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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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超イケメンな叔父さんは超やり手みたいだ。お隣さんから私を引き取りると、私の家に戻りあっという間に両親の葬儀の準備を終えてしまった。

 母の弁護士と部下らしき男の人を顎で使い、私を養女にする手続きも済んでしまった。

 全ての準備がすごいスピードで進んでいった。

 『そういえばタブレット何処だっけ』ふと思い出し周りを見回すが見当たらない、病院へ行くまでは持っていたはず、おばさんの家かな?と思いお隣に行ってチャイムを鳴らす、おばさんがすぐ出てきてくれた。

「アンジェリーナどうしたの?何かあった?」

「私のタブレットを知りませんか?病院へ行くまでは持っていたんです」

「ああタブレットねちょっと家を探すわね、どうぞ入ってちょうだい」

 おばさんに続いてお隣の居間にお邪魔する。

「待っててね」

 そう言って私が使ってた部屋に入っていく。

 少しすると部屋から出て来て居間へ入って来る。

「すっかり忘れていたわ、有ったわよ」

「有難うございます」

 そう言って受け取る私

「叔父さんは優しくしてくれる?」

「はい」

「何か有ればおばさんに言うのよ?」

「はい、おばさんありがとう」

 そう伝え自宅に戻った、優しい人だ。

 お世話になった心から有難う!



 とにかく今は少しでも紹君を見ていたい。 

 彼を見ると何故だか幸せな気分になる、頑張ろうって気になる、前向きになれるのだ。

 映画は、公開された3本は見た、歌の映像を流しながら聞き入る、年々人気度が上がり海外での認知度も上がっている、成人した事で色々なスキャンダルが流れたりしているが、紹君は、大丈夫。彼のオーラは健全そのものだ。

 あ・・・私は人のオーラが見える、ネットで最初に調べたのがこれ、皆見えてるものだと思ったけれど、色の事を誰も言わないので、もしかしてと思って黙っていた。

 ネットで調べたところ一部の人しか見えないらしい、なので人に知られないように秘密にしている、何故だかは私にも分からない。

 紹君を見ているとだんだん気分が楽になっていく。本当に不思議だ。

 両親を思う、優しくて良い人だった、覚えていなくってもいいからまた何時か何処かで会えるといいな、パパ、ママあなた達の子供にしてくれて有難う!大好き!



 葬儀の日になった、粛々と葬儀は進んでいく

 私は終始俯いていた。

 最後のお別れが始まる、叔父に手を引かれ棺の前に出る。[主よみもとに近づかん]を静かに歌い始める。

 周りがなんだかザワザワしているが暫くするとそれも収まり静かに讃美歌だけが教会の中を流れていく。

 音響効果がすごくて私の声が響き渡る、歌い終わっても暫く静寂がつづく、神父様が気づいたようで、葬儀の進行を再開する。

 そして両親は、この街の墓地で眠るのだ。

 墓標が晴れた夕暮れに寂しく佇む。

「パパ、ママ さようなら、叔父さんと行くね」

 両親はこの街を愛していた、この街で眠る事を願うだろう。

「少し遠い所なの、年に1度は連れてきてくれるから待っててね」

 涙がほほを伝う、枯れたと思う傍から溢れてくる。

「さあ行こうか、新しい家族が待っているよ」

 そうして私は、叔父エドワーズ・クレインの家の子供になったのだった。




 私は5歳の誕生日をクレイン家で迎えた。

 叔父はやり手だと思っていたけれど、やっぱりできる人だった。

 クレイン家は、わりと有名な家で先祖も資産家で、いわゆる上流階級の人達だったそうだ。過去形なのは叔父の父母がすでに鬼籍に入っており、子供達2人(叔父と母)は、家を出て継ぐ者が無く、親戚連中が好き勝手にしてしまったらしい。

