくれて有難う」

 おう、綺麗な英語だ。

『は・・・・・初めまして!アンジェリーナ・クレイン、14歳です』

 つい日本語で自己紹介をしてしまった。年はいらなかったかな

『あれ?日本語解るの?』 

 少し驚いた紹君が言う

『はい!日本語大好きです、日本も好きです』

 紹君が微笑む

『そうなんだ、自分の国を好きって言ってもらって何だか嬉しいな、有難う』

 紹君も日本語になっている

『喜んでもらって光栄です、コンサート素晴らしかったです、生歌初めて聞きました、素敵な声でした』

『日本語上手だね、まだ14歳なのにすごいね』

 素直に関心している紹君、29歳には見えないなと思いながらイケメンな顔を眺める。

 オウルさんが隣の席を指して

「アンジェちゃんとりあえずここに座ったらどうかな?」

 そう言った。興奮しすぎて立ったままである。

 紹君がクスっと笑った、きゃ~~~恥ずかしい、顔が赤くなるのが解る

「はい、有難う」

 素直に席に着く

 オウルさんが紹君に言う

「彼女ね、コンサートが終わった後に泣いてたよ、感動したって」

 恥ずかしい、少し違うのだけれど、訂正する必要も無いと思って黙っていた。

「涙流す程感動してくれたの?有難う」

 また微笑む紹君、福顔。

『あ・・・えっと、もちろんコンサートに感動しました、素敵な歌にも感動しました、でも涙が出たのは夢の時間が終わるのが悲しくって、気が付くと泣いてました』

 と私が言うと

『夢の時間?』

『はい、小さい頃からあなたのファンでした、コンサートに行きたいとずっとずっと思ってました。10年以上ずっと夢に見続けました。そして今日やっと願いがかなったのだけれど、願いがかなって夢のような時間が終わると思ったら悲しくなってしまって』

『そんなに・・・』

 思わずと言った感じで紹君がつぶやく。

『ずっとファンでいてくれて有難う』

 また微笑んでくれた、つられて私も微笑む、紹君が目を見張る。

 それから色々お話をした、短い時間だったけど、とっても楽しかったし、嬉しかった、本当に貴重な時間だった。

 そしてついにお別れの時間になった、何度も何度もお礼を言って部屋を出る。なごり惜しかったけれど仕方が無い。

「アンジェ夢がかなって良かったな」

 エドがそう言って頭を撫でてくれる、頭を撫でられるのは久々だ

「うん、オウルさん有難う、エド有難う、今日の事は一生忘れない」

 私がそう言うとオウルさんが

「そんなに喜んでくれて嬉しいな、お礼はキッスでいいよ」

 そう言いながらニコニコ顔でほっぺを指す、私は思わず笑ってしまう、そしてほっぺにお礼のキスをする。

 今日は私の一生の思い出になるだろう。これから先つらくなったら今日の事を思い出すのだ、それだけで生きていける、そう思ったのだった。




                   紹サイド


 アメリカでの映画賞は、残念ながら受賞できなかった、仕方が無い、気持ちを切り替えてコンサートに集中しよう

「紹、今回のコンサート結構人気らしい、チケットもほとんどはけたぞ」

 マネージャーの生見さんがそう伝えてくれた。

 こっちでもそこそこ人気ではあるらしい。

 こちらでのコンサートは初めてでは無いけれど、以前はもっとずっと若い時だった、お客の入りもいまひとつだった。

 アメリカは難しいと聞いていたが、本当にそうだと思い知らされた。

 今は、僕の知名度も上がったらしい、嬉しい事だ。

「それでな、申し訳無いんだが、1回目のコンサートの後に、こちら側のスポンサーの方の友人の娘に合う時間を取って欲しいと依頼があってな、大丈夫か?」

 こういう依頼は結構有る事だ。特にスポンサーとなると断り難い

「はい、かまいませんよ。初日は終了時間も早目なので問題無いかと」

「すまないね、頼んだよ」

 苦笑するマネージャー、日本なら断っていたのかな?

 最近日本ではそういう依頼はほとんど無くなっているので断っているのだろう。

 まぁ海外だし、どんな子が来るのかなぁ、英語が堪能って訳でも無いから、早々に切り上げてくれると有難いな。


 依頼の主に会って驚いた、物語の中から出て来たような美少女だった。

 14歳と言ってたっけ、まだ高校生じゃないか、こちらの子はしっかりしているな、日本語も堪能で驚いた。

 すごく話やすい子だったなぁ。

 僕の事をずっと前からファンだったと言ってくれた。海外でも早くから応援してくれている人がいるんだな、あれ?10年以上って言っていたような・・・・・え?14歳だろ?3歳くらいの頃から?それって僕のデビュー後2年くらいだよな?ちょうど最初に助演男優賞を取って話題になってた頃だそんなに前から?気になるな・・・笑顔もとっても可愛かった。

 あれ?僕なんで彼女の事ばっかり考えてるんだろう?そう思った僕はコンサートに意識を切り替えるのだった。

   




                アンジェサイド


 コンサートの日から数日は嬉しいやら悲しいやらで、ハイになったり落ち込んだりしていた。

 1週間程でそれも収まり、普通の生活に戻った、学校の方は何も問題無く、以前いたいじめっ子グループは違う学校に行ったので、不安要素はほぼ無くなった。

 私のアイドルおたくっぷりはかなり有名になっていたので、言い寄って来る男の子はかなり減ったけれど、それでも0になった訳で無く、時々だがうっとうしく纏わりつかれる、その度にお断りしている、時々は、力づくで。

 相変わらず護身術の訓練はかかさない、1度覚えてしまえば、後は体が覚えているので、訓練も楽になる、体力作りの方が時間を取られるくらいだ、でも必須だと思ってるので、こちらもかかさない、朝のルーティンになっている、もちろん護衛である師匠と一緒だ。

 自宅に戻ると居間でエドが待っていた、

「おかえりアンジェ」

「ただいま、エド、何かあった?」

「あったな、オウルから連絡が来てね」

「オウルさんから?ん?ん?」

「実は、柏木 紹が、君にもう1度会いたいそうだ」

 私は自分の耳を疑った、何で?頭の中はクエスチョンが踊っている?

