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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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               アンジェサイド


 そうして私の普通の?生活は続いていった、学校ではグループが出来て、仲の良い友人達といろんな事をやった、悪い事はやってないよ?

 そういう人はグループの中にはいない。

 入れない雰囲気が出来上がっているし、そういう人達からは敬遠されている。陰口をたたく人達もいたが、気にしない。

 ボランティアや社会人体験、旅行や遊び、楽しかった。

 皆それぞれ目標を持っている子供たちばかりなので、習い事が多く、時間調整が難しかったが、護衛を付けている子も多いので多少外出時間が少し遅くなっても許された。

 学校生活は私に貴重な体験をさせてくれたと言える。

 そして私はハイスクールに上がる、ハイスクールは日本の高校と違って授業は全て選択制だ、なので時間に余裕が出来る、理数系をポイっと放り投げ、歴史も放り投げ(こちらは後で幾らでも学べる)ハイスクールに通う前にすでに卒業に必要な単位はほぼクリアしているので、後は多言語と音楽、美術、PC関係はCGに興味が湧いたのでそちらを専攻する事にした。

 どの科目も種類が多いのでどれにしようか迷うくらいで有る。

 すでに希望は提出し、希望の科目を就学する事になっている。

 余りにも希望が多い場合は希望が通らない事も有る、このあたりは大学と同じだ。

 友人達もそれぞれの希望にそって専攻が決まっている、ほとんどの友人が同じハイスクールに通う、2人だけが専攻の違いで、他の学校を選んだ、毎日会っていたのに、少し寂しい気もするが、お互いのためなので、時々遊ぶ約束をして別れた。



 いよいよ新学期だ!と少しうきうきしながら準備を始めた私に、ジムからの連絡が入った。

「やあ、アンジェちゃん、元気にしているかい?ついにハイスクールだね」

「ジムさんこんにちは、はい、元気で頑張っていますよ」

 私はついに来たかと思いながら、どうするかかなり迷った、以前の動画は今も再生されて累計再生回数は1000万回を超えまだ伸び続けている、まぁ億を超える動画も世界には沢山存在するのでかなりすごいとは思うけれど爆発的とまでは行かないと思ってる。

 今では事務所への問い合わせは、たまに有るくらいで、皆暇そうにしているらしい。

「ハイスクールに入ったら次を考えてくれるって言ってたよね?」

 ほらやっぱり。

「はい、もうすぐ新学期ですね、考えてますよ~事務所の方に相談に来て頂けますか?」

「おお!有難う有難う、さっそく事務所に伺って話を進めるよ!」

 おいおい、もぉ話を進める会話になってるよ

「それじゃあ、会えるのを楽しみにしてるよ~」

 そう言って携帯が切れる、まぁ4年近く待たせたのだから仕方無いか

 そのうちハリーから連絡が来るよね。

 ほぼ強制的に次の動画が決まりそうだ。

 ああ、ハリーはエドの部下でエンジェルプライムの社長だったりする。

 なかなかの苦労人だ、エドの部下なのでかなり優秀な人だ。

 携帯の会話を聞きつけて次兄のリオが部屋に入って来る

「リオ!何度も言ってるけどノックしてよね!」

「はいはい」

 いい加減な返事である。

「ねぇねぇ、今の電話ジムさんからだよね?」

「そうだよ~ほぼ強制的に次の動画が決まりそう・・・」

「おお!僕も動画に出演させてよ!」

「ええ?動画に出たいの?」

「そうそう、再生回数がすごいから動画に出演したら良い仕事が回ってくるかな~ってね」

 ウィンクを投げながらそうのたまう。

 長兄と違ってこういう少し軽い所が有る人である、子供の頃からモデルとして働いて来て最近は映画にもちらほら出ている、学校に通いながらなのでそんなに頑張ってと言う訳ではないが、あちこちからオファーが有るらしい。

 かなりイケメンに育った。美しいの形容詞が似合う人ではある。

 ちなみに彼もエンジェルプライムに移籍しているので今では事務所が抱える芸能人は2人という事になる。

「出演交渉は事務所に頼んでね、私は協力しないよ~」

「え~」

「まぁ少しは口を聞いてあげる」

「やっほ~」

 そう言ってリオは私を抱き上げるとぐるぐる回りだす。

「やめてぇ~~目が回る!」

 この兄は、細身な外見なのだが、かなり鍛えているので、力が強い。本人曰く『女性を抱き上げるシーンだって有るんだからカッコ良くないとね!?』だと・・・・・・・

 多分兄の出演希望は認められる、もちろんダンスも出来る。

「歌はどうするの?」

「歌はアンジェにまかせる!」

 そうですか・・・・さて動画はいったいどうなるんだろう?