 姓だけは、継いでいるのだか、母方の親戚とは縁が切れているそうだ。

 訳有りな上流階級出身者(これは知らない人も多い)1代で資産を築きおまけに超イケメンな叔父は有名人とまではいかなくってもそれなりに名前が通る人である。

 母はかなり早くに家を出て父と知り合う前からすでに行方不明あつかいで、祖父から逃れるために田舎に引っ越してからは、叔父にすら連絡もなく探していたのだそうだ。

 どうりで、親戚や親兄弟の話は聞いてない訳だ。

 叔父は両親が亡くなってからすぐに、母を本格的に探し始めたらしい、その矢先に母の弁護士を名乗る人から連絡が有ったそうだ。

 叔父は両親そして妹を1年の間に亡くしてしまったのだ、幾ら疎遠だったとはいえ、かなりのダメージだろう。

 母は自分達に何かあった場合、兄を尋ね私の面倒見てもらえるように弁護士に予め依頼していた、そこそこ有名人なのですぐに連絡がとれたようだ。

 弁護士は子供の頃の叔父と母が写った家族写真と母からの手紙を持っていてそれが証となったらしい。

 その写真は今暖炉の上に飾られている。

 そう、暖炉が有るような家なのだ、それくらいの資産家で、自分だけの力でそれを築きあげた人なのだ。すごいよね~

 なので・・・・・私が人と違う事はすぐにバレました・・・ハイ

 家にいる時間は少ない方だと思うのだけれど、ほんの少しの事で気づくんだよね、こういう人

 きっかけは葬儀の時に、どっかの知らない人が動画をこっそり撮ってた事、そして無断でそれをネットに上げてしまった事

『讃美歌を歌う天使』とか言う題名で出たその動画は、私が知らない所であっというまに再生回数が1000万回を超えて、すごい話題になっていた。

 幸い後ろ姿だったので顔バレはしなかった、自分で言うのもなんだが、確かに教会の音響効果もあってか天使の歌声に聞こえなくもない。

 以前のご近所さん達は良い人が多く、身元が特定される前に動画は削除され、どっかの知らない人は、訴えられ散々な目にあったらしい。

 この事件の時に叔父から動画をどうしたいか尋ねられた

「パパとママの葬儀は、知らない人に見せる物じゃない、徹底的に削除して欲しい」

 とお願いしたのだ。

 この時、叔父はさすがに違和感を覚えたらしい、一度疑い始めると後はほんの少しのきっかけでいい。

 母は躾には厳しい方だったが、私が人とかなり違っている事についてはあまり疑問に思わなかったようだ(ほとんど隠していた)

 小さい頃の方が違和感が有ったと思うのだが、そこらへんはポヨポヨした可愛らしい人だった、自分の娘を全肯定できる程愛してたとも言えるかな。

 両親の事を思い出すと胸が痛くなる、話を戻そう

 疑いが決定的になったのは、ある日の夜、叔父と叔母はチャリティーのぱパーティでお出かけ、長兄のノアは部屋でお勉強(終わるまではほぼ出て来ない)

 次兄のリオは、まだ子供なのにお仕事で今夜は少し遅い、これはチャンスと思い自分の部屋で紹君の動画を見て一緒に歌っていた。

「アンジェリーナその言葉は日本語かい?」

「ひぇ!」 

 私は飛び上がる程驚いた。

「えーと、えーと」

 余りの驚きに言葉につまる

「今見てる動画の歌の歌詞なんだよ?この人を動画で見つけて、とっても好きになったの、それで音を聞いて真似してたんだ」

 自分でも苦しい言い訳にしか聞こえない。

 だが叔父はそれに納得したようでこう言った

「日本人の歌手を好きになったんだね?それじゃあ日本語を勉強したいかい?」

 普通に考えれば、この受け答えは5歳の子供に対して可笑しいよね?

「うんうん!是非勉強したい」

「そうか、それならさっそく先生を紹介してもらうとしよう」

 にこっり微笑む叔父、目が笑って無いくて怖いよ~ママの怒った時の笑顔を思い出した、似てる・・・さすが兄妹だ。怒ってはいないようだが

「叔父さん有難う!楽しみに待っているね」

 動揺していた私は、とにかくバレずに済んだと思いほっと胸をなでおろす、叔父を侮ってました・・・ハイ

 早く戻った事情を聴くと叔母のソフィアが体調を悪くしていたので、早々に引き上げて来たらしい、私は叔母を見舞う。 

 居間のソファで座り込んでいる叔母、この人も可愛い系な人だ。家族皆美男美女だよな・・・

「叔母様大丈夫?」

 聞きながらオーラが少し濁っている背中をなでていく、健康な色に変わったのを見て手を離す。

「アンジェに撫でてもらったら気分が良くなったわ、不思議ね有難う」

 そう言われ、これはまずいかもと思ってそ~っと叔父の方様子をうかがう、叔父が私を見てまたにっこり微笑む、ああ・・・失敗したかも、何か聞かれるかな?そう思っていたが、それで話は終わりそれぞれの部屋に戻る事となった、少しの違和感。

 疑問には思うものの、こちらから尋ねる事はできない。

 数日して日本語の教師がやって来た、公に日本語を読み書きできるようになると単純に喜んでいた私、ルンルン気分で授業を受ける。

 秋からは学校が始まる(日本でいうところの幼稚園だ)最低小学校前には1年は通わなくてはならないらしい。義務教育の始まりだ、少し気が重い、時間を取られる上に周りの目から色々な事を隠さなくてはいけない。

 日本語の授業は楽しい、まずはひらがなからだ、叔父が連れて来た先生はかなり発音も上手で良い先生である、日本人の耳で聞くと少し怪しいけどね。

 時々は、間違えながら、初日でひらがなを全て覚える、発音は絶対音感のおかげにしよう!

「音としてとらえるんです、なので割と簡単に覚えられます、日本語の歌でかなり覚えました」

 そう言った私を見て先生はすごく驚いていたみたいだけど、納得はしてくれたようだ。

 実は授業がだるくって・・・辛い。

 自分が知ってる事を教えられるのは、結構きついと知った。

 明日の課題はカタカナだ、これは字を覚えるだけなので問題無いだろうと言われ、今日の復習をしておくようにといって帰っていった。

 ちょっとやりすぎたかなぁ?まぁ記憶力が良いのは隠す気は無いので問題なかろうと思いながら、声に出して日本語を読み上げる。日本語を堂々と話せる!ああなんて幸せ・・・そんな日々が続くと思っていた、が甘かった。


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