『えええええ~マジで??』

「何て言った?日本語になってるぞ」

「あああ・・・ごめんなさい、びっくりしすぎてつい日本語になちゃった」

「びっくりすると日本語になるって、どうなんだ??」

 エドの方が?マークを飛ばしてる

「気にしないで、ところで聞き間違いじゃないよね?」

「そうだな、で、会いに行くか?」

「もっちろん!行くに決まってる」

「そうだろうな、反対しても行くだろうと思っていた」

「エドは反対なの?」

「そうだな、年頃の娘が男に会いたがってる、というのは、あまり歓迎したくは無いな」

「エドったら、解ってるでしょ?」

「それも解っている」

 がっくりしたように肩を落とすエド

「有難う!何時何処で?」

「こちらから返事をした後に決める事になっている」

「解った、楽しみに待ってると伝えてね」

 えへへと笑って見せた後学校の準備をするために部屋へと戻る

 もう1度紹君に会える、嬉しい、嬉しい、嬉しいが頭の中をループする  

 紹君が会いたいって言ってくれた、ああ幸せ。

 私の頭の中ではハートとスターがくるくる回っていた。

 

 紹君との面会場所と時間が決まった。

 会いに出かける、もちろん護衛がついて来るし、あちらもスタッフがいる

 2人だけで会うわけでは無い。

 紹君が待つ部屋の前でドアをノックする、すぐにドアが開いて、スタッフの方が招き入れてくれる。

 またまたドキドキしながら奥へ進む。

 部屋のソファにいた紹君が立ち上がり挨拶をしてくれる

「アンジェさん来てくれて有難う」

 日本語である

「いえ、こちらこそ呼んでくださって、有難うございます、もぉ、お会いできないと思っていたので、とっても嬉しいです」

「こちらへどうぞ」

 そう言ってソファに案内してくれる

「はい、失礼します」

 私も答えてソファに腰掛ける

「本当に日本語が上手だね」

 今日は先日よりちゃんと話せてる。

「かなり勉強しました。それ以前に日本語が大好きなのです、美しい響きの言葉です」

「そん風に感じるんだ、普段使っているので、あまり考えた事無かったな」

 正面に座る紹君のオーラが肩のあたりで濁っている、どうしたんだろう?

「はい、音で感じています」

「そうか」

 そう言って少し黙り込む紹君

 私はそっと席を立ち彼の横に移動する

「肩を触っても良いですか?」

「え?いいけど、どうしてかな?」

 そう答える紹君

「少し気になって」

 そう言って濁ったオーラの有る左の肩の部分にそっと手を乗せる、オーラの色が戻っていく。

「あれ?肩が楽になった、不思議だね、何故解ったの?」

「えっと、左の肩が下がっていたので・・・調子が悪いのかなと思って、私昔から触った所が楽になるって言ってもらえるのでつい」

「そうなんだ、すごいね、有難う」

 そう言った紹君のオーラが喜んでいた、良かった苦しい言い訳だったけれど、何とかなった。

「どういたしまして、楽になったのなら嬉しいです」

 にっこり微笑んで答えた。

「ところで、何故私に会いたかったのですか?」

「ああ・・・えっと、君の事が気になってね、どうしても帰国前にもう1度会いたいと思ったんだ。承諾してくれて良かったよ」

 恥ずかしそうにそう答えてくれた。

「所で、かなり前から僕のファンだったって言ってくれたけど、そんな小さな頃にどうやって見つけてくれたの?」

 あ~この質問、一応答えは用意して有るのでそれを話す

「3歳の頃、母のタブレットを触った時、偶然見つけたんです、歌を聞いて、一瞬でファンになりました。多分母がファンだったのだと思います、それですぐに動画を見つけたんだと思います」

 母ごめんね。

「一生懸命歌を覚えました、もちろん日本語なので、意味は解りませんでしたが、自分用のタブレットをもらった後で調べました、それ以来ずっとファンです」

「そうだったんだね、余りに小さな頃からファンだったと聞いて後で疑問がどんどん出て来たので、それを確認したくってね。」

「そうだったのですね」

 少し残念に思う、私自身に興味が有った訳じゃないんだ。

「とりあえず、疑問には答えがもらえた、所で今日はこの後の予定は?」

「予定は有りません」

「なら僕とデートしないかい?」

「は???」

 今紹君は、何って言った???

「僕とは嫌かい?」

「い・・・いいえ、余りに聞きなれない言葉が出て来たので、ちょっとびっくりして、脳が活動を停止していたようです、全然嫌じゃ有りません、むしろこちらからお願いしたいくらいです!」

 頭の後ろから失笑がする、紹君のマネージャーに笑われた

 紹君も笑っている、恥ずかしい

「有難う、じゃあ悪いけど準備するから少しだけ待っててね」

「はい!」

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