 新学期が始まった、うきうきと教室に向かう、何時だって新しい事を覚えるのは楽しい。『私の記憶力有難う』頭の中で叫ぶ。

 順調に新学期が始まり数日たった頃にハリーから連絡が入る。

 昼食の時間だったので友人達に断りを入れ席を離れ携帯に出る。

 友人達には、私が美和だとは言っていない、家族とスタッフ以外には秘密である。ジム側のスタッフは私の顔も知らない。

「ハーイ、ハリー。ジムから連絡が入ったようね?」

 今回はジム側の準備にかなり時間がかかったようだ。新学期が始まってしまった。

「そうなんだ、かなり押しが強いんだが、やるかい?」

「うん、4年待ってもらったから、今更できないとは言えないしね、ジムから連絡が入った時点で覚悟は決まったわ」

「そうか、ならば準備に入ろう、ところで顔出しはどうするんだい?」

「顔出しNGは、出来る所まで続けたい、まだ学校も残っているし、出来るなら大学も行きたいもの」

「了解だ、ならばそれだけは守ってもらうように契約しよう、ところで、リオが動画に出る事を君が承諾したと聞いたが、本当なのかい?」

「そう、断れなくってね」

 仕方が無かったという雰囲気を伝える

「成程、解ったよ」

「大変だと思うけれど、宜しくお願いします」

「ははは、この事務所は君のために有るんだよ、心配する事なんて何も無いんだから、君は歌とダンスの練習を頑張ればいいさ」

「有難う、ハリー」

「それじゃあ、曲とダンスが出来たら連絡する」

「了解!」

 そう言って携帯を切る。いよいよ次の動画だ、心を決めたので精一杯頑張るだけだ。


 歌とダンスが出来上がて来た。素敵な曲だった。ジムが待ってる間に何曲も作らせたらしい、ダンスはそんなに難しく無い物だ、今回はリオが頑張ってダンスを踊るらしい。楽しみ。

 歌に関しては、喉が安定したので、今は色々なテクニックを習っている音域も少し広がった、まだまだこれからだ。

 ダンスはまぁそこそこかな・・・・そこまで才能は無かったらしい。

 まだ護身術の方が才能が有るみたいだ。

 そんなもんだ、幾らギフテッドだろうと苦手な事は有る、出来ない事だって有る!(実は料理が出来ない、と言うかやった事が無い!!!)だって他の事が忙しかったのだ!料理は結構時間を取られるから後回しにしていたのだ。

 ただの言い訳だな、ナイフなら握れる!しかし包丁の使い方が解らない

 今後の課題だなのである。(時間作れるかなぁ・・・・)

 もちろん、日本食は食べてるよ?

 クレインの家は家政婦さんも通いで来るような家なので、日本食が作れる人をエドに頼んで通わせてもらっている。

 ノアはすっかり日本食にはまってしまった。

 エドとソフィも時々は日本食を食べているが、家にいない事が多いのでそこまではまったと言う事は無いようだ。

 リオは、仕事と友人付き合いでほぼ外食なので、外で食べているらしいが、彼は中国の料理にはまっているらしい。

 

 動画の収録の日がやって来た、今回も目隠をし口元を覆った状態で撮影する、完全に秘密にされていたので、スタッフ以外は入っていない。

 今回はリオとの共演なので少し緊張している、着替えたリオがやって来た、うお・・・・・化粧もして、衣装も着てるから超イケメン、画面越しにしか見たことが無かったので迫力あるなぁ~と見ていると、近づいて来たリオが、言う

「どお?お兄ちゃんに惚れた?」

 やっぱりふざけたヤツだった・・・スタッフに聞こえて無いようなのでほっとしていると、周りが少しザワザワする。

 リオはそこそこ知られているので、美和に近づくのを警戒しているジム側のスタッフがいる、

「あ・・・言ってなかったけど、リオは美和の知り合いだからね~大丈夫だよ~」

 ジムから声が掛けられる、ザワザワしていたフタッフから驚きの声が上がる、ジム側のスタッフは私の正体を知らされていないので仕方が無い。

 とにかくフタッフにも顔バレNGなのだ、何処から漏れるかも解らないので、徹底してもらっている。『皆さんごめんなさい』心の中で謝る、撮影の時は、以前もだが、しゃべらない事になっている。

 そして撮影は順調に進み、ノアのテイクだけを残して私は先に上がるのだった。

 スタッフの皆さんに深くお辞儀をする、感謝の言葉も言えないので、気持ちを伝えたかったのである。

 スタッフの方たちから拍手をもらう、『有難う有難う』 心の中で感謝の言葉を何度も叫びながら撮影現場から退場する。

 後日の歌の録音には、ジムとこちらのスタッフしかいない。

 作詞はなんとジムがやるのだ、人の才能って何処に有るか解らないけれど、皆素敵だなぁ。

 もちろん歌うので紗の覆いは外しているし目隠しも無い、録音ルームとやり取りをしないといけないしね。

「美和さん、録音を始めますので宜しくお願いします」

 スタッフから声がかかる、ドアの外には、このスタジオのスタッフもいる、この部屋の周辺には立ち入らないように気を付けてもらっているが、どんな事故が有るから解らないなので芸名で進める

「了解です、どうぞ宜しくお願いします」

 そうして録音が始まった。

 歌い出すと録音ブースの皆の口が開く

 あれ?と思いながらも私は歌い続ける。

 今回はストップがかからないなと思いながら、それでも気持ちを込めて最後まで歌い上げる。

 曲は終わったのに何の反応も無い。

「どうでしたか?」

 こちらから声をかけると

「おお!素晴らしかったよ、本当に素晴らしかった。」

 ジムから返事が来る、その言葉と同じくして皆が拍手をくれた。

 こちらがびっくりする。

「有難うございます、すぐ次の撮りを始めますか?」

 そう尋ねた。

「いや、これでいこう、素晴らしい」

 これまたびっくりした私はが固まっていると。

「お疲れ様、声が安定して、またまた素敵になったね」

 そうジムから声をかけられる、自分で神様にゆらぎの声を希望したけれど、そこまで褒められるとは思っていなかったので本当に嬉しかった。

「皆さん有難う!」

 そうして動画の収録と録音が終わった、今から編集作業に入る、後は配信を待つだけだった。


 いよいよ配信の日がやって来た、夜に予定を合わせ家族で動画を観る。

 今回は私も出来上がった動画を観ていない。

 ドキドキしながら観る、今回もすごく素敵だ、リオのダンスも素晴らしく幻想的だ。

 1発OKをもらった歌は、自分で言うのもなんだけど動画の雰囲気ととても合っている。

 今回もジムやスタッフの方達が頑張ってくれたのだ、感謝の気持ちがふつふつと湧いて来る、有難う!

「なんて素敵、勝手に涙が出て来たわ」

 ソフィがそう言って涙をぬぐう、かなり身内レンズが効いてるみたいだ。

「うんうん、素晴らしいね、リオもすごいよ」

 ノアが言う

「素晴らしいな、やはり思った通りだった」

 エドが嬉しそうに言う

「だよね、だよね、僕も素敵だけれど、アンジェの歌声は本当に素晴らしいよね」

 自分を褒める事をリオは忘れない。

「皆有難う!エド本当に有難う、エドがいなければこんな素敵な動画は作れなかった、もちろんジムもだけれど、エドには本当に感謝してる」

「他人行儀だな、君は大切な家族なんだ、力一杯応援するのはあたりまえだろう?」

 そう言ってエドは笑う、本当にこの家族に巡り合わせてくれて有難う、私は、深く深く感謝するのだった。



 今回の動画配信もすごい勢いで再生回数が上がっていった。

 やはりメディアには一切関わらないのは基本方針だけれど、何処まで基本方針を貫けるか解らない、最低シニアまでは、顔出しNGを通したいと思う。

 だが、紹君に会いたい気持ちもつのっている、彼ももうすぐ30の大台に乗る、色々な人とのスキャンダルが出ている。

 事務所側は、全て否定しているが、恋人がいてもおかしくないと私は思

っている。

 最近私は、良くそんな事を考える、紹君とどうこうなりたいとかは思わないけれど、出来れば何かで縁が出来れば良いなとか、知り合いになりたいな、とか・・・これって私が年頃になったせいかな?ホルモン!こいつが仕事してるせいか???

 そんな事に悩んでたある日、エドから連絡が入る。


「アンジェ、朗報が有るぞ!」

「な~に?」

「君の好きな柏木 紹がアメリカに来る、コンサートも有るそうだ」

「え?本当に?」

「ああ、決定だそうだ、見たいかい?」

「もちろん、もちろん絶対に観に行くわ」

「はは、相変わらず好きなんだね、解った、コンサートの席はこちらで用意しておくよ」

「エド有難う、大好き!」 

「ああ、知っているよ」

 そう言うと、笑いながらエドは連絡を終わらせる。

 ああ、やっと念願がかなう、直接紹君をこの目で見れるのだ、長かった15年もかかったのだ、よく我慢した私。

 ああ早くコンサートの日が来ないかな、今から本当に楽しみだ。

 ワクワクしながらコンサートを待つ、その時間もすごく貴重に思える程に楽しみだ。





                 紹サイド


 4年か、結構空いたな、そう思いながら動画を観る、以前出て来た美和と言う少女の動画がまた配信された、同じく顔を隠しているが、声は以前より完成されている印象が有る、ほぼ成人したのだろうか?

 体つきは相変わらず細っそりしている、手足が長くなり背も少し伸びたように見える。

 相変わらずメディアには出ていない。

 次までまた、長い時間がかかるんだろうか?

 僕はこの4年の間に何度も、何度も彼女の歌声を聴いた。彼女の声に何度も癒された、最初に聴いた時のように魂が震えるのだ。

 新しく配信された彼女の歌も同じく魂に響く歌だった。

 再生回数がうなぎ上りにどんどん増える、皆待ってたんだろうなと納得する、次は何時かな?

 あまり待たせないで欲しいなと思いつつ、CD購入のボタンをクリックするのだった。     

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